安倍自民党は、とても分かりよく、明治維新の国体思想を新憲法草案に書いています。この本は、簡明にその意図を伝えます。これからの日本の中心となる学生(高校生ー大学生)には必読本です。著者は自民党関係者ではなく、その意を分明にして危険性を知らせる市民グループです。
また、安倍首相の友人で、政府の各種諮問委員を務める八木秀次(高崎経済大学→麗澤大学教授)は、
「 欧米のつくった人権思想は、個人主義に立脚する闘争の論理であり、家族主義に立つわが国には合わない。とりわけ子どもの人権と女性の人権という思想は、排さねばならず、日本は伝統を踏まえて『国民の常識』に戻るべきである、人権という言葉に怯える必要はない。」と言い、「反人権」を謳います。
これを知れば、長州藩を中心とした国体思想による全国支配を再度実現し(敗戦により失った明治主義を取り戻す)、一人ひとりとしての「国民」と官僚政府としての「国家」を統合し、明治維新政府の国権政治を打ち立てようとする強い決意が分かります。
「戦前思想への回帰」は、個人の抑圧=個人主義の根絶という意味ですが、ほんとうは、個人意識の涵養=個々人の自由な思想と行為こそが優れた国を生むことを知らない愚かな所業です。社会全体という意味での国を栄えさせる「自治政治としての民主政」を広め深めることでしか諸問題は解決しません。これは人類普遍の原理です。
武田康弘