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バス運転手が集まらないのは「不人気だから」なのか? 人手不足の本当の理由 見えづらくしている業界のマイナス思考
2023.12.04 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
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待遇は改善 シャキッとせよバス業界!
公的な補助金は金額設定が厳格で、運転手の待遇改善が困難な状況が続いていましたが今般の運転手不足を受けて、運賃および補助金額の算定基準アップが認められそうで、ようやく収入額の増加が実現しそうです。
また貸切バス専業の事業者もあります。個人向けのビジネスではないため路線バス事業者に比べ社名の認知度が小さいのですが、業界内で一目置かれる名門の老舗事業者から、成長株の個人経営の事業者まで多様です。2023年8月には運賃額の改定が行われ、貸切バス事業者の収益はさらに高まっており、運転手の待遇改善が始まっています。
先日、メディア取材に立ち会っていると、業界関係者が記者から運転手不足の理由を問われ、平然と「若者がクルマ離れして普通免許さえ取得しない傾向だから」と答えていました。確かに若年層の免許保有者数は20年間で4割程度も減少しています。しかし、保有者の比率をみると1割程度の下落に過ぎません。
若年層が「クルマ離れ」しているわけではなく、そもそも少子化により若年層の総数が大きく減少しているのです。人手不足は全業種共通の現象で、バス業界だけ、運転職だけではありません。
一事が万事この調子です。かつてない求人の苦戦に浮足立ち、バス業界自らが不人気な職種だと思い込んでその理由を勝手に作り上げているのです。自ら不人気だと思っている業界に入ろうとは誰も思わないはずです。
「運転手不足のため減便や路線廃止」というニュースも続きますが、これには、赤字だけど地域に配慮して廃止できなかった路線をこの機会に一気に処理しているという側面もあります。しかし、あまりに運転手不足が前面に出すぎると不人気職種というレッテルが世間に定着しかねません。バス事業者は情報の出し方に注意する必要があります。
人手不足は国全体の、かつ慢性的な問題で、今後も他業種との人材の取り合いが続きます。バス業界には、データを冷静に分析し待遇改善も含めた対策を適切に実施したうえで、自信を持って採用活動に臨むことが求められています。
【了】
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Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。