簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

初めての代参 (四国遍路の旅)

2014-11-14 | Weblog
 10分ほど待つとタクシーがやってきた。
「よくタクシーの電話番号がわかったなぁ?」と聞くと、「うん、119番に電話した」と
言う。先ほどの会話はそう言うことであったのか。



 相棒が「鬼無の駅前まで・・」と告げるのを「いや、待って、その前に82番に寄って
くれる」と訂正する。未だに両足に小さな痙攣が繰り返し起きているのに、頭は至っ
て冷静である。ここに来て82番札所・根来寺を飛ばすわけにいかない。



 この地は、昔から霊地と言われるところで、そこに香木で観世音像を刻んで安置
した。この香木の根の香が余りにも高いのでそれが寺名になったと伝えられている。
またこの香りが川に流れて香ることから「香川」の県名が付いたともいう由緒ある
古刹だ。



 5分も走らないうちにタクシーが山門前に到着した。
然し、車窓からその佇まいを見て愕然としてしまった。

 堂々たる山門を構え、その先に本堂に向かう参道が延びている。
鬱蒼と茂る木立に覆われた参道は一旦下り、その先で再び登ると言う珍しいものだ。
平坦な境内なら、足を引きずってでも納経をしようと思ったのだが、これではとても歩
けそうにない。ここはもう相棒に代参を願うより仕方がない。





 「これもお接待かな?15分だけメーターを止めるから。これも吸いたいし」と二本
の指を口の前に持ってきた。そう言残して、タバコがどうしても止められないと言う
タクシードライバーが下りて行った。



 一人残された車内で、本堂の方に向き、静かに頭を垂れ、いつの日か、必ずこの
足でお参りすることを誓うのである。(続)




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コメント
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