ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

ルーブル新安値更新、東欧通貨急落、金先物980ドル(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-19 19:05:00 | 経済学
ロシア通貨のルーブルが対ドルで、36.55ルーブルへ新安値を更新した。ユーロとドルで構成されるバスケット指数に対しては、41ルーブルの下限を設けているが、40.77ルーブルへ下限一杯まで値下がりしたとWSJ紙は報じている。

メドベージェフ大統領と麻生首相が天然ガスサハリン2の開所式でにこやかに握手している映像が今朝の日本のテレビに写っていた。日本の首相がロシアへ行けば領土問題と相場は決まっている。今回は違っていた。

今朝のNHK・BS「おはよう世界」でロシア国営テレビRTRを見ていると領土問題という言葉は一言もなかった。サハリン2で生産される天然ガスの60%が日本向けだとNHKのアナウンサーが紹介していた。プーチン首相が5月に来日予定だから餌(領土問題)はその時使うのだろう。

ルーブルも大変だが、東ヨーロッパの通貨が対ユーロで軒並み暴落している。ハンガリー・フロントが史上最安値を更新した。ポーランドのズロチは、昨年8月から33%下げ、最安値圏で取引されたと2月18日付けのWSJ紙は報じている。

中央アジアのカザフスタン中央銀行に取り付け騒ぎのうわさが広がっている。ウクライナの今年1月の鉱工業生産は、昨年12月の16%減を上回る比率の昨年比34%減少した。天然ガスをロシアに止められたことがそのまま影響したとWSJ紙は解説している。

デンマークのDanske Bank グループのチーフアナリストのラース・クリステンセン氏は「今回の東ヨーロッパ通貨の暴落は、1997年のアジア通貨危機と酷似している。大きく依存していた外国からの資金が一斉に引き上げたことが引き金で起こったタイバーツの暴落とそのまま重なる。」と指摘している。

インタナショナル・ファイナンス機関の調べによれば、西欧から東ヨーロッパへ流れる資金が、2008年の2,540億ドルから今年300億ドルへ急減少すると予測している。2008年9月時点の東欧へのバランスはオーストリー2,770憶ドル、ドイツ2,199億ドル、イタリ―2,196億ドル,フランス1,551億ドル、ベルギー1,367億ドルなどと続いているが彼らが一斉に資金を引き上げ始めた。

東欧諸国の通貨価値の暴落で借金返済額が急拡大した。カザフスタン中央銀行の破たんにととどまらず通貨安、支払い不能、支払い不能、通貨安の悪循環が東欧の全ての国で起こっているとWSJ紙は指摘している。

ロシアは2009年のGDP見通しを年初に出した0.2%減を2.2%減へ下方修正した。ロシアの財政は原油・天然ガスに大部分依存している。原油相場はバレル35ドル台まで値下がり、天然ガスも高値の1/3まで下がった。海外からの借金をファイナンス出来ない。ルーブル安は原油安と即連動している。

肝心要の原油相場はどうか。NY原油(WTI)相場は、2月18日、バレル34.70ドルで取引された。米原油在庫データ次第であるが、世界的な需要先行き不安から32ドル台までの安値予測も消えていない。年後半にはバレル60ドル台までの回復を予測した調査機関は頭を抱えているだろう。

NY外国為替市場では、ドルが買われ、1ユーロ=1.2517ドルで取引された。ドルは対円でも買われ1ドル=93.78円まであった。対ドルでの円の値下がりは東欧経済の急激な悪化に揺さぶられているユーロ安の恩恵を受けている要素が強い。ドルが強いのではない。1月の米国の新規住宅着工件数は16.8%減少した。オバマ政権は住宅テコ入れ策を発表したがNYダウは無視した。

一方、NY金先物相場はオンス980ドルまで値上がりした。金はドルの反面教師である。金に対する需要が2008年1000億ドルを超えたとの情報が相場を支えた。ただ、金の宝飾品需要は大幅に減少している。金地金やコインへの投機的な買いが背景にあると今朝のWSJ紙は解説している。

物情騒然としてきた感が深いが健康第一である。健康でさえあれば明るい希望が湧い
てくる。(了)

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ユーロ先安感台頭、NYダウ297ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-18 09:19:52 | 経済学
司馬遼太郎さんが昭和46年7月に書かれたエッセーに、「いまから10年ほど前に、日本は有史以来、弥生式以来の大変化が訪れたように思う。それは何かというと飢えからの解放である。そいう意味では日本は全く新しい時代に突入した。」という文章をたまたま見つけた。

