1993年初版 1994年 第3刷 ルイザ・メイ・オルコット/著 谷口由美子/訳 徳田秀雄/絵
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「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
『愛の四少女』の後、『故郷の人びと』を読んでしまったが、その間に本作が入る
講談社青い鳥文庫で検索すると、すでに図書館に1588件ヒットする/驚
いったい全部で何冊あるんだろう?
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青い鳥文庫ってなに?
大勢の個性的な子どもたちをイキイキと描き分けていて
オルコットの深い人間愛が伝わる
【内容抜粋メモ】
登場人物
ジョーおかあさん
ベア先生
ロブ ベア夫妻の長男
テディ ベア夫妻の次男
フランツ ベアの亡き姉の子
エミル ベアの亡き姉の子
メグ ジョーの姉
ジョン メグの夫
デミ 双子の兄
デイジー 双子の妹
エミー ジョーの妹
ローリー エミーの夫
ベス 娘
その他の生徒
ナット、ダン、トミー、ナン、ジャック、ネッド、ジョージ(スタッフィ)、ディック、ドリー、ビリー
●ナット登場
ローリーの紹介でプラムフィールドにやって来たナット
父と旅回りをしていたが、父が亡くなり、身寄りがなくなった
バイオリンの才能をローリーに認められている
人好きなトミーがみんなを紹介してくれて
土曜の夜は15分だけ枕投げをしていいというルールに驚く
規則で縛って勉強漬けにするのは間違っているというジョーとベア先生の考え
その代わり、ルールを守れなかったら、次の土曜の枕投げは禁止となる
エネルギーを思いきり発散させるほうが規則を守れるようになった
●プラムフィールドの子どもたち
トミーは学園一のいたずらっ子
ジョージは食べるのが大好きで、いつも食べてばかりいるので“スタッフィ”と呼ばれている
学園では自分をよく知り、自分のことは自分でできる人間になることを大切にされている
●日曜日
日曜はそれぞれ朝の仕事をしてから、5キロ先の教会へ出かける
『良心のノート』にそれぞれ1週間の様子を書き
ジョーとベア先生が読む
それぞれペットを飼っていて、動物園のようになっているのを見せてあげるトミー
トミーはメンドリを飼っていて、産んだ卵をジョーおかあさんが買ってくれる
ナットに卵を集める仕事をあげて、稼ぎの一部を分けることにする
「トミー・バングス商会」に入れたことを誇りに思うナット
畑ではそれぞれがいろんな作物を世話している
ここは学校というより、ひとつの大きな家族だと思うナット
ジョーがピアノを弾き、ベア先生はチェロ、ナットはバイオリンを弾いて
素晴らしい音楽会となる
デミがナットにキリストの絵の話をしているのを聞いて感動するジョーおかあさん
●ベア先生、ごめんなさい
字が上手く読めないナットに、年長のフランツが勉強を教えてくれる
ベア先生:学びたいという意欲さえあれば、戦いは半分勝ったようなものだよ
ローリーは服や本を送ってくれる
ジョーおかあさんは友人から不要のおもちゃをもらい
修理して、クリスマスに近所の貧しい子どもたちにプレゼントしている
デイジーは音楽が大好きで、バイオリンの上手いナットを尊敬する
ナットは、みんなに笑われるのが恥ずかしくて、ついウソをついてしまうと告白
ベア先生:
今度、ウソをついたら、私が君を罰するのではなく
君が私を罰することにしよう
エミルのトウモロコシ畑が荒らされた原因はナットなのに、ウソをついた時
ベア先生の手をものさしでぶたなければならず
二度とウソをつかないと誓う
●デイジーはコックさん
男の子ばかりの中に1人だけ女の子のデイジーのために
ジョーおかあさんはミニキッチンをプレゼントする
