いま、「セクハラやじ」というテレビ番組を見ています。鈴木章浩都議会議員の謝罪会見ですが、
女性の人権への攻撃(ジェンダーフリーへの批判)は、安倍首相の本『美しい国へ』や、安倍首相の友人で政府の教育再生実行委員である八木秀次(麗澤大学教授)の『反「人権」宣言』で明白に主張されています。
安倍首相は、本の中で、
いろいろな家族があっていい、という現行の家庭科の教科書は大きな問題であり、あるべき家族の像(「大草原の小さな家」がモデル)を示す必要があり、教科書を変えなくてはいけない、行き過ぎた女性の人権運動(ジェンダーフリーという言葉と概念を根本から否定)は日本をダメにする、と主張していますし(213~214ページ)、
八木秀次麗澤大学教授は、欧米、とりわけ女性や子どもの人権が進んだスウェーデンは、ヘロインのとりこになる若者が増え、少年犯罪と非行の国であると断じています。
「男女参画社会」は、人間をカタツムリのような雌雄同体の生物にする思想であるとしています。戦後の日本をダメにした元凶は、欧米の人権思想にあり、とりわけ、女性と子どもの人権という思想が家族の解体と母性の否定を生みだした、と書きます。あとがきには、本文を補強するように執拗にこのことが繰り返されています。
彼ら自民党右派の国体思想は、近代民主制や民主的倫理という思想とは根本的に相容れないのです。
彼らはみな同じ穴のむじなであると断言できます。反論できる方がいますか?
(注)「ジェンダーフリー」とは、従来の固定観念を縛られず、男女共に多様な生き方を可能にしようという主張です。性差をなくす、とか、性差はない、という思想ではありません。安倍首相は、「美しい国へ」でこれを強く否定しています。(クリック) 言葉そのものを禁止すべきだという意味不明の主張で、安倍首相の異様性がよく表れています。215~216ページ。
武田康弘
追記:Facebookでこのblogをシェアした方の友人に向けて以下を書きましたので、貼り付けます。
思想を読み取り、その問題性を指摘することはとても大切です。
「美しい国へ」は、安部氏の宣伝用の本ですから、表現はオブラートに包んでありますが、彼の本と彼のブレーンの本を併せて読むと、その言わんとする内容=イデオロギーが明確になります。
とりわけ長年にわたり親交をもつ友人で、安倍氏の持論である教育改革(教育基本法を公明党の抵抗を押しのけて改定した情熱は凄まじいものでした)を進めれる政府の教育再生実行委員に抜擢した八木秀次(高崎経済大学教授→麗澤大学教授)の本「明治憲法」「反人権宣言」との併読は深い理解に欠かせません。
なお、「美しい国へ」では、愛国心や日本人としての誇りをもつ教育=自虐史観(ウヨク用語)の排除を謳い(202ページ~)ゆとり教育の批判と大胆な義務教育の改革を主張(206ページ~)自身が自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の座長を務めていたと書き、家庭科の教科書が「典型的な家族のモデルを示さず」に「家族には多様なかたちがあっていい」としていることを批判、事務局長の山谷えり子が国会で何度もこのことを指摘したと書き、ジェンダーフリーを排除する姿勢を明確にしています(215ぺージ以降)
こういう彼の本の叙述と、以前からの持論=教科書の改訂(政府関与)の主張とを併せて紹介したのがわたしのblogです。
さらに、彼の意図を明白にするのが八木秀次の本で、そこには、露骨なまでの「個人」という概念の否定と「家族」こそ単位であることが力説され、女性や子供の人権という思想が日本をダメにしたと書かれています。また、安倍氏に抜擢されてNHKの経営委員になった長谷川三千子(埼玉大学名誉教授)の驚くべきウヨク思想や性差の強調も併せて読まれると、より安倍氏の意図が明白になります。
ppppp