メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

世界少女名作全集 5 愛の妖精 ジョルジュ・サンド/著 岩崎書店

2024-02-25 11:26:30 | 
1973年初版 1986年 第14刷 足沢良子/訳 山中冬児/装幀・口絵 田中潮/挿絵

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ジョルジュ・サンドって、ずっと昔観たSF映画に出てきたな


【内容抜粋メモ】

登場人物
バルボー家


シルビァン 双子の兄 呼び名はシルビィネ
ランドリー 双子の弟
妹 ナネット

カイヨー
ソランジュ 娘
マドレーヌ 姪

ファデーばあさん 物知りで魔法使いだと思われている
孫 ファデット 父は亡く、母は2人の子どもを置いて家出した
弟 ジャネー 体が弱い


●双子の兄弟





サジェットばあさんは、生まれた双子の区別をするために
兄の腕に十字架の印をつけて(驚)
兄はシルビァン、弟はランドリーと名付けられた

双子は育ちにくく、片方が死なないと、もう片方が丈夫に育たたないという迷信を信じて
不安に思う母親

サジェットばあさんは、2人を一緒にしないと約束させるが
神さまは決めた運命を変えることはできないだろうと考えなおす








●奉公
双子が14歳になった時、ブリッシュ村のカイヨーのもとへランドリーが奉公に出る
寂しがるシルビィネのために毎日、仕事終わりに会いに行く

カイヨー:子どものわがままなんか、そんなに本気に考えることはないさ

ランドリーがカイヨー家と仕事に慣れてくると
シルビィネは弟が取られたように感じて嫉妬する








●シルビィネの失踪
シルビィネが何も食べずに家を出て
死ぬつもりじゃないだろうかと心配で泣く母

母:
なんの因果であの子にはこんなに心配させられるんだろう
あたしは死んじまいそうだ

河でおぼれて死んだのではと絶望しているランドリーに
兄の居所を教えると言うファデット
ランドリーは兄が見つかったら、何でも欲しいものをあげると約束する







ファデットの言う場所へ行くと、シルビィネが見つかり、2人で家に帰る
ランドリー:世間には幸せすぎるほどの身分でも、それが分からない人間がいる



●鬼火
ランドリーはファデットにお礼がしたかったが、彼を避けている







聖アンドッシュの祭りは、9月下旬に行われるコッス村の鎮守の祭り
ランドリーは前の日から休みをもらい、家に帰る途中の浅瀬がお腹までの深さで渡れず
周りに鬼火が舞って怖くなる

♪鬼の娘は鬼火と友だち と歌いながらファデットが来て河を渡るのを手伝う
お礼を言いたいランドリーに対して

ファデット:
金持ちだと思ってお高くとまって、臆病と恩知らずは一番みっともない欠点だわ
あの日、友だちらしい挨拶をひと言いってくれれば仲良しになれたのに

ファデットは聖アンドッシュの祭りで、自分とだけ7度踊る約束をつける



●ファデットの踊り
先に約束をしていたマドレーヌは、ファデットとの約束を聞いて怒り
ほかの男友だちと踊る









ファデットといつも踊る少年は、ランドリーと踊ることに不満で
帽子をとって逃げたため、ランドリーは帽子を取り戻して追い払う



●泣いている人
帰り道、ファデットが泣いているのでなぐさめるランドリー








ランドリー:
お前は自分に対して悪いことをしているんだ
16にもなるのに娘扱いされないのは、服装や態度も男みたいだからさ

ファデット:
みんなはみかけがキレイでないものをバカにしすぎるわ
私は10歳でお母さんに置き去りにされた
歳をとったおばあさんの代わりに薬草をつんだり
おばあさんがせっかんする弟をかばっている

ランドリー:
君は自分で思うほどみっともなくないぜ
人をバカにした目つきさえやめりゃいいんだ

ファデット:
私は今まであんたを高慢ちきだと思ってた
こんな優しい立派な人にすまないことをしたと思って悲しくて泣いていた

ランドリーはファデットが心から好きになる



●ファデットとマドレーヌ
ファデットはマドレーヌにランドリーがマドレーヌを好きなことと
踊った理由を話すのを木の影で見ているランドリー

マドレーヌ:私はあんたのお余りなんか欲しいと思わないわ

ファデット:
私はずっと前からランドリーを好きだったけど
あの人から好きになってもらおうなんて思ったことはなかった



●天主堂
いつも祈りが長いファデット
洋服を可愛い形に変えて、髪をキレイに結ったファデットにみとれるランドリー








ファデット:
あんたに言われた通りにしたの
服装からちゃんとしなきゃならないと思ったのよ

ランドリーは世間体など気にならず、ファデットのことが好きになったと告白すると
ファデットは喜びのあまり気絶してしまう

村の人にも態度に気をつけたため、彼女の悪口を言う者はいなくなる

ランドリーはファデットからいろんな薬草について教えてもらい
カイヨーの牛の病気や、馬の怪我の手当などができるようになる



●誤解
村一番の美人と評判のマドレーヌは、常に周りにとりまきがいないと気がすまない
カイヨーの次男と付き合っているが、若者の中ではランドリーが一番人気で
ランドリーがファデットと付き合っていることに嫉妬し、村中に悪い噂を流す

