教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

#不登校お手紙問題 「学校きてね」「待ってるよ」不登校の子ども葛藤する「お手紙」問題

2018年08月11日 13時52分53秒 | 受験・学校・学問

2018年08月09日

#withyou

#きみとともに

#不登校お手紙問題

「学校きてね」「待ってるよ」不登校の子ども葛藤する「お手紙」問題

  野口みな子

#25 #withyou ~きみとともに~

920 見る twitter 28

 88809

 

親友からの手紙を読むユウカさん(仮名)

 

・手紙「内容よりも、申し訳なさ」

・「プラスになる根拠」なければ待ってほしい

・「お手紙」どう思いますか

 「学校に来てね」「待ってるよ」ーー、学校に行かない、もしくは行けない子どもたちは、同級生などからもらう手紙や寄せ書きに複雑な思いを抱いています。「学校でつらいときは興味を示してくれなかったのに」「『行かなきゃ』というプレッシャーになってつらい」。ネガティブな気持ちを持ちつつも、その思いを飲み込んでいるのは、みんなの「善意」が見えるからこそ。葛藤と申し訳なさの中で、学校に行けない自分を責めている……不登校新聞と協力して行ったアンケートから、やりきれない気持ちが見えてきました。

 

【#不登校お手紙問題】

不登校の子ども悩む「プリントお届け」 遠ざけたい学校の「におい」

 

無理やり玄関まで…追い詰められていた

 

 「クラスメイトがよかれと思って書いてくれたことはわかっています。でも、そっとしておいてほしかったです」

 

 東北地方に住む20代のワカナさん(仮名・女性)は、言葉を選ぶように、ぽつりぽつりと話します。

 

 ワカナさんが、学校の教室に入ることが難しくなったきっかけは、中学校2年生のクラス替え。1年生の頃の友だちと離ればなれになり、クラスの中で孤独感を持っていました。

 

 朝起きられなくなり、「学校に行きたくない」と言っても、母親に無理やり玄関まで引きずり出されたこともあったそうです。母親には「どうして普通のことができないの」と言われ、「何度も死にたいと思った。それくらい追い詰められていました」。

 

 

クラスメイトからの手紙に戸惑いを覚えている子どもも(写真はイメージ)

出典:PIXTA

「クラスメイト」ではなく、「不登校の子」

 

 ワカナさんが学校に行けなくなった頃、小学校が一緒だったという、クラスメイト6人からお手紙をもらいました。そこには「待ってるよ」「学校に来てね」など、登校をうながす言葉が書かれていたといいます。

 

 「嬉しいという気持ちは全くなかったです。クラスメイトの1人としてではなく、『不登校の子』として見られているな、と感じました。不登校の生徒は、周りにいなかったので」

 

 

 

「『不登校の子』として見られている、と感じた」というワカナさん(写真はイメージ)

出典:PIXTA

 それまで言葉少なにゆっくり話していたワカナさんが、当時を思い出し、急ぐようにいいます。

 

 「教室で1人でつらかったとき、誰も興味を示してくれず、何もしてくれませんでした。いきなり手紙だけもらって……」

 

 「もしも学校に行っても、誰かが何かしてくれたのでしょうか」

 

 かみしめるように、ワカナさんは続けます。「この状況になったら、どんなことをしてもらっても気を遣います。疎外感も感じるでしょう。してほしいことは、何もありませんでした」

 

手紙、半数以上が「もらったことがある」

 

 不登校を経験した他の人たちは、クラスメイトなどからもらう「お手紙」をどう感じているのでしょうか。

 

 不登校新聞(NPO法人全国不登校新聞社)の協力で行った、不登校の生徒、もしくは経験者を対象にしたウェブアンケートでは、20人から回答が得られました。そのうち、半数以上の人が「クラスメイトなどから手紙をもらったことがある」と答えました。

 

 

 

 「手紙をもらったことがある」と答えた人のうち、手紙をもらったことについてどう感じたか聞いたところ、「良かった」と回答したのは約2割。「良くなかった」がおよそ3割で、肯定的に捉えている人数は少ないことがわかります。

 