 「飢餓との闘いがあったからこそ、人間は生き続けてきた。この条件がなくなった今、生きることへの執着はかなり希薄になっていくだろう。」と書いておられる。100年一度の大不況だと、さもわかったようなことを口にする政治家や経営者が実に多い。子供ごころにも戦後しばらくの間のひもじい思いが忘れられない。ひもじい思いを経験したことがない人は信頼できない。

先日元大手航空会社の副操縦士の方から親しく話を聞く機会があった。NYハドソン川に見事不時着を成功させたパイロットがいた。元パイロットの話ではいろいろな好条件が整っていたであろうが、あの程度の操縦は普通のパイロットなら常々訓練しているから可能であろうと話していた。

それぞれの世界で、多くの人の命を預かっている人が、自分が「操縦かん」を握っている感覚が、政治家にも経営者にも極めて乏しい。特に目立つのは咄嗟の判断が出来ない。臨機応変の対応が出来ない結果起こる事故や出来事が頻発している。業績悪化を為替のせいにする経営者は好例である。

最近の為替市場で特徴的な動きとして、ヨーロッパ経済の先行きに対する不安感が台頭していることが指摘できる。2月17日のNY外国為替市場で、ユーロが売られ、一時、1ユーロ=1.2536ドルで取引された。大手の格付け会社が東ヨーロッパの9銀行の格下げを発表したことが影響した。

今朝のWSJ紙によれば、東ヨーロッパの銀行に融資している豪州の銀行が破たんに追い込まれるとの思惑から豪ドルが売られ、NZドルも連れて安くなった。ユーロ安の背景には、ECBが現在2.0%の政策金利を0.5%まで引き下げざるをえないとの観測が底流を流れているようだ。

WSJ紙は、ポーランド通貨ズロチが昨年8月時の1ユーロ=3.20ズロチから現在1ユーロ=4.75ズロチ台まで急落していると伝えている。ポーランド通貨急落からチエコ、ルーマニアへの波及は必至であると解説していた。このあたりの動きは日本の新聞には全く顔を見せていない。

円は対ドルでは1ドル=91円台で売られているが、前日の日本のGDP統計や財務相辞任、麻生内閣に対する不安感が台頭したことも影響したようだ。ただ、ユーロや英ポンドが引き続き売られいていることから、ユーロ売り、英ポンド売りが加速すればドル売りに波及すると見られている。

ドルの反面教師であるNY金先物相場がオンス25ドル上げ、967ドルで取引された。ドルの先安を予見して先回りの資金が金市場へ流れている。銀相場もオンス14ドルまで上げてきた。一方、NY原油(WTI)先物は世界的な需要減を見越してこの日も売られバレル34.93ドルで取引された。

今朝のNHK・BS「おはよう世界」でオバマ大統領が、わざわざ太陽光発電設備を設けたデンバー自然史博物館で、7,870億ドル(約70兆円)規模の米景気対策法案に署名する光景を流していた。同法案はこの日を境に法律になるが、期待感が先行して大方の評価は必ずしも良くない。

NY株式市場は、オバマ演説の途中、前日比170ドル安近辺まで値を戻した。ところが金融株が安値を先導して、前日比297ドル安、7,552ドルで取引を終了した。GM.クライスラーの再建計画提出日の本日2月17日まで、労働組合や債権者との調整がうまく進んでいないことも嫌気された。

クリントン米国務長官の精力的な動きを見ていると日本のご機嫌取りに努力している姿がありありだ。お金のないアメリカ。米景気刺激策は日本と中国頼みである。遅ればせながら酔っぱらいの大臣の首は切った。麻生総理が操縦かんを握る日本号はダッチロールで、全く安心できない。(了)

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日本GDPマイナス12.7%、中川財務相醜態場面を世界のメディア報道(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-17 11:20:48 | 経済学
今朝のNHK・BS「おはよう世界」は、日本関係のニュースオンパレードだった。日本のGDPが年率換算で12.7%下げたことと日本の財務相がG7会合のあとの記者会見で醜態を演じたことを詳しく伝えていた。

 英国BBCは、世界第二の経済大国日本の昨年10~12月期のGDPが1974年以来最悪の落ち込みを示したが、この先もさらに悪化すると述べ、悪い話続きの英ブラウン首相にとっては、「日本の悪い報せは慰めになるかもしれない」と皮肉たっぷりにコメントしていた。

