メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

two faces

2005-08-11 16:34:18 | lyrics
人の顔はだれもがふたつに分かれている
ひとつの目は 真実を真直ぐ見つめようと力んでいるし
もうひとつの目は うっすらと白い膜を帯びてモノをゆがめて映す

そのふたつの顔の境界線を憎み
同時に恐れる

ふたつの面を他人(ひと)に向け
そいつらが嘲笑(わら)うのを待つ一方

ふたつの面を両手で覆い
みずからを守る

ホラ 気をつけてね

境界線を消すために
そいつはいつも
斜めを向いて座っている



1986年~1988年.8.18


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inspiring

2005-08-10 16:51:04 | lyrics
劇場の朱の椅子に座っているだろうか
宇宙を漂っているだろうか

官能的で
かったるく
青白い死人のマスク

創られた美よ

強い香水と
テラテラひかる肌

暗闇と
混沌の中で
星屑のように輝く

なにもかも生まれる前の
洞窟の中の叫び

ただふたつ
生々しく照る獣の目玉

私たちは
どこまでpureになれるだろうか




1991.1.22
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彼女しか与えられないものは

2005-08-09 11:35:48 | lyrics
彼女しか与えられないものは

退廃的な快感
斬新な切断面

誰か彼女に教えてあげなくちゃ
痛みは 痛みで
愛は 愛だと


煤で飾られた階段を
今日も一段ずつ
かの偶像に向かって
近づくことができた

彼は彼なりのシンボルをギラつかせ
頂点に立って
政治家みたく手を振っている

彼女は今もひとりだが
ひとりをなぐさめる方法を
幾つも覚えたので
なんとか暮らしている

彼女は帰りたかった
ぶっとおし
あのロックが流れている部屋へ

すぐに飽きてしまう
メロディの中へ



1990.7.8

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僕らは一体いつになったら

2005-08-08 11:38:35 | lyrics
僕らは一体いつになったら
大人になれるんだろう?


いくつもくだらない間違えを繰り返しながら
何度も通った道を
またグルグルと飽きずに回る
道化者のようだ


大切だとは分かっていても
本当のところは何も分かっちゃいない
分からないからこそ
肺のあたりが締めつけられる


大人なんてものは
所詮、最初に創った造形を
すっかり模写したそのつづきを
繰り返し再生しているだけなんだ


僕らはいつになったら
子どもに戻りたいなんて思うのを
やめられるんだろう?


今、在る日常という空気のなかで

僕らは今
一体いくつになったんだろう?




1991.2

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rainy rainy

2005-08-07 13:52:24 | lyrics
どうしてこんなに哀しいんでしょう
かなしい人間が多すぎる

なんでこんなに寂しいんでしょう
ときどき一人でいることがたまらなくなる

街角で
長い廊下で
壁にもたれても
どうしようもなく寒いんです

哀しいことが多すぎる
教室で
細い路地裏で

不安定な足元を見つめると
光の届かぬ泥の中
足をとられ
足をとられ
ああ、その肩をすこしだけ貸してもらえたなら

雨が降っている
降っても 降っても 降りきらぬ
迷い猫を冷たく包み込む

ふいにあてもなく
光の届かぬ泥の中
足をとられ
足をとられ
ああ、その肩に少しだけうずもれたなら

雨が降っている
降っても 降っても 降りしきる

満たない気持ちを抱きつづけ
永遠に
たったひとりで
生きていく



1987.5.17作

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おぼれている

2005-08-06 15:36:27 | lyrics
おぼれている
ひとと違ったことをしようとしたから
そいつはおぼれている

でもそいつはただ
ひとと同じであることが
ひどくきらいなだけなんだ

似ている
みんな似ている

それも仕方のないことなんだ
ただ似ていることを肯定する奴が
きらいなだけ

だれとも似ていない奴らがいた
ビートルズ
かれらはしあわせだな

変わったことをやろうと
もがけばもがくほど
おぼれている

そして気づく
みんなに合わせようと気遣っている奴に
そいつの冷たい背中に

そいつはただ
個性を強調することで
風潮に協調している奴が
ひどくうとましいだけ




1989年作
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ガラスの華

2005-08-05 23:00:00 | lyrics
あともどりもできず
先へも進めず
だからといって
立ち止まるのは寂しすぎて

だれも私の奥の
ガラスの華に気づきもせず
私も他人に笑いかけることもない
心をかけて
愛する者もいないまま

みんな上っ面だけにこだわって
ガラスの華に触れもせず
私も他人に笑いかけることはない

すべてをかけて
愛する者もいないまま
愛する者もいないまま





1987.6.16作

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2005-08-04 19:54:04 | lyrics
[恐怖編]