それがバルボー家にも伝わり、心配した両親はランドリーに付き合いをやめるよう言う
父:お前はあの娘にだまされているんだ

ランドリーはすっかり怒るが、親がそう考えるのは当然だというファデットは
しばらく村を離れる決意をする

ファデット:
私は13の時からあんたが好きだった
1、2年よそで暮らして、いい評判をもって帰れば、うるさく言わなくなると思う

カイヨーの次男:
ファデットの良さを前から分かっていた
マドレーヌの誠意のないのにはツライ思いをしているんだ








ファデットはシャトー・メイヤンに奉公に行き
カイヨーの次男はナネットと仲良くなり
シルビィネはさらに弱弱しくなる

お湯屋のおばさん:
シルビィネの胸の中には愛情がありすぎる
ほんとうに好きな女の友だちができれば兄弟より大事にするだろうよ
一途に思い込むたちだから、2人の人を好きになるはずがない

ランドリーはカイヨーのすすめでアルトンに奉公に出る



●帰ってきたファデット
ファデーばあさんが急に倒れて、看病のためにファデットが帰る
半年後、ファデーばあさんは亡くなり、そのまま村に留まると
ランドリーがアルトンから駆けつけてくれる

ランドリー:
シルビィネのことさえなければ、ここにいるんだが
どうか、オレのために骨おってくれないか

ファデット:あの人は心に病気があるから、体まで病気になるのよ



●ファデットの財産
ファデットはファデーばあさんが遺した大金を持ってバルボー家を訪ねる
ずっと貧しい暮らしをしていたが、穴倉に貯めていた金を数えると4万フラン近くて驚く







ファデット:
私がお金持ちになったことは内緒にしてください
私はお金目当てでない人でなければいや

バルボーはお金を預かり、シャトー・メイヤンに出かけて
ファデットの奉公先に聞くと、良い評判ばかりで
これまでの悪い印象を思い直す

シルビィネの具合は悪くなる一方で、バルボー婦人は、ファデットに治してくれるよう頼む
ファデットはシルビィネが眠っている間に、枕もとに1時間ほど寄り添うことで熱が下がる
健康な人が愛情と信念をもって病人の体に触ると治ることを知っていたため
(“手当て”って効果あるよね

バルボーは、ファデットに嫁に来てほしいと頼み
ファデットはシルビィネの病気を治すまではランドリーと会わないと誓う








シルビィネ:オレは家中の厄介者だから死ぬのが一番幸せだ

ファデット:
あんたの病気なんかちっとも気の毒とは思わない
大した病気じゃないのは分かってる
ランドリーはあなたの何千倍も想っているのに
あなたは不平ばかり言っている
あなたは死にたいと言えば、家中の者が言いなりになると知っている
というのも、あんまりラクに育てられたからよ

ランドリーとファデット、カイヨーの次男とナネットの結婚式が一緒に行われ
やがてカワイイ子どもも生まれる

その1か月後、突然、シルビィネは兵隊に志願する
10年後、シルビィネは大尉となり、勲章ももらう

バルボーは、大人しいシルビィネが兵隊になった理由を妻に聞く

バルボー婦人:
ファデットがシルビィネの看病をした時、好きになったから
それに気づいて、土地を離れる決心をした

バルボー:
あいつは一生、結婚しないことになりそうだ
いつか言われたじゃないか
生涯でたった1人しか愛さないだろうって





解説

ジョルジュ・サンド
本名オロール・デュパン 72歳でなくなるまで百冊あまりの小説、童話を書いた
中でも本書は最も優れた作品と言われる

貴族と愛のない結婚をして、離婚
1848年 フランス革命の時、人道主義、社会主義の立場で臨時政府をつくるのに協力
臨時政府が倒れ、パリで激しい市街戦があり、大勢が殺され、逮捕された