 さらにBBCは、中川財務相が記者会見で不明朗な受け答えをしたと伝え、彼は「それは風邪薬のせいで酔っ払ってはいなかった」と釈明したが、暗い影を投げかけたと紹介していた。

中川財務相の醜態はスペインテレビでも詳細に報道された。海外のテレビで日本の閣僚でしかもG7直後の記者会見だったことと世界が金融問題で深刻な事態に直面しており、その最重要閣僚の醜態だっただけに世界のメディアの格好の餌食になったのであろう。

シンガポールCNNは、米クリントン国務長官が日本に到着した。これは長官就任後初の外国訪問であり、クリントン長官は日米同盟重視を表明したと伝えた。

クリントン訪日のニュースは、香港ATVも伝え、アジアを最初の訪問国に選んだと強調していた。クリントンは、日本訪問のあとインドネシア、韓国を回り2月20日に中国を訪問して22日帰国する。中国政府と世界金融危機、米国の保護貿易懸念、人民元問題に加えて安全保障問題を討議するとみられていると紹介していた。

今朝のブルームバーグニュースでは、NY株式市場がプレジデントデー祝祭日で休場ということで、欧州株式市場で、英国(1.3%)、ドイツ(2.2%)フランス(1.2%)それぞれ先週末比下げたと紹介していた。原油はバレル37.22ドル、1ドル=91円、金はオンス943ドルだった。

英国関連では、英国航空がファーストクラス、ビズネスクラス客の落ち込みと英ポンドの値下がりで為替ヘッジが裏目に出た結果、赤字に転落した。コスト引き下げのため人員削減を予定している。アメリカン航空、イベリア航空との合併を聞かれたウオルスCEOは「今の時点でそういう話しをしてもしょうがないではないか」と語ったといらだった表情を紹介していた。

今朝のブルムバーグニュースは、米経済対策法案は、オバマ大統領の署名を経て成立するが、即効性は期待できない。実際にお金が出回るのは早くて年末である。金融機関の貸し渋りは続いている。金融問題の着地が見えてくるまで慎重に見ておく必要があるとクギを差していた。

昨日のテレビ東京の朝の番組で、2009年の世界のGDP予測値がそれぞれの機関、立場で分かれている。UBS証券(-1.4%)、バークレーズ(-3.9%)、JPモルガン(-4.1%)、BNPパリバ(-2.0%)、日銀(-2.0%)、日本政府(0.0%)となっていると紹介していた。

米景気対策法案については、7,870億ドルの内訳は、大きく分けて財政支出64%、減税36%に二分される。財政支出の内訳は、公共事業19%、医療28%、雇用13%、教育29%、科学10%と分かれている。俗に言うばらまき予算になっていると指摘していた。

華々しくスタートしたオバマ政権であるが、現実は極めて厳しいことがわかる。クリントン長官が欧州、中東をさておいてアジアを最初の訪問先に選んだことはアメリカの窮状をわかりやすく教えてくれる。お金のないアメリカが日本や中国を頼りにしていることは明らかであろう。

泥酔していたわけではないといくら弁解しても日本の財務大臣のテレビ映像は残酷だった。世界のメデイアが珍しく日本を取り上げたことを肝心の日本の政治家がどう受け止めるかである。(了)

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京の冬の旅「森田りえ子金閣寺方丈杉戸絵」バスツアー(スケッチ&コメント)

2009-02-15 20:46:38 | スケッチ


京の冬の旅「森田りえ子金閣寺方丈杉戸絵」バスツアー

江嵜企画代表・Ken



 「京の冬の旅」定期観光バス特別コース「京の文化の真髄を訪ねて」、限定20名のツアーに参加した。今回のツアーには特別の思いがあった。日本画の手ほどきを受けた森田りえ子画伯自身が描いた金閣寺方丈杉戸絵を自ら解説されるプログラムが組み込まれていたからである。
 バスはJR京都駅烏丸口を午前11時に出発した。いつものように車内風景をスケッチした。ご婦人客が大部分であったが、ご夫婦と思しきペアも3組ほどおられた。あとでわかったが松山市から来たという二人連れのご婦人も含まれていた。よく切符がとれましたねとバスガイドさんに言われた。日本画教室の友達がたまたま切符を手配してくれたが、神さんごとだと思っている。
 京都駅を出て最初の訪問先はお室仁和寺だった。当ツアー特別に金堂の中も拝観できた。888年創建の寺だが1476年応仁の乱で廃塵に帰した。1624年再建され今日に至る。紫宸殿が移築された建物ということでもきわめて異色である。

