メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

おかえりなさい

2005-08-21 14:52:21 | lyrics
最後に残っていたのは
おまえだけだった

真実を語る奴は
おまえだけだった

全てを預けていいのは
親身になっていっしょにいてくれるのは

ああ、そう

信じていい たったひとりの人間は
あんただった

だから、今




1987.7.19作 『夢列島』を見て

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世界のどこかに

2005-08-20 12:14:49 | lyrics
世界のどこかに
たくさんの私がいる

さまざまなひとを愛する
たくさんの私がいる

姿は違っても
ひとりひとり
私が脈打つのが聞こえる

浮かんでは消え
失っては再び浮かびあがる
そんな長い女の影が見える


くもりぞら
木を切り倒して
生業をたてる奴がいる

土を掘り返して
家族を養う奴がいる

水を汲み上げ
川を埋め
山を削り
煙を吐いて
一応みんな生きている

核をつくり
肉を食い
工場建てて生きてみても
鼻を鳴らして笑い飛ばすさ

おまえの未来の見えてることが
てめえ自身に分かるから

肩をゆすって“そんな時代なんだよ”と
仕方なさそうに笑ってやるよ






1987.4.21作


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ひとり

2005-08-19 19:24:00 | lyrics
ひとりで花を飾り

ひとりで太陽を見つめ

ひとりで髪を洗い

ひとり言に疲れ

ひとりで黒いヒールのかかとがとれるまで踊りつづけた

なにもかも私だけで

私はひとりが好きだった



だれかがどこかで拾った言葉で

私を慰めていたけれど

全部聞いちゃいなかった


ほんとうに私はひとりが好き

だけど

ほんとうって一体どういう意味だっけ?



1987作


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意味のないこと

2005-08-18 11:31:08 | lyrics
虫が夜の蛍光灯に突進すること
(なにか用事があるなら別だが


その虫がポテトサラダの上に落ちて
そのまま死んでしまうこと


人を指さして笑ったり、それで怒ること


意味のないもの みんな消えちゃえ
意味がなくちゃならない法則はないが


でも

意味がなくてもいいものも
きっとここにはあるんだろう



意味のないことを書いた意味はあるかしら

年中同じ責め苦を繰り返すことに意味はあるかしら

イミノナイコトに意味はあるかしら


だれか教えて
こんなものの意味を





1987.9.10作

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鏡ガラスで

2005-08-17 12:38:28 | lyrics
拝啓 お元気ですか
わたしはいま元気です

つまりそこにはいつも
眼があるんです

学校にも
家にも
街や
通り

それから
鏡のなかにもちゃんと

なので、わたしは一応いつもすましています
いつか あんたが話しかけるんじゃないかって

たった一秒後には もう存在しない気がして
息を殺して見てるんです

それが 私自身のもうひとつの眼だったと
ずうっと前から気づいていたのかもしれない

だけど

私は
あんたに見つめられるほど
いい女にはなれないよ



1987.4.18作

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2005-08-16 16:09:38 | lyrics

それは嘘だ

文字は人体を駆け巡る
それを手に取って眺めることはできない

あるいはまだ冷えた物質に化けた脳なので
横柄に床へ腰をおろしている



いいや それは嘘だ

嘘でないものばかりを食べて生きたい
99%のほんとうと1%の嘘

これが嘘なら
私はすべてに飢える

言葉はどんな細胞からも相手にされない
下等なバクテリアにすぎない



朝の光など嘘だ

太陽はしたたかな顔をした
生産物でしかない


光を愛するものたちよ

しらじらしい朝の希望が
しらじらと窓を溶かしてゆく
そうして目玉は覚める

馬鹿正直な目玉を
私は捨てることができない





1989年作

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2005-08-15 16:18:34 | lyrics
止まらない成長
飽くことなき好奇心

この若さを保つには
自分が若いという事実を忘れることだ

くずれゆく肌
あとに残るのは
終わらない家事、家事、家事


私は書く

書かなければならないという
焦燥ではなく

書きたいと思う
欲望のために





1990.11.20

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青緑色の橋の欄干

2005-08-14 09:51:18 | lyrics
青緑色の橋の欄干
刈られたばかりの稲穂の束が乾いていく

ベンチに座って日向ぼっこ
黒くて小さい羽虫
お弁当をあけた時の醤油の匂い

速いぞ!
速いぞ!
僕は冷たい風を切って走る暖かな特急号!

私はあなたのための他人
私はあなたが呼んだエキストラ

私の前世は何だったろう

私に前などなく
私が前になる
私が始まりを創りだす

無言は囁き

出逢えて終わるなら最高だろう
髪は振り乱したままで





1990.10.26

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2005-08-13 14:06:01 | lyrics
人の数ほど道がある
そんな道を踏み外したなんていわないでよ
戻ることだって出来る 信じているなら

もし道を間違えても
そこから新しいスタートラインが開かれる

だから

勝手に道を一本引いて
私たちを歩かせないでよ

人とちょっと違ったくらいで
規則とか
道徳とか

なんとなく正しそうなもので
自分らが真っ先に破ったものを
押しつけないでよ

どれが一番幸福な道か
あんたにわかるのかい?

とっても窮屈で
夢も見れないんだ





1987.6.9作


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クジラ

2005-08-12 14:07:29 | lyrics
私は泣いた
他人の前で

その美しい
しなやかに
驚いて

その信じられない
なめらかに
驚いて

その肉がヒトの舌を満たしてきた
その脂がヒトの肌を潤してきた

お願いだから
もう殺さないで

心の目をよく見開いて

そこには
ヒトの欲より
もっと大切な命がある





1990.11.13


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