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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

物理学的人生論

2011-05-01 06:41:00 | 科学/考察
 
 高校時代に読んだ本なので中身はすっかり忘れてしまったが、人生論まで語れるような学問って素晴らしいと、大学では物理学をやりたいと思ったものである。(残念ながらと言うか、薬学部に進んでしまった)
 4月19日にNHKのBSプレミアム『コズミックフロント』で放映された「ダークマターの謎に挑む」を見ていて、その本のタイトル『物理学的人生論』を思い出していた。

 ニュートンの古典力学であらゆる物理現象を説明できると思いきや、微小/巨大な世界では通じないことが分かり、ハイゼンベルクらの量子力学やアインシュタインの相対性理論そして大統一理論が生まれた。
 そして今、ダークマターやダークエネルギーの存在が想定される段になってきて、「超対称性理論」なる説が唱えられるようになった。ただしこれが完成したところで、また別の謎が出てくるのかもしれない。(もし謎がすべて解明されたら、それはそれで、つまらないだろう、と)
 一つ解決したと思ったら次の問題が出てきて新たな理論が構築されるという、その繰り返し。だから物理学含め他の学問も、人生に似ているな、と思った次第。これはまた、ニーチェの〈永劫回帰〉ともつながるような…。

 話戻って、なかなか捕らえることのできないダークマターであるが、僕らの体はおろか地球をすり抜けるにも拘らずニュートリノと違ってかなりの質量があるらしい。とすれば、その昔存在を予言されながら否定された、宇宙空間を満たし光を伝えるとされた〈エーテル〉なるものは、実はダークマターだった、ということになるのかも。

 ところで、医学や数学、法学や経営学から人生論は組み立てられても、薬学からは難しいように思っている。薬学出身の作家が少ないこととも、関係があるのかもしれない。

〔冒頭の写真は、宇宙の大規模構造(国立天文台のHPより)〕
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