思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

多様な価値観の共存が優れた国をつくるー『NHKクローズアップ現代』トルコを取材

2011-12-07 | 社会批評

トルコの宗教はイスラム教ですが、政教分離政策をとり、徹底した世俗化(=市民社会化)を進める中東の要の国として知られます。
いま、市民革命により急速な民主化が進むアラブ諸国、その先進モデルともいえるトルコを取材したNHKの『クローズアップ現代』を見ました。

国谷キャスターの質問に対して、トルコの首相首席補佐官は、多様な価値観の共存こそが市民社会と国家を優れたものにすると主張し、東西文明が融合する地点にある(アラブとヨーロッパとアジアとアフリカの合流点でもある)トルコが進める多文化主義の意味と意義を説明していました。知的にして情熱的、柔軟にして自信に満ちた首相補佐官の言葉を聴きながら、ふと、思いました。

2600年前、地中海に面した港町のミレトス、この世界に開かれた交易の中心地から「普遍的な考え方」を求める営みが始まりました。哲学の祖と言われるタレスら自然哲学者たちは、宗教的な考え方・生き方を超えて、人間と自然について考える「原理」を見出そうと努力したのですが、それが哲学の始まりです。

いま、文明の転換期に際して、同じ地から(当時のミレトスはギリシャ領)宗教的思考とは異なる豊かな普遍性=人間性をもつ考え方が生まれているーー
トルコの首相首席補佐官の言葉を聴き、その表情と態度を見て、
うーーん、と唸り(笑)、感心しながら、そう思ったのでした。


武田康弘
コメント
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