だから転売ヤーがコメでボロ儲けしている…「コメはある」と言い張って備蓄米の放出を渋った農水省の大失態
PRESIDENT Online 掲載
■なぜもっと早く放出しなかったのか
昨年の夏以降、コメを買いにスーパーに行くと、品切れや“1家族、1袋”と購入量制限がつくことが増えた。そうした米の状況は、かつて1970年台の狂乱物価の時期、多くの主婦がトイレットペーパーを買い漁った光景を思い出させる。まさに“令和のコメ騒動”といえるだろう。
コメ不足がここまで深刻になった背景には、近年の異常気象の影響などで収穫量が伸び悩んだり、減少したりしたことがある。それに加えて、コメの流通経路が上手くワークしなかったことがある。そのため、供給が円滑に需要に対応することができなかった。そこに価格高騰を見込んで、コメの流通に関係のない業者までも多数加わって価格上昇に拍車をかけた。
今回の騒動に対応するため、政府が保有する備蓄米を市場に放出することで鎮静化を図る対策が出た。しかし、なんといっても、政府の対応は遅すぎる。コメの需給関係がタイトになりそうな段階で、農林水産省が迅速に備蓄米放出に踏み切っていたなら、状況は違っただろう。
■昨年夏から10%超値上がりしている
もともと、わが国の農業政策は、コメの価格を下げないことを目的にしてきた。そのため、価格引き下げ効果を狙う政策を上手く運用することができなかった。3月中旬以降、価格上昇は一服する可能性はある。ただ、中長期的なコメの価格動向は見通しづらい。備蓄米放出の効果が一巡すると、再度コメの価格が不安定化するリスクは残りそうだ。それは、消費者物価の上昇に大きな影響を与える可能性がある。
消費者物価指数を構成する“うるち米A(コシヒカリ)”の価格推移を見ると、2022年11月以降、価格は前年同月の実績を上回るようになった。2024年夏場から上昇は鮮明化し10%を上回る上昇を記録した。
農林水産省によると、2024年、国内のコメ相対取引価格の平均値は60キロあたり2万3715円に上昇した。1993年、冷夏の影響で生産量が減少し上昇した価格(2万3607円)を上回り、統計開始以来の最高を更新した。相対価格とは、出荷団体(代表はJA全農)と卸売業者間の主食用米の取引価格を指す。
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