わたしたちは、状況の中でしか生きられませんが、人間的自由は、状況を対象化→相対化することを可能とします。
状況は、わたしたちの意識を包み込み、特定の価値意識や見方をもたらします。誰でもが絶えずその観念に多かれ少なかれ染まります。脳は、「染脳」されます。あるいは、権威や既成秩序がつくる想念に占領されがちです。「占脳」です。
哲学と訳されているフィロソフィ(恋知)の最大の仕事は、日々、知らずに「染脳」「占脳」されている脳を透明にすることです。脳を洗いきれいにすること=「洗脳」は、自覚的に取り組まないとできません。放置すれば、気づかぬうちに汚れ、濁ります。
権威に従うのではなく、大きな力に流されるのではなく、深く納得できる意味充実の生を可能とする条件は、自らをよく洗脳する生活習慣です。
武田康弘