【手紙をもらって「良くなかった」理由】

「学校のことを考えるだけでも嫌だった」(20代女性)

「『待ってるよ』という言葉がつらかった」(10代女性)

など

 半数近くが「わからない」という回答で、「優しい言葉ばかりで嬉しい半面、『どうして私は行けないのだろう』とつらくなった(10代女性)」などの理由も。「良かった」「良くなかった」では言い表せない、複雑な心境が垣間見えます。

 

 一方、「手紙をもらったことがない」と答えた人で、「良くなかった」と答えたのはごく少数。「良かった」の理由には、「もらっていたら、ストレスになっていたと思う(30代男性)」という声もありました。

 

 

 

手紙「内容よりも、申し訳なさ」

 

 特にアンケートの回答や、取材する中で多く聞かれたのは、「自分のために誰かの時間を割いてしまっているのが申し訳ない」という声でした。

 

 東海地方に住むユウカさん(仮名・女性)もそのひとりです。

 

 ユウカさんは中学3年生。小6から学校に行けなくなり、現在フリースクールに通っています。

 

 3年生になって、担任の先生から、クラス全員分の寄せ書きを受け取りました。「はやく学校きてね」「待ってます」「体育祭きてください」ーー。寄せ書きを見つめながら、「全体的に似た言葉が並んでますよね」とユウカさんは話します。

 

 「クラスの中には、会ったことのない子もいて、きっと何を書いたらいいか迷ったと思います。もしかしたら周りの子が書いたものをまねしたり、先生が言ったことを書いたりしたのかもしれません」

 

 

 

「何を書いたらいいのか悩んだと思う」とユウカさんは話します(写真はイメージ)

出典:PIXTA

 メッセージの内容については、「負担だとは感じていない」というユウカさん。自分に向けられた言葉よりも、「迷惑をかけてしまっているのでは」ということが気になっています。

 

 「言葉を考えてくれた一生懸命さに、私は応えられないと思います。私のために時間をもらっていることが、本当に申し訳ないです」

 

 ユウカさんに限らず不登校を経験している人は、「自分は周囲にどう思われているのか」を非常に敏感に考えていることを、取材の中で強く感じました。投げかけられる言葉から、相手の気持ちを探って疲れてしまったり、自分を責めてしまったりすることもあります。

 

「支えられているよ」手紙で救われた

 

 それでも、ユウカさんには「涙が出るほど嬉しかった」というお手紙がありました。それは幼稚園の頃から仲の良い親友からもらった手紙です。

 

 【私はちゃんとユウカちゃんを支えられている? 私はいつもユウカちゃんに支えられているよ 2人のきずなは誰になにを言われても、何があっても絶対に消えないからね】

 

 学校に行けなくなった当時、ユウカさんは「自分でもどうして行けないのかわからなかった」そうです。周囲の人に『どうして学校に来ないの?』と何度も聞かれ、「理由が答えられないのもつらくて、聞かれても別の話にすり替えていました」。

 

 「手紙をくれた彼女は、私が学校に行かなくなっても『元気?』って言うだけで、何も変わりませんでした。『私に何ができるのだろう』と思っていたことも、彼女はこのお手紙で救ってくれました」

 

 「他のクラスメイトと関わりがないことを寂しいと思うこともあるけれど、私はこの子がいてくれるだけでいい」(ユウカさん)

 

 

 

親友からの手紙を読むユウカさん

「プラスになる根拠」なければ待ってほしい

 

 アンケートにも、「手紙をもらって良かった」と回答した人がいました。しかし、理由を読むと単純に「嬉しい」という感情だけではない、ひっかかりがあるのを感じます。

 

【手紙をもらって「良かった」理由】

「励ましの言葉が嬉しかったと同時に、プレッシャーにも感じた」(20代男性)

「クラス全員からの手紙には心が傷つく言葉もあったが、あるクラスメイトが毎日手紙をくれて、だんだんありがたさを感じるようになった」(20代女性)

 手紙を送る人や、受け取る人にとっても、感じ方はさまざまです。不登校の生徒にみんなで手紙を送ることについて、どう考えたらよいでしょうか。

 