サンドと親しい何人かも逮捕され、ふるさとのノアンに帰り
一切の政治生活をやめて創作に専心する

そうして生まれたのが4つの田園小説
『魔の沼』『捨子のフランソワ』『愛の妖精』『笛師の群れ』

ファデットの性格は、サンド自身の少女時代がモデルと言われる
背景はペリー地方そのまま



コメント

女性に贈る読書の花束 1 みじかい3つのクリスマス物語 L.M.オルコット/著 小さな出版社

2024-02-25 11:05:15 | 
2000年初版 清水奈緒子/訳

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絵本のような横書きの左開きが久しぶりでちょい読みづらい
『女性に贈る読書の花束 1』とあるが、その後、2、3の情報がなかった



【内容抜粋メモ】

■はじめに スティーブン・W・ハイネス

「私は自ら努力する女性を応援したいと思います
 それが女性の問題を解決する最良の方法だと考えるからです」

ルイザが『小さきもの』という雑誌を作りはじめたルークン家の
キャリー、マギー、ネリー、エマ、ヘレンにあてた言葉

5人はマサチューセッツ州の貧しい家庭の姉妹で
『若草物語』のマーチ家の4人姉妹に習ってはじめたもの

購読者が千人を超えると、刊行を続けられなくなり
購読者名簿を売却してしまった

ルイザは南北戦争の初期に看護婦として働いていた頃
水銀中毒にかかり健康を損ねたが
ルークン家姉妹に寄せる関心はとても高かった

自身の物語1編に100ドルもの値がついていた時
雑誌『小さきもの』のために物語を書き下ろした



■もの静かな小さな娘






孤児院で育ったパティは、誰かが迎えに来て、ここから連れ出してくれたらいいのに
という切実な思いでいっぱい

以前、ケイティという孤児にお金持ちの親戚がいると分かり
自家用馬車で迎えに来たことがあり
パティもそうなることを夢見ていたが

顔色が悪く、背が低く、片方の肩が上がり、内気な性格の13歳のパティを
欲しがる者はいなかった

重要ではないと思われた出来事が一生の経験となり
見知らぬ者が友となることがある

(この一節は、どこか違う本でも見た気がする

パティ:もう、これ以上耐えられそうにない

というつぶやきを聞いたジェインはワケを聞く

パティは自分の生い立ちと、どんな家事も器用にできると話す

ジェイン:
私の義理の妹のマーリがリジーを引き取るつもりらしいわ
あなたの家族が現れなくても、自分で友だちを作ったり
運を切り開いたりできるはず
先の夢ばかり見て、時間をムダにせず
勇気をもって、1日1日を快適で楽しいものにしていくことはできますか?

パティはその日から、ジェインと暮らす空想にふける

リジーがなまけ者だと分かり、マーリは代わりにパティを引き取る
パティはとうとう居場所を見つけて、世界一幸福だと感じる

その1年後
マーリ家の人たちは親切だが、愛情を示したり、努力を褒める者はいなかった

農場をりきもりする主人ジョージと長男ネッド、妻マーリは忙しく
娘のエラは毎日楽しく過ごしている

末子で足の不自由なハリーだけがパティに心づかいを見せる

エラ:あの子はただの使用人で、うちで施しを受けているのよ

パティは離れた所に住むジェインと文通することで辛うじてバランスを保っていた

一家はクリスマスイブをジェインの所で過ごす
ジェインはパティも来るものだと思っていたが、マーリは留守番を頼んだため
1人で泣きはらしている

マーリ:
私はあの子をとても信頼しているけれども
褒めたりしたら甘やかすだけ

ジェイン:あなたは間違っているわ

ジェインはこれまで文通していたパティの手紙を読んで聞かせる

パティ:
私は感謝している
でも、おやすみのキスをしてくれるだけで、ずっと幸せなのに

マーリ一家は過去の無関心さを償いたいと心から願う

帰宅すると、少年たちにプレゼントを用意しながら
泣いているうちに眠ってしまったパティに優しく接する一家

翌朝、ベッドにプレゼントが詰まった靴下を見つける

「メリー・クリスマス、パティ!」

ジョージ:
一緒に食事を楽しもう
給仕役はいらない 私たちは皆ひとつの家族になったんだからね

エラからはきれいな青い服をもらい
ネッドはパティをダンスに誘う

パティ:私、自分の家族を見つけた気がする




■ティリーのクリスマス





学校の帰り道
ケイト、ベスはプレゼントの話をするが
貧しい家のティリーはクリスマスプレゼントがないと話す

ケイト:お金がつまった財布が落ちていればいいのに

ティリーは道に一羽の弱った小鳥を見つけて、家に連れて帰る

ベス:私のお母さんは、お返ししてくれない人を助けるのは、やりがいのないことだって言ってるわ

ティリー:
私のお母さんは“自分がしてもらいたいことを他の人にもしてあげなさい”と言ってるわ
聖書にも“自分を愛するように隣人を愛しなさい”という言葉がある
私、ときどき、隣りに住むお金持ちが
私の家のことを気にかけてくれればいいと思うの

