思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

朝、6時、桜のじゅうたん 拙宅から子の神境内と旧村川別荘

2015-04-06 | 趣味

親友の中津川督章さん寄贈の幾何学的彫刻「ボコス」です。台座は、佐治正大さん(石の彫刻家)寄贈です。
プラトンのアカデメイアが幾何学を重視したことによります(わたしの主催する「ソクラテス教室」にちなんで)。
奇遇なのは、奥に見える村川別荘ー村川堅固、堅太郎親子は、古代ギリシャ史を中心とした歴史家だったことです(共に東大教授)。

 

子の神境内

他の写真は、Fbに載せました。  ソニー RX-1R(ツァイス・ゾナー35mmF2)

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「迷惑をかけあう」のが人生なのです。何事も、まずは、自分の自由にやってみることが大切。

2015-04-04 | 恋知(哲学)

迷惑がかかるから~~ とか、
嫌われるのがいやだから~~~とか、
顰蹙(ひんしゅく)を買うのがこわくて~~~とか、
思う人が多すぎます。

ほんとの意味でよく生きるには、
まずは、なんでも自分のよいと思うことをやってみる、言ってみるという「小さな勇気」(顰蹙を買う努力・笑)が大切です。
人間の人間らしい生は、自由に考え、自由に発言し、自由に行為するのが基本であり、その上に、他者からの眼差しや言葉に応えるのが「正解」なのですが、これを逆に思っている人が、わが日本人には多すぎます。

生の基本の態度が逆転しているので、「幸福をつくらない日本というシステム」が出来てしまうのですね。他者におびえたり、他者に遠慮したりするのは、かえって全体を不幸にします。

まず、思うように言ってみる・やったみる。その結果、他者からクレームがくれば、対話して変えるべきは変える、謝るべきは謝る、というのがほんとうの生き方です。
はじめに他者の思惑や、どうでもよいような規則(もどき)を気にして小さくなっていたら、プラスの世界は拓けず、ただマイナスがないようにと、まるで役所勤めの人に多く見られるようなツマラナイ人間になってしまいます(そうでない公務員の方もいますが)。

管理社会を肯定してしまうと、「私」の悦びが減るだけでなく、みなの悦びの可能性を底から奪うことになります。他者を気にしてビクビクするような生き方・言動は、全体をジリ貧にさせる「深い悪」なのです。そのことの自覚は何より大切です。

生きるとは、互いに迷惑をかけ合うこと(小さな悪を許容し合うこと)であり、それを避ければ、緩慢な死に至ります。
イキイキ・ドキドキ・生の発露は、自由な言動からしか生まれません。
でも、「これは我慢できない」と思うことは、明瞭に爽やかに相手に伝える、という態度を取ることです。後腐れのないサッパリとした言動が何より大切です。

内輪で、陰で、裏で、というのでは、エロースに乏しいつまらない人生しか得られません。発言や態度表明も匿名でしかできない人生では哀れもいいところですね。あなたは大丈夫ですか?(失礼)。

武田康弘

 

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見事なベートーヴェン・ピアノソナタ全集に出会い、興奮! ポール・ルイス

2015-04-01 | 芸術

 


まず、16番から聴き始めたのですが、一瞬にして引き込まれました。
流麗で、テンポ感がよく、美しい音。若々しく、みずみずしく、気持ちよい。

その後、次々と聴きましたが、1番2番3番の初期のソナタからして、一曲一曲の違いを丁寧に弾き分け、すこぶる充実した音楽で、ベートーヴェンは、最初から驚くほど内容の豊かな音楽を書いていたのだな、と認識を新たにしました。あの天才グルダの演奏が一本調子に聞こえてしまう!

後期の3曲は、抒情的な優しさを感じ、洗練された響きで淀みなく流れますが、細部まで実によく考え抜かれた演奏で、爽やかで充実感があります。軽やかに躍動するリズムが、後期の曲は難しいというイメージを完全に払拭。

どの曲も、洗練された聴きやすい表現ですが、軽薄さとは無縁。続けて聴いても飽きることがないのです。
ポリー二のような情緒の不足は微塵もなく、固い響きもありません。
ブレンデルのような教科書風の退屈さとも無縁で、流れが止まり、音楽が澱んでしまう箇所は皆無です。ブレンデルは、テンポを落とすと音楽が止まりがちですが、ルイスは、グッと腰をおろしてスローにしても音楽は動きを止めません。

荒い打音はありません。「熱情」も素晴らしい迫力で、技巧も高いですが、柔らかみをもち、キツい音にはならず、上質さを失いません。独創的かつ普遍的で感嘆するほかありません。どの曲も打鍵に余裕感があり、品位が高いのが特徴ですが、その品位は、貴族趣味やエリート臭さとは無縁で、健康な近代的市民の品位なので、誰しもが好感をもつでしょう。それに、身体の大きさ(?)からくる余裕の強音は、なんとも気持ちよい。

「悲愴」、「月光」というポピュラーな曲も実に新鮮に聞こえます。大変な名演です。最大の難曲、29番「ハンマークラヴィーア」は、これまで満足な演奏に出合いませんでしたので、おそるおそる聴きましたが、杞憂でした。力まずに豪快、カッコよくて痺れます。2楽章は軽やかで楽しく、長大な3楽章はチャーミング、終曲はとてもスケールが大きい。

 これは、一押しの全集です。

古い名演、バックハウスは動きが鈍く面白味が少ないですし、ケンプは抒情性の豊かなところは共通ですが、感覚の洗練や知的な解釈、それに技巧で劣ります。グルダの見事な演奏も全曲が色が同じで飽きがきます。アシュケナージは音楽職人で面白みがありませんし、ポリーニはイタリアの大理石でベートーヴェンの豊かな感情世界とは無縁です。最近ではシフの演奏は優れていますが、頭でつくられた感じが残り、うまく乗れません。バレンボイムのは外側からつくられた音楽で興ざめですが、対してルイスは、内側からの音楽で、感じ切っています。誠実・真心に満ち、自己顕示がなく、落ち着きがあります。

偉大なベートーヴェン、音楽の帝王という過去の像ではなく、豊かな人間ベートーヴェン、若々しく健康で美しい新しいベートーヴェンです。今まで聞いたことのない独創の塊なのですが、とても自然なので、違和感がまったくありません。知情意と想像力の四つのすべてに満足ですし、スケールの大きな打音には生理的快感があります。音楽の意味と構造を俯瞰的に捉え、三次元的な広がりと大きさをもち、音は凛として立ちますが、これは超一流の証。多色多彩、パレットに色がたくさんあり、次々と変わりますーまるでホロヴィッツのようですが、ベートーヴェン演奏としては、ルイスの方により普遍性を感じます。

強靭でかつ抒情的、心優しく爽やかで、軽薄とは無縁の軽さ。音も和音も透明。何度でも繰りし聴きたくなる名演ばかり。ルイスは、誠実で内面世界が豊か、こころから感じ切っています。音楽への純粋な愛があり、コンクール主義とは無縁な稀有な存在と思えます。幼いころから芸を仕込まれた〇〇という感じがなく、自立する人間=芸術家そのものです。

まったく知らずに出会ったポール・ルイス、3週間毎日聴き続け、感動!興奮!  お さ ま ら ず。



続けて、シューベルトアルバムも購入。これまた呆れるほどの素晴らしさ!


武田康弘


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