本四備讃線の瀬戸大橋は、最初のつり橋「下津井瀬戸大橋」を渡ると
すぐに岡山県境を超え、香川県に入る。
意外に思えるが、ここに架かる各大橋のほとんどが香川県に属している。
そんな国境には、こんな面白い言い伝えが残されている。
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昔から、何時の時代でもその国の境は、争いの種に成っていた。
川でも有れば判りやすいし、堅い地面の上なら棒切れで線を引き、柵を
回らし、或は土塁を築き「ここから内は我が領土なり」と、宣言すれば
言った者勝ちで、時に戦を仕掛け力ずくでそれを押し出したりもする。
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備前と讃岐の国は、瀬戸内海を挟んで向かい合っていて、昔からその
境は曖昧模糊として生臭く、きな臭い話が付きまとっていた。
土の上なら兎も角、これが海の上ともなると中々線引きは難しく、その
境は明確に判別できず、何れのものなのかも判らず一向に埒が明かない。
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「そろそろ、決着をつける時ぞ・・」
「オゥヨ! して、どうやってするのじゃ」
「樽じゃ、樽を流すのじゃ」
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こんな会話が有ったかどうかは知らないが、両藩は樽を持って瀬戸内
海に舟でこぎ出し、お互いが立会いのもと樽を流し国境を明らかにしよ
うとした。
事前の試みで、四国寄りを流れると知っていた児島に住む知恵者の名
主の企みで、この「樽流し」を提案、樽の流れた軌跡で国の境を決めよ
うと呼びかけたのだ。
ところがどうしたことか、その日に限って樽は、まるで備前の海岸線
に沿うように流れてしまったのだ。
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「エッ、マジデー、ウッソー」、絶句する備前。
「潮の流れは時として変わるものよ」、ほくそ笑む讃岐。
「ソンナァー・・・・」、落胆する名主。
こうして備前と讃岐の国境は決められたそうな。メデタシ、メデタシ。
(JR乗潰しの旅 本四備讃線 完)
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すぐに岡山県境を超え、香川県に入る。
意外に思えるが、ここに架かる各大橋のほとんどが香川県に属している。
そんな国境には、こんな面白い言い伝えが残されている。
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昔から、何時の時代でもその国の境は、争いの種に成っていた。
川でも有れば判りやすいし、堅い地面の上なら棒切れで線を引き、柵を
回らし、或は土塁を築き「ここから内は我が領土なり」と、宣言すれば
言った者勝ちで、時に戦を仕掛け力ずくでそれを押し出したりもする。
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備前と讃岐の国は、瀬戸内海を挟んで向かい合っていて、昔からその
境は曖昧模糊として生臭く、きな臭い話が付きまとっていた。
土の上なら兎も角、これが海の上ともなると中々線引きは難しく、その
境は明確に判別できず、何れのものなのかも判らず一向に埒が明かない。
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「そろそろ、決着をつける時ぞ・・」
「オゥヨ! して、どうやってするのじゃ」
「樽じゃ、樽を流すのじゃ」
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こんな会話が有ったかどうかは知らないが、両藩は樽を持って瀬戸内
海に舟でこぎ出し、お互いが立会いのもと樽を流し国境を明らかにしよ
うとした。
事前の試みで、四国寄りを流れると知っていた児島に住む知恵者の名
主の企みで、この「樽流し」を提案、樽の流れた軌跡で国の境を決めよ
うと呼びかけたのだ。
ところがどうしたことか、その日に限って樽は、まるで備前の海岸線
に沿うように流れてしまったのだ。
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「エッ、マジデー、ウッソー」、絶句する備前。
「潮の流れは時として変わるものよ」、ほくそ笑む讃岐。
「ソンナァー・・・・」、落胆する名主。
こうして備前と讃岐の国境は決められたそうな。メデタシ、メデタシ。
(JR乗潰しの旅 本四備讃線 完)
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