昼食を80余年の歴史のある京料理「天㐂」で楽しみ、特別展開催中の妙心寺の三門に上がり諸仏を拝観できた。そして本日のハイライト、森田りえ子画伯が待機される金閣寺杉戸絵である。
 今回の杉戸絵は、今年5月、パリで開催される森田りえ子個展、その後、京都大丸含めて4ケ所でも見られるが、作品保護のため新たに製作されたレプリカに置き換わる。金閣寺方丈で実物を見られるのは特別展開催期間と3月8日のバスツアーが最後となると森田画伯から聞いた。見納めとなると聞いて思わず身を乗り出してしまった。
 杉戸絵は春(牡丹)、夏(花菖蒲)、秋(菊)、冬(椿)四季各季左右二面計八面に描かれている。説明は秋の菊からはじまった。樹齢800年の杉の木と聞いて正直緊張した。100年、200年先になれば葉の色が暗く沈む。密室の中から菊の花だけが飛び出るようにと考えて描いた。
 冬の椿は京の「ひいらぎの」という土地にある民家の庭に何万という花を今も付ける樹齢800年の五色椿を写生した。近年天然記念物に指定された。とにかく木の勢いに感嘆する。美しい花は葉、枝、幹さらに幹の下には地中深く手足を伸ばした根が支えている。今回、杉戸絵を描くにあたり、素晴らしい木目を生かすことを念頭に置いた。
 夏は花菖蒲。左の杉戸に伊勢系、右の杉戸の下に肥後系の菖蒲を描いた。萼(がく)と花弁をたっぷり描いた。剣先の上に花が浮かび、風になびいている姿を描いた。肥後椿には天然の群青絵の具を使った。伊勢椿は胡粉で描いた。白を描くには胡粉以上の絵の具はない。牡蠣の殻をつぶしして作る。世界一の白だと思う。

春は牡丹。立てば芍薬。座れば牡丹という。しかし、牡丹は立ち姿であると思う。大地にしっかり根を下ろし、大きく天に頚を伸ばして立つ姿を描いた。牡丹の絵では敢えて地面を意識的にいれたと森田りえ子画伯は話された。

構想を練る時間をいれて1年かけて八面描いた。杉戸には表と裏がある。裏を描いているときは表は描けないという難しさがあった。木は切られた後も生きている。そのため絵の具が動く。雨風の吹きさらしに置かれているから毎日の天気が気になる。今日もドキドキしながら金閣寺にやってきたという。

自分の命は短い。しかし、この絵は100年、200年残ります。こういう機会に恵まれた私は本当に光栄ですと森田りえ子画伯は話を終えられた。寺をバスが出たのは午後5時半を回っていた。この日の京都は春を思わせる陽気に恵まれた。参加20名一人一人の胸に印象深く残る素晴らしい旅となったことを確信する次第である。(了)

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「これから日本」(リチャード・クー講演)(スケッチ&コメント)

2009-02-14 07:27:05 | スケッチ


「これから日本」(リチャード・クー講演)