こわいものだという
おそろしいものだという
おどろおどろしいものだという
なにかわからぬものがいきなり襲ってくるという
暗いのだという
試されるのだという
選ばれるのだという
どこまでも静かだという
落とされるのだという
鋭く見られるのだいう
血がたくさん流れるという
腐るという
食べられるのだという
ぐらぐらするのだという
いつまでもひとりなのだという


[苦悩編]

彷徨うのだという
不安なのだという
長い道のりだという
見失うのだという
恨みきれないものだという
狭いのだという
汚いのだという
叫んでいるのだという
細長い旅をするという
誰も気づかないという
あてがないという
身体から離れるという
戻れないのだという
苦しいものだという
いつまでも寂しいものなのだという


[幸福編]

美味しいものが食べられるという
若くなるという
愛する気持ちが生まれるという
譲るという
労わるという
空が飛べるという
楽しいという
優しいひとがたくさんだという
楽になるという
なにもかもから解き放たれるという
温かいという
恐怖がないという
苦しくないという
思い出になれるという
満たされているという
本望だという
愛する人を守るという
いつまでも懐かしいものだという




1987.5.22作

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おとな

2005-08-03 12:02:52 | lyrics
なつ
そとはなつです
あつい
ここはとてもむします

かです
あしがかゆい
はらにいっぱいちをのんで

かぜ
かわいたかぜがふいています
プールびらきです

ゆうじん
わたしをあいしてくれています

えがお
ひのひかりにあたたまる
まあるいえがお

のど
のどがひりひりする
かぜです

てがみ
てがみがかきたいです
ワープロですみません

おとな
わたしはおとなです
おおきくなったにんげんです





1991作

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ここはどこだろう

2005-08-02 23:00:00 | lyrics
私の朝ははじまる。

つづいて、何も考えないうちに
昼はなくなり、

夕方、
また夜がいつしか降りてくる

2度の食事とテレビジョンで
無駄な一日が終わりを告げる


今朝は玄関のブザーで目が覚めた
集金で2700円をとられた


仕事が始まれば、
また“私的な時間”は大いに蝕まれる。

口ぐせの悪いそいつの正体はまだ分からないが、
一日の時間を見事にあちこち
くまなく喰い潰してくれる

その代わりにすこしのお金をくれる

それで完全に慰めを得るわけではないけれども
うまく取り引きを交わしたつもりにはなる


しかし、今は

私を訪ねて来る者はほとんどいない
たまの電話以外は

私はこのワンルームの片隅で
壁に寄りかかりながら
この部屋を

“だれも知らない、だれも住んでいない部屋”

と名づけた


別に今のところはお金に困ってはいない
毎日食べていけないことはない

私は貧乏臭い話は嫌いだが
視点を変えれば
私の精神世界は、もしかすると
とても貧乏だといえるかもしれない


外は寒い
雨はなく
陽は見えない
まだ午後の3時前だというのに

こんなに悲しく時間は経っていくというのに
これを読んでいるあなたには
きっと分からないだろう

あなたには、あなたの次元における
時間の感覚しか理解できないのだから


出かけようか
それでもいい

でも、相変わらず、外は寒い
人々は、相変わらず働いている
それを見るのが悲しい


郵便は来ているだろうか

ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?

ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?


友だちも一生懸命、ほかの人たちに囲まれながら
動いているだろうか


ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?

ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?


あの町と、そこに住んでいたいた人たちは
まだあの町に住んでいるだろうか


ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?

ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ? ハテナ?




ここはどこだろう

ここに、人が住んでいなくても
もう誰も気にはしないだろう

今現在、ここで、こうしている
私はとても無意味だ

誰も期待していないし、
私は時間に属していない
影響はされているかもしれない

推測
推測


思い出すことがたくさんある
思い出す人がたくさんいる

思考だけは現実で
これを止めることは不可能だ


自由と選択

私の人生を
私が生きる権利

意志と勝手

思考は完全なる自由だ


回帰
回帰


今を無駄にするな
自分を見据えろ
自らを見つめ直せ

あたたかい羽毛のなかで?


外に働きかけないかぎり
その思考と言動は無意味になる


ああ、
思い出す
思い出す

いつまでも懐かしいものたちのことを


ガードレール

信号機

川と橋



クレヨン



イス






1991記



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