 NPO法人日本スクールソーシャルワーク協会の山下英三郎名誉会長は、「本人にとってプラスになるという根拠がない限り、待っていただいた方がいいと思います」。

 

 クラスメイトから忘れられていないということを、嬉しく感じる子どももいます。「ただ、学校に行かなければならない、とプレッシャーを感じる子どもの方が多いのではないでしょうか」と指摘します。

 

 

 

日本スクールソーシャルワーク協会20周年記念講演で語る山下名誉会長

出典: 日本スクールソーシャルワーク協会提供

 生徒の有志で手紙を送るケースもありますが、クラスメイトでまとめて手紙を書くということは、担任の先生の判断でされている場合が多いといいます。山下さんが考えるのは、「学校に来られない子どもをみんなで励まそう、という『善意』がベースにある」ということ。

 

 「その善意を疑わず、相手が求めていることからずれてしまえば、悪意にも等しくなってしまうのです」

 

「手紙送ったのに」否定的な見方強める可能性も

 

 クラスメイトや部活のメンバーなど、一律で手紙を書く場合、本人と直接トラブルがあった生徒も参加していることもあります。アンケートでは「いじめていた人の手紙は『誰かに書かされている』と感じた」「言葉では言いあらわせない気持ちになった」という声も寄せられ、手紙の一方通行さにやり場のない思いを抱えていることがわかります。

 

 山下さんは、手紙を受け取った生徒が反応しなかった、もしくはできなかった場合、手紙を送った生徒が「いいことをしたのに、あの子は何もしなかった」と否定的な見方を強めてしまう可能性もある、と危惧します。

 

 

 

手紙に反応しなかったことで、否定的な見方を強めてしまう場合も(写真はイメージ)

出典:PIXTA

『 「こうした働きかけをする前に、子どもが学校のことを知りたいと思っているか、人からの接触を喜んでいるかどうか、少なくとも先生には考えてもらいたいです。そういった様子を知れるように、親御さんや、本人との関係づくりが重要だと考えています」(山下さん)

 

「お手紙」どう思いますか

 文部科学省の調査によると2016年度、1年を通じて30日以上学校に行かなかった不登校の子どもは小学校で3万448人、中学校は10万3235人でした。1千人あたりの不登校の子どもの人数は過去最多となり、小学校で4.7人、中学校は30.1人という調査結果が出ています。

 

 筆者自身、中1~中学卒業まで不登校を経験していたこともあり、「お手紙」について不登校新聞と協力してアンケートを実施しました。

 

 自分でも説明できないモヤモヤを抱えながら、届けられた言葉に持った感情を飲み込んでいるーー。誰かが誰かを傷つけようとしている状況ではないからこそ、「お手紙」をめぐるそんな現状にやりきれなさを感じています。 

 一方で、率直に驚いたのは、思ったより多くの人がもらっている、ということでした。もしかすると、この記事を読んでいる方の中にも「書いたことがある」「もらったことがある」という人がいるかもしれません。 もしも心当たりがある人は、ツイッターのハッシュタグ「#不登校お手紙問題」で、当時の気持ちを聞かせてくれませんか。わかりやすい答えは出せない「お手紙」問題。これからも考え続けていきたいと思っています。』

不登校での友達からの手紙が、良い結果になるかどうかは、ケースバイケースと思います。この記事のお母さんのように何がなんでも学校に行かせれば、解決する問題ではなく、お母さんが、子供を信頼し暖かく、ゆっくりと見守って上げる余裕も大切と思います。

 

 

 

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近い将来の総理大臣」の誉れ高い河野太郎外相は、北朝鮮の李容浩外相から安倍晋三首相の身代わりに怒鳴りつけられ、とんだとばっちりだ

2018年08月11日 13時49分36秒 | 国際・政治

「近い将来の総理大臣」の誉れ高い河野太郎外相は、北朝鮮の李容浩外相から安倍晋三首相の身代わりに怒鳴りつけられ、とんだとばっちりだ

2018年08月10日 07時53分31秒 | 政治

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
「近い将来の総理大臣」の誉れ高い河野太郎外相は、北朝鮮の李容浩外相から安倍晋三首相の身代わりに怒鳴りつけられ、とんだとばっちりだ

