【学費問題】東大、約10万円の授業料値上げを正式決定
東大は9月24日、授業料を20%値上げして年額642,960円(現行535,800円)にすることを正式に決定した。学士課程は2025年度、修士課程は2029年度入学生から改定後の授業料が適用される。博士課程の授業料は据え置く。併せて授業料免除の対象を世帯年収600万円以下の学生に広げるなどの支援拡充策も公表した。9月10日の発表案通りの決定だった。
授業料免除対象の拡大に加え、世帯年収600〜900万円の学生についても出身地等個別の状況を勘案して一部免除も実施する。9月10日に開かれた記者会見で藤井輝夫総長は、世帯収入は高くとも十分な支援を家庭から受けられない学生にも配慮して「きめ細やかな対応」をしたいと述べている。
9月10日の発表案では、授業料引き上げによる増収分(28年度末で概算年間13.5億円)は、①学修支援システム「UTokyo One(UTONE、ユートン)」の機能強化②TA(ティーチング・アシスタント)の処遇改善や施設の維持③図書館機能の強化など専門分野を超えた学術資産活用の強化④各種バリアフリー強化やメンタルヘルスケアの充実⑤留学のための奨学金─などに活用するとしている。
藤井総長は正式発表と同時にメッセージを公開し、学生・教職員からの「建設的な意見や提案に重ねて感謝」を表した。今後は部局を個別に訪問して学生・教職員への説明を続け、併せて学生支援の拡充に向け、学生生活の状況を把握したいとした。学生に関連する事柄について「一緒に考える仕組み」の検討も始めるという。
東大は5月16日に授業料改定の検討をしていると正式に発表。6月には検討の取りやめを求める「授業料値上げに関する駒場決議」が東京大学教養学部学生自治会の学生投票で可決されるなど、学生の間で反対の動きもあった。10日の発表案についても、自治会と学生団体「学費値上げ反対緊急アクション」がそれぞれ反対声明を出していた。
国立大学の授業料は省令により一定の基準が定められ、20%を上限に各大学の裁量で増額が可能。現在、東大の授業料(学士・修士課程)は「標準額」の年間53万5800円で、2005年の「標準額」改定に伴う値上げ以来、約20年間据え置かれてきた。
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