行きつけの酒屋さんで“あらばしり”というのを教えてもらい、予約してみた。
あらばしり。これは銘柄ではなく、発酵の終わった醪(もろみ)を槽(ふね。お酒と酒かすとを分ける装置)にかけて搾ったとき最初に出てくる少し白濁した原酒のことだと、買った瓶のラベルには書いてある。再春館製薬のドモホルンリンクルみたいなもののようだが、とても貴重なお酒らしい。長いこと日本酒は飲んでいるが、初めて知った次第。
確かに少し濁ってはいるがにごり酒とはまた違った口当たりでほんのり甘くてとてもおいしい。ついつい飲み過ぎてしまったが、いいお酒だからか翌日さほど残ることはなかった。
買ったのは大村屋酒造「虎御前」という銘柄のもの(1490円と手頃)。どうも酒造りの最初の時期にしか出来ないようで、250本の限定品(ラベルにはシリアル番号も)。皆さんの所にも地元の銘柄であるはずなので、お酒好きな人は是非。(来年になってしまうかもしれませんが)
しかしこんなウマい酒を味わうと、大量生産の「白鹿」やら「白鶴」やら「松竹梅」やら「菊正宗」やら、失礼ながらとても飲めたもんじゃない。もう何年も口にしていない。
そう言えばきのうの朝日の日曜版に、こんなことが書いてあった。
ビールは20代・青春の酒、ワインは30代・恋愛の酒、ウイスキーは40代・男同士の酒、日本酒は50代・人情の酒、焼酎は60代・達観の酒、とな。なるほどね。(かく言う僕は50代)
麹(こうじ)が生きている状態なのですぐに味が落ちてしまうらしく、早めに飲んだ方がいいそうだが、もったいなくてまだ少し残してある。他のお酒に少し混ぜて、麹が育っておいしくなるか、試しているところ。