1993年5月15日(土)。
今はもう解体されてしまった東京・国立競技場にて「ヴェルディ川崎vs横浜マリノス」を、マリノス側ゴール裏から観戦していた。そこそこの倍率だったと思うが抽選で当たった〈プラチナチケット〉は、今でも僕の宝物。
野球部に入っていた兄貴のマネをしたくなくて、中学ではサッカー部に入り、小さい体で(今からすれば)重い重いボールを蹴っていたもの。それから20年、世界的な競技というのは知っていたが、この日本にプロサッカーが誕生するとは思っていなかっただけに、〈Jのテーマ〉やチアホーンが鳴り響く中登場した〈サッカーキング〉やきらめくスポットライトを目にしながら、「サッカーやってて良かった。生きてて良かった」と泣けてきたもの。僕の人生の中でも、最も幸せだった瞬間の一つ(英語の文章みたいになってしまった)。それもこれも(今の僕とほぼ同じ年齢の)川淵チェアマンはじめ関係者の努力があればこそ。
ジーコ(鹿島)にリネカー(名古屋)にリトバルスキー(市原)に、世界でも超一流の選手もたくさんいて、それはそれはワクワクしたもの。
そして25年、シンボルマークに明治安田生命のロゴが入っていささか興ざめながら、まだまだ続いているのは嬉しい限り。ただ時代の流れか、開幕戦を飾ったマリノスはフリューゲルスを吸収して「F・マリノス」となり、一方のヴェルディは本拠を移して「東京ヴェルディ1969」となりJ2から上がれないでいる。
また慣れ/飽きてきたこともあって、当初ほど面白く試合を見ることは少なくなった。上位同士の対戦を除くと退屈な90分間であることが多い。パスは通らないしすぐタッチに逃げるしトラップ大きいしシュートふかすし。だから最近は、時間もったいないので、筋トレやりながらパソコンやりながら見ることも。イングランド・プレミアリーグの「トットナムvsレスター」を見たけれども、全然違う。
そう言えば少年サッカーでも、タッチラインにボール出した子供に監督が「よーし」と言っているのをよく見る。いいのかねえ(僕も現役の頃はすぐ出していたけれど)。欧州CLやクラブW杯なんか、ボールがなかなか外に出ないので集中して見ていられるし、90分間もアッと言う間。ボール出すもんかという、意地みたいなものがあるのかもしれない(皆さんもそういう目で見てみてください)。タッチに出す出さないは、技術の問題と言うより、おそらく気持ちの問題。Jリーグも、いつかはそうなってほしいもの。
ブラジルなんかのストリートサッカーでは、タッチラインも、ひょっとしたらゴールラインもないんじゃないか。であれば、タッチに逃げる発想自体、そもそもないはず。
さてさて、ポドルスキに続いて神戸にイニエスタが入るかもしれないとのこと(これまたワクワク)。現役のスペイン代表だから、おそらく日本では飛び抜けて上手いはず。ただチーム競技なので、一人二人傑出していてもそうそう勝てるものではない。これはじき始まるロシアW杯にも言えることで、世界的選手がいない日本代表でも、チーム力が上であれば一流ストライカーのいるチームに勝てる、かも。
…期待と希望を込めて。