江嵜企画代表・Ken



「内外から見た日本経済」と題してリチャード・クー氏の講演(関西ノムラ資産管理フェア2009)を聞く機会があり、京セラドームへ出かけた。
 聴衆の多くはクー氏が米国の金融危機をどのように見ておられるのか、それが聞きたくて集まった人も多いだろう。
 住宅バブル崩壊が今回の金融危機の原点である。クー氏によれば米住宅価格の先物相場は来年10月に底を打つと予測していると話した。として住宅価格の先行きを見る指標として家賃と相場の相関関係がある。それは98年ごろまでは一心同体で動いている。
 ところが2000年以降住宅価格が低金利政策で上昇したが、家賃がついていけなかった。家賃と住宅価格が通常のトレンドに並ぶには現在の住宅の値段が22%下がる必要があることを示唆しているとクー氏は話した。その仮説が正しければ、10年10月にならないとアメリカの住宅の値段は底打ちしない。
 クー氏は、この日、今回の金融危機でリーマンブラザーズを破たんに追いやったポールソン前財務長官を「彼は本当に許せないひとだ」と語気を荒げて非難した場面が印象に残った。
 特に問題だったとして、クー氏は、リーマンをつぶしてAIGを救済した時の記者会見でのやり取りを紹介した。ポールソンは「米政府は問題の金融機関の面倒は見る。ただし、ケースバイケースだ」と記者に答えた。これが決定的なミステークだったとクー氏は言った。
 ポールソンのこの発言のあと、金融機関同士が、お互い事実を隠しているに違いないと全員が疑心暗鬼になった。それがいまもなお尾を引いているとクー氏は話した。
 サマーズとガイトナーがオバマ政権のメンバーにいる。二人は公的資金投入の意味を理解している数少ない米政府の人間だ。「実に心強い」とクー氏は二人を評価した。
 住宅の市価が購入価格を下回ってくるとさらに問題が表面化してくる。その件数が1300万件に上る試算もあると紹介した。米国人は人にお金を貸さない。家にお金を貸す。住宅の値段が下がってくると返済できない。
 アメリカ人はその際、金融機関に鍵を返す。鍵さえ返せば縁が切れる。そのあたりについては、日本ではなかなか理解できない。手離された家が次々不良債権になる。売りがかさむ。値段が下がる。悪循環となるとクー氏は話した。
 もうひとつのアメリカの問題点として、アメリカが1兆ドルの貿易赤字を抱えていることだと指摘した。米金融法案にはバイアメリカン条項が含まれている。それ以上に問題なのは、巨額のアメリカの赤字をファイナンスしているのは中国と日本である。
 今までアメリカは借金して世界の品物を一手に引き受けてくれていた。ところが米国民の多くが借金をしなくなった。その結果、アメリカが物を買ってくれることを前提にした「アジアの成長モデル」が成り立たなくなった。この認識をまずもつ必要がある。夢をもう一度は、これからの日本にはあり得ない。日本は内需振興に取り組まざるを得ないだろうとクー氏は話を終えた。
 一時間強の講演の中でいろいろの話が出た。ところがクー氏の口から今回、為替レートの話が出なかった。時間がなかったからなのか。質問の機会があればクー氏に是非聞いてみたかった。(了)

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米住宅価格12%下げ、原油一時32ドル、金945ドル(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-13 07:51:17 | 経済学
経済とからだの健康とは共通点が多い。今回の不況が何が原因で起こったのか。住宅バブルが崩壊した結果である。住宅価格が下がり続けている限り経済の回復にはそれ相当の時間を要する。

米不動産協会は、2月12日、08年10~12月期の米住宅価格が前年同期比12%減と過去最大の下げ幅を記録した。住宅ローンの債務不履行比率が45%に達し、差し押さえ物件が増加したと発表した。

オバマ米大統領が出した処方箋に米議会が注文を付け、妥協の産物として総額7,890億ドル規模の景気対策がようやくまとまった。財政悪化を懸念した共和党の意見を取り入れたことで規模が大幅に縮小された。ガイトナー新財務長官が税金未納問題で議会の正式承認が遅れたこともオバマ景気対策に水を差したと近着の二ユーズウイーク日本版は指摘している。 

2月12日の米株式市場は、景気対策法案が即効性に欠けるとしてネガティブな反応を示し、NYダウは一時前日比200ドル以上下げていた。ただ、引けかけて急速に値を戻し、前日比6ドル安の7,932ドルで取引を終了した。法案の成果を見極めようとする動きが出て買い戻しがはいったようだ。

NY原油(WTI)先物相場が一時32ドル台まで値下りしたが、34.61ドルで取引を終了した。米国の石油在庫の増加発表を嫌気した。それにしても良く下げたものだ。半年前原油はバレル200ドル突破かと騒いでいた。

一方、NY金先物相場が一時950ドルを突破して史上最高値オンス1,003ルが目前に迫ってきた。終値では前日比4.59ドル高いオンス945ドルで取引を終了した。銀相場も金につれ高オンス13ドル台まで上げてきた。このまま金相場が1,000ドルを突破してさらに上値を追いかけるかどうかは不透明だと今朝のWSJ紙は指摘している。

からだの健康でも似たような現象がしばしば起こる。急に熱を下げたりすると結果は決まってよくない。特に血圧を薬で上げたり下げたりすると副作用が必ず出る。お金は臆病な生き物である。相場は意外にもの知りだから行き過ぎたなと体が感じると値下がりするケースが多い。相場は相場に聞けと言われるのもそのためだ。

NY外国為替市場では、ユーロがECBが追加利下げするとの思惑から売られ、1ユーロ=1.2790ドルとドルは対ユーロでは堅調であるが、対円では弱い。ドル=90円割れ寸前まで売られたが、株価が戻りに連動し91円まで戻した。

