「なかいま」と読む。神道の言葉で「今、ここを生き切る」という意味らしい。
昨年末、疲れがたまっていた時に読んだ、矢作直樹氏の『自分を休ませる練習』という本に教えられたもの。
何かを感じるのも考えるのも、今ここでだけ。はるか彼方から続く〈過去〉、そしておそらく永遠に続く〈未来〉はあるけれど、今ここだけ。遠大な過去の中に生きることも、無限の未来の中を生きることも、誰にもできない。(禅問答あるいは哲学的になってしまうが)
ちょっと難しいんだけど、この感覚を摑むと、すごくいい感じになれる。今…いや最近はやりの〈マインドフルネス〉にも通ずるものらしい。
去年だったか、「世界は驚きに満ちている」という一文を載せたことがあるが、それにも近い感じ。
もちろんノイローゼやイジメ、病苦に貧困など、現時点から一刻も早く抜け出したい人もいるはず(僕もすぐノイローゼっぽくなる)。それでも、何かができるのは今ここだけ。ツラいだろうけど、今しかない。少なくとも「明日やる」ということを今、決めなくてはいけない。
そうそう、これまた去年『僕らは奇跡でできている』というテレビ番組があった。非常にいいドラマで、高橋一生扮する主人公・一樹が、はるか昔から続く先祖のお蔭で僕ら生きているということを熱く語っていた。(これはまた、かの有名な『いのちのまつり』でもある)
もう一つ、樹木希林の遺作となった『日日是好日』という映画があった。雨の日は雨を楽しみ、寒い時は寒さを味わう、というような意味だったと思うが、黒木華も上手く演じていて、実にいい映画だった。
そう言えば、マインドフルネスや「今ここ」をテーマにしたような本や映画が多くなっているような気がする。中今を生きるに通じるような、そんな時代の要請なのかもしれない。
とまあここまで考えると、今という時がいとおしくなるし、今を同時に生きているすべての人たち/動植物たち/物さえも、いとおしく思えてくる。
…感覚的なものなので、分かりづらかったかもしれません。