思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

アメリカ・無実(冤罪)と言われるトロイ・デービス死刑囚に刑執行!

2011-09-22 | 社会批評

以下は、毎日新聞です。


<米国>有名死刑囚に刑執行 一貫し冤罪訴え、国内外で批判
毎日新聞 9月22日(木)18時41分配信


刑務所で姉のマルチナ・コレアさんと面会したトロイ・デービス死刑囚=コレアさん提供
 米南部ジョージア州で21日深夜、米国で最も有名な死刑囚の一人だった黒人男性、トロイ・デービス死刑囚(42)に対する死刑が執行された。事件発生以来、一貫して冤罪(えんざい)を訴え、無実の可能性が指摘される中での刑執行に、国内外から批判や反発が強まっている。

 デービス死刑囚は89年8月、同州サバナのファストフード店の駐車場で、白人の男性警官を射殺した疑いで逮捕された。同州には公的弁護制度がなく、デービス死刑囚は弁護士なしで出廷し、死刑判決を受けた。

 ところがその後、支援団体の調査などで、当時の現場は暗く、犯行目撃が難しかったことなどが明らかになり、目撃者9人のうち7人が証言を変えたり撤回したりした。ロイター通信によると、警察の証言強要を訴える目撃者もおり、デービス死刑囚の犯行を裏付ける物的証拠はない。

 刑執行日はこれまでに3度設定されたが、カーター元大統領やローマ法王ベネディクト16世、南アフリカのツツ元大主教ら国際的な著名人や、米国の黒人団体を中心に多くの市民団体が反対、執行が延期されてきた。連邦最高裁は09年、公判やり直しを命じたが、地裁は翌10年、「評決を覆す必要はない」と、退けた。

 AP通信などによると、21日には同州刑務所前に市民ら約700人が集結し、執行反対の声を上げたほか、首都ワシントンやフランス・パリでも反対集会が開かれた。100万人の署名を集めた国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)のメンバーは「ジョージア州は、政府の生殺与奪権が信用できないことをまさに示している」と評した。

 連邦最高裁は21日深夜、弁護側の死刑執行停止請求を棄却。米メディアによると、デービス死刑囚は執行直前、立ち会った被害者家族に対し「事件は私のせいではない。私は銃を持っていなかったし、殺していない。私は無実だ」と述べたという。その後、薬物注射によって死刑が執行された。弁護士は「今夜、ジョージア州は無実の男性をリンチ(私刑)した」と批判した。

 また、殺された警官の妻は執行後、「(死刑になっても)何の喜びもない。デービス死刑囚の家族に祈りたい。今度は彼らが私たちの痛みを知る番だから」と話した。【服部正法、ニューヨーク山科武司】



日本もアメリカに追随していたのでは、未来は拓けません。無実の可能性のある人(今回は無実の可能性が極めて高いと言われている)に死刑を執行するのは、最悪の国家です。

司法に携わる人は、【人権と民主主義の原理】を明晰に自覚する作業が誰よりも必要です。この作業を日常化しなければ、形式善により人間を殺すという悪は避けられません。通常の犯罪として行われる殺人行為とは次元を異にする最も酷い悪が、国家権力による冤罪=合法化された殺人処刑であることを心に深く刻まなければいけません。

上記の死刑判決は、『合衆国憲法』修正第6条に反して行われたものであることは明白です(「被告人は、嫌疑の性質と原因を告知され、自己に不利益な証人に対決し、自己に有利な証人を強制的な令状により喚問してもらい、弁護のために弁護士の補助を受ける権利を有する」)。

わが国でも、連続する冤罪事件(検察庁による犯罪)と惰性的な裁判(悪しき役人根性がもたらす形式主義の司法)によるデタラメな裁判が相次いでいます。『日本国憲法』を守るという最低限の義務を果たさないようでは、司法の自殺行為というほかありません。憲法第38条の3「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」


武田康弘





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