ユーロ売りの背景の一つにECB月報で、EUのインフレ率が当初の2.2%を0.9%へ引き下げ、08年のGDP成長率を当初の年2.0%を1.6%へ下方修正していたことが材料にされたと今朝のブルームバーグが解説していた。成長が鈍化してインフレ率が下がればその分利下げがやり易い。ECBの政策金利1.0%が見えてきた。安全資産として株が売られ反対に金が買われる。安全通貨としては日本円が買われるとの思惑が底流を流れている。

抗がん剤を服用すればガンが完治するほど世の中甘くない。薬には必ず副作用を伴う。米景気刺激策も同じであろう。まどろかしいようだが米住宅価格がいつ下げ止るか。金融機関の貸しはがしがいつ収まるのか。それ次第だろう。(了)

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La Pacchia in Kobe・店内風景(スケッチ&コメント)

2009-02-12 13:02:48 | スケッチ


La Pacchia in Kobe・店内風景

江嵜企画代表・Ken



 建国記念日の休日だが旦那は出勤ということで娘と孫が神戸へやってきた。神戸大丸の9階のレストラン街にイタリア料理の「パキア」がある。筆者のお目当ては果実酒のキールであるが、孫の希望を聞いて食事はピッツアにした。
 店に着いたのは午前11時すぎだったが、開店早々にも関わらず子供連れ家族連れで次々席が埋まった。新聞テレビは毎日のように赤字決算の企業のニュースを流している。一般紙の経済欄に出る企業の決算記事をみていると今3月期、利益を出し増配を発表している企業も結構並んでいる。
 食事のあとポートライナーで神戸空港駅のひと駅手前にある孫お目当ての神戸花鳥園を訪れた。休日ということもあるのだろうが家族連れで満員の盛況だった。
 神戸花鳥園は最近テレビコマーシャルも流している。料金は小学生以下は無料だが大人1500円だから安いとは思えない。ただ65才以上はシルバー料金で1000円である。例の「バッタ屋」で買うとそれが800円になる。
 呼び物は調教したインコ、フクロウなどの野鳥である。家族連れが多い。しかし、デートコースにもなっているのか、珍鳥を肩に止らせて記念撮影を楽しんでいる姿をそこここで見かけた。
 神戸大丸9階のレストラン街には和食、洋食含めて10軒以上店がある。どの店も店の外の椅子に腰かけて順番待ちしていた。
 日本のGDPの65%は個人消費である。1ドル=90円を武器に使えばいまにも国が潰れんばかりと落ち込むことはないだろう。アメリカ一辺倒、輸出頼みで国内マーケット開拓に国も真剣に取り組んでこなかったとがめが一気に噴出したにすぎない。100年に一度の不況と盛んに口実に使っている。
 借金漬けの米国、米国以上に悪い英国の窮状と比べればいかにいまの日本が恵まれているか。日本の企業の経営者も労働組合も口を開けば政府が悪い、為替が悪いという。自らの判断ミスを棚に上げてよくいえたものだ。ひとのせいにするなら誰でも言える。
 神戸という土地柄かもしれないが庶民はささやかな幸せをエンジョイしている。「パキア」の店内風景をスケッチした。(了)

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航空サーチャージ4月から8割下げへ(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-10 20:10:55 | 経済学
「サーチャージ8割値下げ」、4月から(日航)、全日空も検討という見出しが、今朝の読売新聞経済欄で目にはい入った。欧米線は現行の片道2万2,000円が3,500円(84%下げ)に、ハワイ線は1万4,500円から2,000円(86%引き)に、それぞれ値下げされる。4月改定の基準となる、昨年11月~今年1月分の航空燃料の平均が、1バレル=約116ドルから約65ドルへ下がったためと出ていた。

NY原油(WTI)先物市場は、2月10日、前日比バレル61セント値下がりし39.56ドルで取引された。今朝のWSJ紙は一時バレル42.43ドルまで買われたが、バレル40ドルが心理的な下限線となっている。そのためバレル40ドルを超えて一気に上を目指す勢いは、米国の原油在庫状況や世界的な景気後退といった環境下では難しいという見方がマーケットの主流を占めているとWSJ紙は解説していた。

原油相場の上値を抑えている要因として、世界同時不況が開発途上国の原油消費減速が指摘できる。今朝のWSJ紙は、アジア経済の減速にラテンアメリカと東ヨーロッパ経済の減速が加わってきたと指摘している。アジアでは台湾の1月の輸出が昨年比44%減った。12月のブラジルの鉱工業生産が前年比12.4% 減った。