◆〔特別情報1〕
 「指桑罵槐」―桑(安倍晋三首相)を指さして、槐(河野太郎外相)を罵る。「近い将来の総理大臣」の誉れ高い河野太郎外相は8月3日、シンガポールで開 かれたASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議中、北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相と一瞬接触した際、李容浩外相が「ふざけんなコノヤロー」と怒鳴り つけられたという。これは、李容浩外相が中国の兵法書「三十六計」の計略の1つ併戦計中、二十六計「本当に注意したい相手を直接名指して注意するのではな く、別の相手を批判することで、間接的に人の心をコントロールしようという作戦」(湯浅邦弘著『孫子・三十六計』(角川ソフィア文庫)での解釈)を使い、 北朝鮮(金正恩党委員長)を敵視し続けている安倍晋三首相を厳しく批判したのであり、河野太郎外相は、とんだとばっちりだ。米キッシンジャー博士配下の米 CIAは、「悪魔大王」と言われた米最大財閥デイビッド・ロックフェラー指揮下の米CIA日本支部と「ジャパン・ハンドラーズ」(日本操縦者)に牛耳られ てきた安倍晋三首相と自民党派閥「清和会」(細田博之会長)の殲滅作戦を実行中であり、いまやトランプ大統領と蜜月の金正恩党委員長に生殺与奪権を握られ ている。トランプ大統領は、在韓米軍とともに在日米軍の撤退を計画しており、沖縄県の翁長雄志知事が8日午後6時43分、膵(すい)がんのため沖縄県浦添 市の病院において67歳死去したのが惜しまれる。これは、天皇陛下のごく近くにいる吉備太秦のトップ情報である。

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ズッキーニやヘチマなど「ウリ科野菜」中毒の危険性

2018年08月11日 12時37分09秒 | 食・レシピ

 

 

石田雅彦 | ライター、編集者

8/9(木) 7:00

 

ウリ科のヒョウタン(写真:アフロ)

『 夏野菜が美味しい季節だが、ズッキーニなどウリ科の野菜により、嘔吐や下痢などの中毒症状を起こす危険性があるとネット上で話題になっている。ウリ科の植物がなぜ中毒を起こすのか、原因物質には意外な秘密と可能性があった(※注意喚起の意味で書いた記事であり、生産流通しているウリ科の野菜の危険性はかなり低いことを書き添えておく)。

 

苦み成分ククルビタシンとは

 中毒の恐れはズッキーニ以外の同じウリ科の野菜であるキュウリ、スイカ、ヘチマ、トウガン、ゴーヤー(ツルレイシ)、メロンなどで起きる危険性があり、その原因物質はステロイド(Steroid)の一種、ククルビタシン(Cucurbitacin、A~T)だ。苦味成分であるククルビタシンは、アブラナ科の植物や香木の沈香、ある種のキノコ(ベニタケやワカフサタケの仲間)、海の軟体動物にも含まれる(※1)。

 

 このククルビタシンによって中毒症状が引き起こされ、これまでもウリ科の植物を食べたことによる食中毒の事例は多い。

 

 2001年には沖縄で自家栽培のヘチマを食べて30分後に嘔吐し、下痢が止まらないという人が出た。この場合、ククルビタシンの量は少なかったが、それでも中毒症状を引き起こした。

 

 2007年には、長野県で自家栽培したヒョウタンの塩漬けを食べた直後に嘔吐し、吐血と下血して救急外来へ駆け込んだ事例が報告されている。これはヒョウタンに含まれるククルビタシンBによる十二指腸炎と診断された。

 

 2008年には自家栽培したヘチマを食べ、これまでに経験したことのない苦味を感じて保健所に相談した事例が沖縄でいくつか報告されている。沖縄といえば同じウリ科のゴーヤーだが、味噌煮にしたヘチマや煮物や汁物にしたユウガオ(チブル)も食べる。

 

