
毎日の地道な努力は、いつか実を結ぶかもしれない。
この、「かもしれない」淡い思いを持っているからこそ、続けられるのかも。
それ以上うまくはならないよ。と、断定されたらきっと続けられないかも。
そんな中、全本弓道大会に何年かぶりに行くことにした。
ゴールデンウィークは、毎年京都で昇段、昇格審査が行われる。

今年は、会場が「みやこめっせ」で、特設会場で5射場一挙に進行できる。
審査を受けるついでに、試合にも出ましょうかということで、夫婦で出かけた。
5/3のこの日は、宿泊先の聞法会館では、桂一門の落語があるのでネット予約した。

大会の予選は、3時頃に終わるので、4時からの落語に間に合うだろう。
但し、予選通過したらキャンセルをしなくてはならない。
たった2本を射るのであるが、残るのは一握りだ。
有段者、教士・・と、各部門があり、わたし達は錬士の部門で、727名の参加者である。
主人は1本目を中てたが、2本目を落としたので、わたしもさっさとはずして落語へ行かなくてはならないなあ。と、力が抜けた。
わたしの出番は3時頃で、落語開演ぎりぎりだ。
終わったらすぐに着替えないで、タクシーに乗る段取りだ。
肩の力が抜けたお陰か、2本とも中ってしまった。
結局、キャンセルの電話を主人が入れた。
この時点で、720名が80名にしぼられた。
かつて、遠い昔も一度予選を通過したことがあるが、びびって次の1本ですぐにお帰り組みとなったことがある。
そう簡単には残っていけないことは知っているので、次の1本が抜けたら、まだ落語に間に合うかもと思った。
顔見知りの福井県のN氏が残っていて「待ってるよ」と、笑っていた。
冗談で「待っててね」と返した。N氏は過去に優勝したことがあるという。
次の1本も、気持ちよく引くことが出来た。中てなくてはという気がないからだ。
そう簡単に残れないので、精一杯気持ちよく引くことを心がける。
ここで、80名が40名になった。
次の行射をしたら、硬くなってきて、びくがきた。いまいちの射になった。
自分が中っているように思えなかった。
特設会場は、的に中った音も外れの音も聞き分けにくいし、自分の矢が視力が悪いせいか、緊張のせいかどこへ刺さっているのかよくわからない。
退場すると、外れた人のゼッケンは係員に回収される。
今のは中りだろうかと振り向くと、係員が中りですよという。
ゼッケンをもぎとられずにすんだ。
ここで、20名ほどになった。
人数を把握できなかったが福井のN氏は消えていた。

待っている間に、静かに呼吸を整えて緊張感が高まるのを抑えようとしていた。
次の出番には、的が小さくなっていた。いわゆる八寸的だ。
げっ小さい・・と、思ってしまった。
ここで一挙に振り落としだ。結果、外れ。中りの人は3人。
5位入賞のラストチャンス。遠近(的芯に近いほうが勝ち)での戦い。
ここで、気持ちが中てたいに変わった。
今まではひたすら一生懸命引いていたのに。
そのいやらしい気持ちのお陰で、技術の未熟さに終止符が。
練習会場で皆中していて、ここへきて4中したので、今日は8射8中だ。
練習でもめったに出ないので、実力はここまでかもという気もする。
しかし、よくやりました。約20名に残るとは。
ここで入賞できる人は、本当に力のある人が残る。
偶然やたまたまでは残れない。
後で石川県の人々に、「6位も予選落ちもただの人」と、笑われた。
落語で笑うはずだったのに、落伍して笑われるとは。