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屋島は高松市の東北に位置する文字通り屋根のような形をした島である。
江戸時代に埋め立てられ陸続きとなったが、今では相引川で唯一陸地と引き離さ
れ、島であったその面影を留めている。
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島は標高293mの南北二つの峰にわかれていて、その間は細い尾根で結ばれて
いる。山頂付近は平らで開け、屋島寺はその南嶺にある。
島全体が観光地で、ドライブウェイの登り口には四国民家博物館や屋島神社が、
山頂には水族館(2015年度中の閉館が決定)等がある。
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屋島寺の境内は広く開放的で、堂々とした伽藍配置を見せている。
山門を潜ると四天王を安置する中の門があり、それを潜ると正面に朱塗りの柱も
鮮やかな本堂が建ち、その右に大師堂や千躰堂、三躰堂が並び、左手には立派
な宝物館が建っていて、世に名高い源平合戦所縁の品などを展示している。
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山門の横から、本坊の前を通り、お土産物屋さんが軒を連ねる一角を抜けると、
「獅子の霊巌」と呼ばれる眺望地に出る。
ここは眼下に高松の市街地が広がり、五色台や瀬戸内海に浮かぶ瀬戸大橋など
が見渡せ、中々の絶景である。夜景が素晴らしいと言うのもうなずける。
名物は「かわら投げ」で、源平合戦で勝った源氏の兵士が陣笠を投げて勝鬨を
上げたことに因んでいるのだとか。
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屋島の麓に宿を取っているので、遍路道を下る。
この道は地元の人々のウオーキングコースになっているらしく、多くの人が上り下
りしているが、その足取りは驚くほど軽やかだ。
聞けば、ほとんどの人が「二三十分も有れば登れますよ」と言う。
山道で気息奄々、息切れ状態の身には信じられない神業に思えてくる。(続)
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