山形新幹線の特急・つばさを福島駅で降りた。
ここからは今晩の宿を取っている土湯温泉に、路線バスで向かう。
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まだ薄明かりが残る福島駅前の広場周辺は、学校、仕事、買い物帰りの人々の
流れが賑やかに交錯し人待ち顔で佇む若者のグループなどの歓声が響いていた。
そこには、震災復興と原発事故の暗いイメージなど欠片も感じられない。
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そんな駅前のバス停から、家路を急ぐ乗客で込み合う土湯温泉行のバスに乗り
込んだのは、街に夜の帳が降り始め、店先の明かりが煌めきだした頃だった。
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市内のいくつかの停留場に停まり、発停を繰り返しながら進むバスの中が、気が
付くといつしか数人の旅行者風の乗客だけに成っていた。
皆終点の土湯温泉を目指しているようだ。
師走の日没は早く、辺りはすっかり暗いベールに覆われてしまった。
市街地を外れたのか、路は僅かに上っている。町の光の帯が途切れ、かなりの間
を置いてお店であろうか、小さな明かりが時折暗闇の中を後ろに飛び去っていく。
進む先のヘッドライトに照らされた通りに、白い大きな雪の小山が見える。
山の中に入って来たようで、車内が少し冷え込み、沿道の雪も少し深くなってきた。
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福島県の中通り地方、吾妻山の山懐に抱かれた土湯温泉は福島市の西方16Km
ほどのところに位置している。
周りを山々に囲まれ、町の中心を清流・荒川が流れ、その流れに沿って開けている
落ち着いた風情のある、自然豊かな温泉地だ。
そしてここは、「こけし」たちが旅人を優しく迎えてくれる、「土湯系こけし」のふるさと
でもある(続)
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ここからは今晩の宿を取っている土湯温泉に、路線バスで向かう。
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まだ薄明かりが残る福島駅前の広場周辺は、学校、仕事、買い物帰りの人々の
流れが賑やかに交錯し人待ち顔で佇む若者のグループなどの歓声が響いていた。
そこには、震災復興と原発事故の暗いイメージなど欠片も感じられない。
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そんな駅前のバス停から、家路を急ぐ乗客で込み合う土湯温泉行のバスに乗り
込んだのは、街に夜の帳が降り始め、店先の明かりが煌めきだした頃だった。
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市内のいくつかの停留場に停まり、発停を繰り返しながら進むバスの中が、気が
付くといつしか数人の旅行者風の乗客だけに成っていた。
皆終点の土湯温泉を目指しているようだ。
師走の日没は早く、辺りはすっかり暗いベールに覆われてしまった。
市街地を外れたのか、路は僅かに上っている。町の光の帯が途切れ、かなりの間
を置いてお店であろうか、小さな明かりが時折暗闇の中を後ろに飛び去っていく。
進む先のヘッドライトに照らされた通りに、白い大きな雪の小山が見える。
山の中に入って来たようで、車内が少し冷え込み、沿道の雪も少し深くなってきた。
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福島県の中通り地方、吾妻山の山懐に抱かれた土湯温泉は福島市の西方16Km
ほどのところに位置している。
周りを山々に囲まれ、町の中心を清流・荒川が流れ、その流れに沿って開けている
落ち着いた風情のある、自然豊かな温泉地だ。
そしてここは、「こけし」たちが旅人を優しく迎えてくれる、「土湯系こけし」のふるさと
でもある(続)
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