デイジーは“コックのサリーちゃん”として
何度も失敗しながら料理やお菓子をつくる実習をする
●あらくれダン
ナットは旅回りをしていた時に親切にしてくれた少年ダンを学園に連れて来たいと言う
家族はなく、金もないダンを引き取り、トミーとすっかり仲良くなり
テディ坊やが一番なつく
ダンとエミルが殴り合いをしていると
殴り合いを男らしさや勇気の証明とは思わないベア先生が止める
ベア先生:今度、規則を破ったら、ここを出て行ってもらう
ビールを飲み、葉巻を吸いながらポーカー遊びをして
ベッドの下に葉巻を隠したため、火事騒ぎを起こし
とうとうベア先生はダンを田舎のペイジさんに預けることにする
ジョーおかあさん:
あの子には欠点がいくつもあるけど
素晴らしい人間になる資質を持っていると思ったのに
3週間後、ダンが家出したという手紙が来る
●おてんばナン
デイジーに女の子の友だちが必要と思い、母を亡くしたナンを加える
スタッフィはすぐに泣かしてやると言ったが、何をしても泣かないナン
ジョーおかあさん:ナンを呼んだのは、あなた方を小さな紳士にするお手伝いをしてもらうためよ
●デイジーの舞踏会
デイジー、ナンは、トミーらを舞踏会に招くが
12個焼いたパイが消えてケンカになる
ジョーおかあさんは女の子たちと口をきくのを禁止するが
少年らは3日で耐えられなくなり、びっくりパーティに招く
手づくりの凧をプレゼントして、見事にあげてみせる
ジョーも15歳の頃、おてんばだった話をする
ジョーおかあさん:
どうしてパーティが楽しかったか分かる?
お客のお行儀が良かったからよ
パーティが成功するように気を遣ってくれたからなの
●帰ってきたダン
ダンはボロボロの姿で帰ってきた
ジョーおかあさん:ここは、あなたの家なのよ
足をひどくケガしたダンは、夏中、ベッドにいなければならないが
ハイド氏から教わった動植物についての知識に驚き
12個の引き出しを収集品で埋めたらいいと提案
1か月頑張ったら1つずつ獲得する約束をする
ダンが戻って喜んだテディ坊やの祈りを聞いてマネするダン
ダン:
神さま、どうぞみんなを幸せにしてください
いい人になれるようにしてください
●ローリーおじさん
松葉づえで歩けるようになったダンを馬車に乗せてあげるローリー
古い馬車小屋をキレイに片づけて、みんなの博物館にしたらどうかと提案
ローリー:僕がこの学園の一番の生徒だったって知ってたかい?
ジョーおかあさんは、彼にちなんで、“ローレンス博物館”と名付け
ダンが館長となる
いろんな生き物や鉱物の載っている本を図書館に寄贈し
みんなで作文を書いて、発表する約束をする
ローリー:僕は母のない子の気持ちが痛いほど分かるんだ
●ハックルベリーつみ
みんなでハックルベリーをつみに森へ出かけ
17時に馬車に乗って帰る約束だったが
ロブとナンは道に迷い、森で夜を過ごす
みんなが探し周り、ジョーは眠る2人を見つける
ジョーが母にされたように、ナンを部屋に縛り、出ないよう言いつける
縄をほどいたナンは
ジョー:あの子は約束を破る子じゃない というのを聞いて、逃亡をやめる
ほんの数時間、自由を奪われただけなのに
その有難みが身にしみてわかる
説教のしすぎは逆効果と知っているジョーは、それ以上の罰は与えなかった
●ブロンド姫
ローレンスおじいさまが病気になり、ローリー夫妻が看病している間
娘ベスを預かることになった
みんなはベスを天使と妖精のまじりあったもののように思っている
大声のケンカや、汚い手で触られるのを嫌うベスのために
王女さまのように扱う
1週間後、ローリーが引き取りに来た時、学園中に悲痛な叫び声が上がる
●盗まれたお金
トミーが遊びに行ってる間に貯金がなくなり、ナットが疑われる
ベア先生:盗んだ上にウソをつくのは一番いけないことだ
ナット:僕じゃない!