 沖縄県では、ゴーヤーより苦いヘチマやユウガオは中毒の危険性があるので注意するように喚起しているが、ゴーヤーになれているせいか、多少苦くても食べてしまうケースが多いようだ。

 

 ちなみに、ゴーヤーの苦味はククルビタシンもあるが、そのほとんどは中毒を引き起こさないモモルジシン(momordicin)によるものだ。ただ、ゴーヤーの実や種子には妊娠阻害や流産の誘発作用などが報告されており(※3)、通常の食用で適量を食べる分には安全だが、妊娠を希望している場合や妊娠中の摂食は避けたほうがいいだろう。

 

 2014年には岡山県でズッキーニを食べた男女14人が、下痢や腹痛などの食中毒症状を訴えていたことがわかっている。同年、岡山県は「強い苦味のあるウリ科植物にはご注意ください」という注意喚起を出した(※3)。

 

無害化されているはずの野菜だが

 岡山県の警告では、通常の場合、キュウリやスイカ、メロン、ズッキーニなど食用のウリ科の植物には、ククルビタシンは含まれていないとしている。これらの野菜は、長い品種改良の結果、苦味成分を除外し、ククルビタシンを含まないように栽培されてきたからだ。

 

 だが、連作や水やりの不足、温度変化、野生種や観賞用ヘチマなどからの花粉飛来や昆虫の受粉による交雑などの要因で、ククルビタシンを多く含むものができてしまうことが希にあるようだ。筆者もメロンを食べた際、ヘタに近い部分に妙な苦味を感じたことがある。

 

 2018年には、フランスでカボチャの(Squash)スープを食べたフランス人が中毒になり、嘔吐や下痢、1週間後に頭髪や陰毛の脱毛の症状を起こしたという2症例の報告が出された(※4)。フランスではカボチャを多く消費するが、2012~2016年にフランスの毒物管理センターに報告されたカボチャ中毒は353人に上るという(※5)。

 

 日本でも最近(2018年5月)、長野県がウリ科植物に注意喚起をし、カンピョウの原料になるウリ科のユウガオで食中毒の危険性があるとしている(※6)。ユウガオはスイカなどを栽培する際の接ぎ木の台木に使用されることがあり、この台木からとれるユウガオの実にククルビタシンが多く含まれる場合があるそうだ。

 

 ククルビタシンが、ウリ科などの植物の実に存在する理由は多様だ。この物質が、ある種の昆虫を惹きつけるアレロケミカル(Allelochemical、別種間の情報伝達物質)ということはよく知られていた(※7)。そのため、虫の誘引剤や交配混乱剤、除虫剤などにも応用されている。

 

 植物の持つアルカロイド(Alkaloid)やステロイドは草食動物に食べられないように進化してきたために備わったと考えられているが、ウリ科の植物のククルビタシンの苦味もおそらく同じ目的で含まれるようになったのだろう。

 

 キュウリの原産地は中東と考えられ、その後、東西へ伝えられて日本でも古くから食用の野菜になってきた。だが、ククルビタシンによる苦味があったため、キュウリの場合は塩もみなどをして苦味を弱めるような調理法が発達する。

 

 キュウリ(Cucumber)の遺伝子を調べた研究(※8)によれば、野生種の苦いキュウリがこれまで4段階を経て品種改良され、食用になったことがわかった。この研究では、キュウリの苦味が葉と実の遺伝子に分けられた結果、実のほうに苦味が少なくなったという。

 

中毒を起こす植物

 良薬は口に苦しなどというが、薬は毒でもある。毒をもって毒を制すというのが薬理的な作用の一つで、ククルビタシンを含むウリ科の植物(マクワウリ、アマチャヅルなど)は古く漢方などに利用されてきた(※9)。最近ではククルビタシンに抗がん作用や抗腫瘍作用があり、分子標的薬に応用できるのではないか、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌に使えるのではないかと盛んに研究されている(※10)。

 

 人類は農耕を始めて以来、野生の植物を何とか食べられるように改良してきた。だが、植物には本来、食べられないように、食べられるのなら自らの種を広めようという機能がある。

 

 有毒な野生種を食用の植物と見間違う場合も多い。

 