ケイト:お隣のキングさんは少しも気にかけたりしないわよ

ティリーが家に帰ると、母は何も食べずに、娘にミルクを出す
戸棚の中にはひからびたパンしかない

ティリーは母が薪を割っている間に、学校の友だちからもらったパンを焼き
熱い紅茶を用意する

母:
今夜は早く寝ましょう 薪を節約しないとね
あさっては仕事のお金が入るから買い物ができますよ
その小鳥はあなたへの贈り物を持っていますよ
人生でもっとも尊いもののひとつは善いことをする喜びです

窓に見知らぬ男の顔が見えて驚くティリー
ティリー:窓にカーテンがあればいいのにね

母:
夕方は暗く寂しいから、わが家の光で外を照らしてあげたいの
ここを通る人の気分が明るくなってくれたら嬉しいわ

クリスマスの朝、ポーチに薪がどっさり置かれ
バスケットの中には、欲しいものがすべて入っている

母:クリスマスの天使のうちでも、最も慈しみ深いのは“慈愛”なのよ

メモには“自分を愛するように隣人を愛する小さなおじょうさんへ”とある

ティリーは小鳥が姿をかえた天使なのだと思うが
前日の夕方、キングさんが3人の少女の会話を聞いて置いたのだった




■ローザの物語





ベリンダは馬のローザがまだプレゼントをもらってないと気づいて
納屋に届けにいく

イエス・キリストがベツレヘムの馬小屋で生まれた時
動物たちが静かにしていたため
イブの真夜中から1時間話す能力が授けられたという言い伝えがあり

ベリンダ:ローザが口をきけたらいいのにね

というと、ほんとうに喋り出すローザ

ローザ:
父は名の知れた競走馬でした
私はいい血統、足の速さ、美しさにうぬぼれ、野心家だった

運命を決めた最後のレースに、何千ドルものお金が私に賭けられた
レースの数日前の晩、見知らぬ人がさしだした皿から食べて、毒をもられた

私は勝利か死かと誓って、勝ちました!
でも、毒と、ムリな訓練と、転倒でダメになり
主人は銃殺するつもりだったが、調教師のビルが安い値段で買ってくれた

ビルが亡くなり、病弱なアリスに仕えた
アリスが元気になり、西部へ行き
私は若い将校に買われて戦争に行った

もっとも危険な戦闘に突進し、首に傷を負い、脇腹を切られたが
戦いに勝利し、主人は昇進した

主人は小部隊同士の戦いで命を落とし
次の飼い主はせっかちな若い男で手荒くされたため、振り落とした

今度は馬車馬として売られ、もう少しで死ぬところだった
私は頭を殴られる代わりにニューハンプシャーへ送られ、休むことになった

ある貸し馬屋が私を買い、ベリンダと出会った

ミス・メリーがやって来て、乗用馬を借りたいと言った
彼女は私を完全に理解してくれていると確信しました

痩せこけて、足が不自由で、みすぼらしくても
メリーは愛してくれました

メリーは私の足を洗い、ブラシをかけ、水を飲ませ、毛布をかけてくれた
だから私は死ぬまでメリーのもとで働きたいのです
どうか知らない人の所へやらないでください!

ベリンダ:あなたは立派な馬小屋へ行って世話をしてもらうのよ

ローザ:
食費を稼ぐために何かしたいのです
休養は素晴らしいけど、働かないでいるのはイヤです

ベリンダ:
あなたが話してくれたことを短い物語にして新聞に送るわ
それでもらうお金をあなたの食費にあてればいい




作品について
ルイザの母は、アメリカで初めて有給で雇用されたソーシャルワーカーの一人
ルイザは個人の努力が変化をもたらすと信じていた

慈善はクリスマス時期の重要なテーマ

自分に与えられたものを受け入れるという善行が
人生に挑戦するよう力づけてくれる

善行そのものが報いであり、魂の幸福であり
謙虚さと偉大さを等しく有するもの


推薦者について
ハイネスは、作家、研究者、編集者
アメリカのテネシー州で妻娘と暮らしている

本作は長い間忘れられていた子ども向けの雑誌に掲載されたもので
70年以上も気づかれないままだった



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