簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

地獄の釜の音 (四国遍路の旅)

2014-11-19 | Weblog
 翌朝、心配した足の痛みは和らいでいた。
多少両足のふくらはぎに違和感は残るものの、歩けなくはいので、慎重に、ゆっく
り歩を進めれば何とか行けそうだ。
両足に「こむら返り」が起きた時には、一瞬あの伊予三島での悪夢が甦っていた。
ここまで来てリタイアでは余りにも虚しい。





ここから83番札所・一宮寺までは凡そ6キロの道程で、途中高松自動車道を潜り、
市街地の賑わいを見ながらの道中である。

 札所は讃岐の国の一宮・田村神社の別当寺で、向かい合ったところに仁王門を
構えている。
境内は広く正面に本堂があり、右手前に納経所、その奥が大師堂である。



 本堂の前に薬師堂がある。
お堂と言うよりも小さな祠と言った方がぴったりの石造りで、石の扉が付いている。
このお堂は「地獄の釜の煮えたぎる音が聞こえ、悪いことをした人が頭を入れると
石の扉が閉まり、抜けなくなる」との言い伝えがあって、昔それを聞いた近所に住む
意地の悪いお婆さんが試してみると扉が閉まってしまった。
 そこでお婆さんは涙を流し謝り、過去を悔い改めることを約束すると、扉が開い
て頭が抜けたと言う。



 到着したばかりの団体が、先達からこんな説明を聞き、この前に一人ずつ跪き、
恐る恐る頭を入れている。誰か扉が閉まるのではと心配して見ていたが、頭を抜
いて笑顔を見せながら、「うん、聞こえた、聞こえた」と語り合っていた。皆善人ばか
りらしい。





 この釜の音を某テレビ局が取材に来て収録をして帰ったが、後で聞いてみると音
は何も入っていなかったと言う。そんな不思議な祠である。(続)




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