 2018年7月23日には北海道でイヌサフランの球根(鱗茎)をジャガイモと間違えて食べて食中毒で亡くなった人が出た。イヌサフランには有毒なアルカロイドの一種、コルヒチン(Colchicine)が含まれ、呼吸困難などの症状を引き起こす。

 

 ほかにもニラに似たスイセン(ヒガンバナ・アルカロイド)、フキノトウに似たナス科のハシリドコロ(ヒヨスチアミン、Hyoscyamineなど)、セリに似たドクゼリ(シクトキシン、Cicutoxinなど)など、間違えやすく毒性の強い植物は多い。トマトにもナスにも中毒作用を引き起こしかねないアルカロイドなどの物質が少量だが含まれている。

 

 もちろん、市販されている野菜のほとんどは安全だ。ウリ科の植物などに含まれるククルビタシンは検出法が開発されつつある。

 

 だが、キュウリやズッキーニ、ヘチマなどを食べる際には、切り口を少しなめてみて、もしも強烈な苦みがあり違和感があったらすぐ食べるのは避け、保健所などに相談したほうがいいだろう。

 

※1:Cho-Rong Seo, et al., "Cucurbitacin B and cucurbitacin I suppress adipocyte differentiation through inhibition of STAT3 signaling." Food and Chemical Toxicology, Vol.64, 217-224, 2014

※2:Majekodunmi O. Fatope, et al., "New Cucurbitane Triterpenoids from Momordica charantia." Journal of Natural Products, Vol.53(6), 1491-1497, 1990

※3:J K. Grover, et al., "Pharmacological actions and potential uses of Momordica charantia: a review." Journal of Ethnopharmacology, Vol.93, Issue1, 123-132, 2004

※3:岡山県備前県民局健康福祉部「強い苦味のあるウリ科植物にはご注意ください」2014/09/10(2018/08/08アクセス)

※4:Philippe Assouly, "Hair Loss Associated With Cucurbit Poisoning." JAMA Dermatology, Vol154(5), 617-618, 2018

※5:G Le Roux, et al., "Poisoning by non-edible squash: retrospective series of 353 patients from French Poison Control Centers." Clinical Toxicology, Vol.56, Issue8, 2018

※6:長野県健康福祉部食品・生活衛生課「激しい苦みのあるウリ科植物にご注意ください」2018/05/11(2018/08/08アクセス)

※7-1:Oyette L. Chambliss, et al., "Cucurbitacins: Specific Insect Attractants in Cucurbitaceae." Science, Vol.153, Issue3742, 1392-1393, 1966

※7-2:Robert L. Metcalf, et al., "Cucurbitacins as kairomones for diabroticite beetles." PNAS, Vol.77(7), 3769-3772, 1980

※8:Yi Shang, et al., "Biosynthesis, regulation, and domestication of bitterness in cucumber." Science, Vol.346, Issue6213, 2014

※9:M Miro, "Cucurbitacins and their pharmacological effects." Phytotherapy Research, Vol.9, Issue3, 159-168, 1995

※10-1:Xiuping Chen, et al., "Biological activities and potential molecular targets of cucurbitacins: a focus on cancer." Anti-Cancer Drugs, Vol.23, Issue23, 777-787, 2012

※10-2:Abdullah A. Alghasham, "Cucurbitacins- A Promising Target for Cancer Therapy." International Journal of Health Sciences, Vol.7(1), 77-89, 2013

※10-3:Lei Yang, et al., "Recent advances in biosynthesis of bioactive compounds in traditional Chinese medicinal plants." Science Bulletin, Vol.61, Issue1, 3-17, 2 

石田雅彦

ライター、編集者

Masahiko Ishida:医科学修士(MMSc)、横浜市立大学・共同研究員。近代映画社を経てフリー。ネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長など。自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。法政大学経済学部卒、横浜市立大学大学院医学研究科修士課程修了、同博士課程在学中。日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会員。著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)、『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)など。』

 

皆様ご用心下さいませ。

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8月10日(金)のつぶやき

2018年08月11日 05時34分24秒 | 受験・学校・学問
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