
「連休中は込み合った」と言うロープウエーも、広い駐車場に止められた車は数え
るほどである。10分ほど待って乗り込んだゴンドラはずいぶん大きくて聞けばスイス
製で101人乗れるとか。
この半端な数字は、お客が切りの良い百人でガイドが一人と言う事であろうか?今、
このゴンドラは我々だけで、貸し切り状態である。

標高259mの山麓駅から、916mの山頂駅までの全長は凡そ2.600m、高低差660
mを僅か7分でかけ上がる。
山頂の視界は良。気温は14度とのこと。ここに比べると数度涼しいようだ。

「二人しかいないのだからマイクはいらないよ」と言うと、「そうですね」と素直に応
じたガイド嬢が説明の合間に入れる我々の面倒な質問にも丁寧に答えてくれるので、
ゴンドラ内は途中からまるで三人による世間話の体である。

この日は「強風の影響で、減速運転しているので10分かかります」という。
それでも中間地点で下りとすれ違うと、結構なスピードで駆け上がっていることを
実感する。

高度が上げるほどに眼下に視界が開け、三豊平野に広がる箱庭のような観音寺
市の町並みの向こうに、碧い瀬戸内の海、燧灘が見えて来る。
その海に沿うように座る一際大きな山塊は七宝山か。それに従うように左手に小
さな山が二つ見えている。恐らく左の一番小さい山が琴弾山であろう。今晩の宿は
その麓にとっている。ここから見ると雲辺寺山を下って、さらに気の遠くなりそうなほ
どの距離がまだ残っている。(続)

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