40年程前、仙台の西多賀小学校のバレーボール愛好会は、勝つことを知らない弱小チームで、周囲からは
「弁当食い愛好会」と揶揄される存在でしかなかった。
そんなチームが一年後に宮城県大会を制覇するまでに急成長する過程では、多くの「汗と涙」を必要とした。
中でも、一番多くの汗と涙を流したのが主将兼エースのKだった。
私は練習試合等のビデオを繰り返し見てチーム力を分析しながら、練習方法を工夫する毎日だったが、
「声出し係」でもあるKの「泣き声交じりの哀愁に満ちた声」がビデオから聞こえてくるたびに胸を痛くした
ものだった。

そんなKが、家庭を持ち成城学園前駅の近くで暮らしていた。
同期会に参加するついでに、「顔を見たい」と思って連絡したら、小柄ながら鋭いアタックを打っていた
Aも娘さんを伴って市川から掛けつけてくれた。

本来は、お互いに巡り合うことの無い人生航路だったにも拘らず、種々の偶然が重なって、一年間苦楽を
共にすることになり、最後に「大きな感動を味わった」仲間でもあった。

レストランで昼食を摂りながら、予定していた三時間がアッという間に過ぎてしまった。
不本意ながら、二人には余計な気を使わせてしまい恐縮したが、元気に活躍していることが確認出来て
嬉しかった。