まず、確認しなければいけないのは、1870年代以前に、尖閣列島(魚釣島)が日本の領土であったことは一度もない、という単純な事実です。意見ではなく「事実」です。
この問題を考えるためには、
古代、中世からの歴史的な事実と、
明治政府の対応と、
1945年の無条件敗戦がもたらした事実について知る必要がありますが、
外務省国際情報局のトップを務め、防衛大学の教授を7年間務めた孫先享(まごさきうける)さんの書いた『日本の国境問題』-尖閣・竹島・北方領土(ちくま新書・760円)※を見れば明瞭です。
簡単にわが国の領土とはいえないことがよく分かります。公平に見れば、歴史的には台湾に帰属していたと見るのが妥当でしょう。
これを買い取ろうというのですから、石原慎太郎という人物には言葉もありません。わざわざ酷い摩擦を起こして得する人は誰もいません。自身のエゴ=権力欲を満足させるために地位と権力を用いる、民主制社会ではあってはならないことです。
論じる前に、まずは、知ることが必須です。
※尖閣列島(釣魚島)の歴史的背景については、58~72ページ
また、竹島(独島)については、144~152ページ。
武田康弘