開発途上国の株価下落と通貨安が需要不振に追い打ちをかけた。対ドルで、韓国ウオンは年初来8%値下がりした。ロシアルーブルとハンガリー・フォリントはそれぞれ14%下げた。メキシコペソは史上最安値を更新した。株価では中国、ブラジルは年初めから10%値上がりした。インドは小幅下げだが、ロシアの株価は10%10%下げた。昨年来、開発途上国経済が、欧米景気の後退のクッションの働きをしていた。今年はそれが消えた。

日本は不思議な国である。自国通貨の価値が上がる「円高」を悲しむ。自国通貨の値打ちが下がる「円安」を喜ぶ。隣国の韓国がウオン安でどれほど悲惨な目に遭っているか。ルーブル暴落でロシアが民間債務繰り延べを要請したと今朝の日経新聞に出ていた。

なぜ円が高くなるか。先で値上がりするとマーケットが見ているからである。餌がもらえると思うから水鳥が日本円に集まる。円高になったお陰で海外から安くものが買える。庶民の購買力が増える。内需だけでは日本は生きられない。安く買えるようになった原材料を武器に、より付加価値をつけて海外へ輸出出来る。たゆみなく技術を磨き、日本が世界一の製品を作り続けられる限り日本は生存できる。

一方、NY外国為替市場で、2月9日、ユーロと英ポンドが買われ、1ユーロ=1.3095ドル、1英ポンド=1.4981ドルで取引された。ユーロも英ポンドも瀕死の白鳥である。英国は政策金利を1.0%まで下げた。EUも先週は利下げを見送ったが3月の次回会合では0.5% 下げて1.5%とするだろう。追加利下げ必至の通貨に対してドルが売られた。なぜか。WSJ紙は米国議会で明日にも8,270億ドルの金融法案が成立するからだと書いた。

ロシアはルーブル防衛のために政策金利を1.0%引き上げた。欧米各国は、景気対策を錦の御旗に青天井でペーパーマネーを印刷する。債券先安を予見して、長期金利が米欧でじり高傾向に変化してきた。長期金利は住宅ローン金利に連動している。今回の世界不況はそもそも借金を返済できないとわかっていた相手にお金を貸したことから始まった。住宅ローン金利高止まりの可能性を示唆している。

暗い話が多い中で、原油安、円高還元策として、日本の航空会社がサーチャージを下げるニュースは大いに歓迎すべき動きであろう。(了)

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疑似餌(ルアー)につられて飛びつかないkとが大切だ(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-09 17:09:13 | 経済学
今朝のNHK・BSの番組で富良野を訪れたニュージーランドからのスキー客にたまたまインタビューしている場面を見る機会があった。「NZドルの相場が一年前は85円だった。今年は50円になった。ホテルでラーメンばかり食っている。」と答えていた。

為替に左右されない経営を考えないといけないということでニュージーランドだけでなくイギリスはじめ欧州のスキー客にも富良野の雪質の良さを訴えたりスキーのあとに露天風呂につかる醍醐味などを欧米のメデイアにも幅広くPRしているとロッジのオーナーが話していた。

改めてNZドルの相場推移を調べてみた。下がり始めたのはわずか半年前である。NZからのスキー客が言うように昨年2月の為替レートは88円だった。先週末のレートは48円である。昨年10月以降の急落が目立つ。9月15日のリーマンブラザーズ破たんが契機である。目先NZドル反発の兆しは見えていない。

日本の個人投資家の中にもNZドル暴落で大損した人は多い。為替はエコノミストの墓場とよく言われる。素人が手を出すものではない。しかし豪州ドルも同じパターンであるが、資源通貨、高利回り通貨と耳元でささやかれるとつい本気になる。誘惑(ルアー)にかられるのでる。薦めた当の銀行や証券会社の窓口はすべて自己責任ということで相手にしてくれない。

為替レートは利回り格差優位の通貨は買われやすい。水は高きから低きへ流れる。お金は低きから高きへ流れる。一年前の2月のNZの政策金利は年8.25%だった。現在3.5%まで下った。一年前の日本は0.5%だった。いま0.1%である。NZドルはまだお得ですよと懲りずに薦められている人は多い。

日本のマスコミは為替レートで円が高くなることで悪い話ばかりを流す傾向が強い。円が高くなるということは同じ品物がその分安く買えることを意味する。ニュージーランドもそうだが日本は豪州からNZよりはるかに多くの資源を輸入している。身近な例が肉類である。

