意識がいつも自分に向かっている人は、不幸です。
自分に向かっていると、憧れの世界・善美の世界に向かいません。
自分と自分の家族中心の人生には出口がありません。
他者のよろこびをめがける心に乏しいと、自他の楽しさが広がらないからです。
自我の鎧のために、芯からの笑顔がなく、
自然態の柔らかさがなく、
他者をよろこばせたいというサービス精神がない。
皆へという広がりがなく、自分と自分の家族のことばかりで、他者への配慮と善美への希求がない。
自己をしっかり愛せない人は、そういう世界から抜けられません。
自己愛がないために、狭い自己に集中してしまい、他者愛に向かわないのです。
自分と家族しか見えないのでは、悦びの乏しい人生しか得られません。
他者へ向かう心、他者を愛する心、他者の役に立ちたいと願う心が大切です。
人間存在とは相互性なので、他者のよろこびをめがける「私」の意識が自らのよろこびや得も大きくします。
子育て・教育で一番大事なのは、心身全体による愛でこどもを包むことです。それにより、こどもは深く自分の存在を肯定でき、自分を愛する心が育ちます。
豊かで安定した自己愛は、自己への固執を超えさせます。
自分の意識は、みなへ、と向かうことで、きれいに燃えます。
意識が自分ばかリに向かうと、不完全燃焼を起こし有毒なガスを放出してしまうのです。
武田康弘