漏斗型 2023-07-25 23:33:35 | 文学 彼の眺めていたのは一棟の産科婦人科の病院の窓であった。それは病院と言っても決して立派な建物ではなく、昼になると「妊婦預ります」という看板が屋根の上へ張り出されている粗末な洋風家屋であった。十ほどあるその窓のあるものは明るくあるものは暗く閉ざされている。漏斗型に電燈の被いが部屋のなかの明暗を区切っているような窓もあった。 ――梶井基次郎「ある崖上の感情」 #本(レビュー感想) « 三浦哲郎対村神春樹 | トップ | 春の祭典をしのぐ酷暑に断固... »