農林水産省がまとめた我が国の肉類の需給バランス表がある。年ベースで350万トンが国産で450万トン前後を輸入している。米国産肉がBSE問題で敬遠されたあと豪州産が増えた。日本の肉類の輸入価格の推移を見るとトン60万円台で推移している。年によって上がり下がりはある。ところが前年同月比で昨年10月93,11月80,12月73である。

詳細不明であるが為替レートが大きく円高に振れたタイミングとドンぴしゃり一致している。輸入価格が目に見えて値下がりしている。円高で大変だとまるで自分の会社のPR紙のようにマスコミは報道するが、円高でメリットを享受している日本人が同時に存在していることをなぜ取り上げないのだろうか。

遅くとも米時間火曜日2月10日に景気刺激策法案が米上院を可決する。いよいよ天井知らずにドル紙幣が供給されることになるだろう。法案通過期待でNYダウが先週末217ドル上げた。円を売ってドルに換えて米株を買った。円は1ドル=92円台まで値下がりした。疑似餌(ルアー)に幻惑されて飛びつかぬことが今こそ大切だと思われる。(了)

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トヨタ赤字決算に惑わされないことだ、NYダウ217ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2009-02-07 10:02:52 | 経済学
トヨタが2月6日、今3月決算予想を売上21兆円(5,000億円減)、税引き後3,500億円赤字と発表した。ただ、記者会見の様子をテレビ画面で見ていると、「原材料価格は低下している」という言葉を添えていた。国際商品相場は原油相場の1/3への値下がりを筆頭に鉄鉱石相場も値下がりしている。景気が落ち着きを取り戻せば、トヨタは真っ先に立ち直ってくるであろう。

ニューズウイーク2月11日付け日本語版に、勝ち組企業としてトヨタを上げ、「世界経済が回復し始めた時、トヨタの競争力はこれまで以上に高まっているはずだ」という自動車専門家のポール・イングラシア氏のコメントを紹介している。同氏はトヨタには現金などの手元資金が279億ドル(2兆5,844円)あることと米ライバル企業の体たらくを理由にトヨタを高く評価している。 

財務省統計によれば、昨年12月のわが国の輸出額は4兆8,333億円(前年同月比35%減)、輸入額は5兆1,539億円(同21%減)となっている。為替レートは一年前の1ドル=110.5円から1ドル=93.53円へ18.1%円高となったことも金額ベーての減少に影響している。

日本の新聞だけを読んでいると円高のマイナス面ばかり強調しているように映る。12月限月のみで日本が5兆円規模の輸入大国であり、円高の恩恵を大いに享受していることになぜか触れようとしない。ドルベースでは18%安く買える。肉、穀物、鉱産物を大量に輸入している豪州は豪ドルが40%以上値下がりした分確実に安く買えるから笑いが止まらないだろう。是非マスコミは喜びの声を取材してほしい。

農林水産省が1月30日に発表した統計によると、昨年12月分のサンマの卸売価格が前年同月比48%低下と出ていた。年間平均でもサンマは10%値下がりしている。国民一人当たりの魚介類の国内消費量は平成19年で32キロとピークの平成13年の40キロから減っているがボトムの昭和39年の25キロからは増加している。

国民一人当たりの穀類の消費量はピークの昭和37年の150キロから平成19年の94キロに減っているが、コメが118キロから61キロへ減ったためである。小麦は32キロ台で微増している。小麦はほぼ100%輸入である。小麦の国際相場上昇でパンは小粒になり値上がりした。昨年高値から1/2近くまで値下がりした。円高も進んだ。国際相場上昇でパンがこつぶになり値上がりした。国際相場は値下がりした。パンは大きくならない。値段も据え置きだ。

話は飛ぶ。米労働省は今年1月の米雇用数が59万8,000人減少したと発表した。1974年12月以来の34年ぶりの大幅減少である。これで落ち込むかと思うとアメリカ人はそうならない。NYダウは前日比217ドル高、8,280ドルで取引を終了した。雇用情勢悪化で米議会での金融安定化法案の審議がスピードアップするとして金融株が大幅高となり相場全体をけん引した。

NY外国為替市場では、株高を好感してドル買い戻しの動きから円が売られ1ドル=92円台で取引された。円を売り米株を買う動きが加速した。米国景気は今最悪の状態にある。しかしCNNテレビは相場は底かとはしゃいでいた。

悪い材料で落ち込む日本。ピンチをチャンスととらえるアメリカ。トヨタ赤字決算に惑わされないことだろう。(了)

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