デイジーだけはナットを信じて、真の友であることを証明した
トミーから共同経営を止めにしようと言われてショックを受ける
ビリーが代わりに卵集めをしていると、なくなったお金が戻り
「トミー・バングスへ」というメモがついていた
ダンがローリーからもらった本を売ったお金だと分かり
ナットへの疑惑は晴れるが、ダンの優しさを知るみんなは悲しがる
ジャックが枝にぶら下がって落ちそうになるのを助けるダン
ジャック:君はいい奴だな ほんとうにありがとう
盗んだのはジャックで、ダンはナットをかばおうとしていたと分かる
みんなは友情の素晴らしさを改めて感じ、ダンはみんなの英雄となる
●みんなのヤナギの木
ヤナギの木に、生徒やジョーらが代わる代わるやって来る
ジョーはナンに薬草について教え、将来、医師の道を歩めばいいと期待する
トミーとナットは、ダンを疑ったお詫びに顕微鏡をプレゼントしようと計画する
ダンは悪い言葉をまだたまに使ってしまうと告白
ジョーが自分を信頼し、少しでも役に立てる喜びを誇らしく思う
家出していたジャックが戻る
ベア先生:
あの3人に心から謝らなくてはいけないよ
それでもすぐには信頼を得ることはできないだろう
だから努力しなければならない
ウソをついても結局、最後に損をするのは自分だと分かるジャック
●子馬ならし
ダンは有り余るエネルギーを持て余している
ローリーの元気な子馬チャーリーをすっかり手なずけたことを自慢に思う
トミーとナットから顕微鏡をプレゼントされて大喜びし、すっかり夢中になる
ベア先生:私たちの住む世界は、フシギに満ちた美しい世界だ
●ジョン・ブルック
メグの夫ジョンが危篤で、デミとデイジーが呼ばれる
ベア先生がいったん戻り、ジョンが安らかに亡くなったと伝える
メグの希望で、学園のみんなも葬儀に参列し、讃美歌を歌った
ベア先生:
ジョンは借金もなく、遺った家族が困らないだけの貯えもあった
ただひたすらいい人間だったことは
どんな名声やお金よりも尊いものだよ
デミは家族を守るよう言われた言葉を守り、急に大人びていく
デミ:もうデミなんて呼ばないで ジョン・ブルックなんだから
●暖炉を囲んで
トミーとナンは結婚の約束をしていたが、ささいなことでケンカする
暖炉のある部屋に入って来た人は、なにかお話をするというルールを作り
サイラスじいやは、南北戦争の時、メイジャーという馬ごと
砲弾で吹き飛ばされ、苦しみを取り除くために殺し
思い出のためにたてがみを切り取った話をして、札入れから出して見せる
ジョーは、一度ウソをついた少年が、その後も疑われたという話をする
ベア先生は、親切はどんな暴力にも勝るというお話
●感謝祭
メイフラワー号に乗ってイギリスからアメリカに渡った人たちが
収穫に感謝して祭りをつくったと説明してあげるデミ
マーチ夫妻、メグ、ローリーとエミー、ベスもゲストに来る
ハイド氏はダンを南アメリカに行く時連れて行きたいと話し、ダンは大喜びする
ベスがシンデレラ役で芝居は大成功
最後はダンス
ジョー:素晴らしい子ばかりで、私、ほんとうに幸せよ
ローリー:
昔、ある少年の心をかきたてて男にしてくれた
意志の強い勇敢な女性がいたっけ
ジョー:
いいえ、その少年が結婚した優雅な女性こそが、立派な男性にしたのよ
こんな風にみんなが助け合えば、この世はどんなに素晴らしい所になるでしょうに
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解説
オルコットは『若草物語』のあと、4冊の続編を書いた
その3冊目が本作
父ブロンソンの教育思想を自分の物語の学園で実現させた
ルイザがヨーロッパ旅行中、ローマに滞在している間に書いた
姉アンナの夫が急死した知らせを旅先で受けたルイザは
姉と息子たちが困らないよう本作を書いた
デミとデイジーのモデルはその息子たち