ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

シベリウス/交響曲第1番

2013-06-12 22:21:57 | クラシック(交響曲)
シベリウスは全部で7曲の交響曲を作曲していますが、どれをベストとするかは人によって違います。後期の5番、7番を評価する人もいれば、ちょっと渋めで6番(私にはイマイチ良さがわかりませんでしたが・・・)を推す人も。ですが、一般的な人気度では初期の第1番と第2番が高いようです。理由はメロディの美しさとわかりやすいまでのドラマチックな展開。標題音楽ではないので決して特定の情景を描写しているわけではありませんが、長く厳しい冬、春の大地に降り注ぐ太陽など北欧の大自然が目を閉じれば浮かんでくるようです。どの楽章も素晴らしいですが、特に第4楽章のフィナーレ部分は感動的ですらありますね。人によっては「ベタ過ぎる」と敬遠する向きもあるようですが、私的には交響曲史上に残る名曲だと思います。



CDはヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルのものを買いました。シベリウスと言えばついフィンランドの指揮者で聴きたくなりますが、組曲「カレリア」の入った本盤が内容も価格も一番手頃だったので選びました。「カレリア」はフィンランド人の心の故郷とも言われるカレリア地方を題材にした組曲で、シベリウス20代の頃の作品だけあって若々しい作風ですね。特に行進曲風の第3曲などは後年のシベリウスにはない勇壮な曲です。最近シベリウス作品を良く聴きますが、交響曲も管弦楽作品も本当に良い曲ばかりですね。引き続きコレクションしていきたいと思います。
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チャイコフスキー/1812年、ロメオとジュリエット、テンペスト 他

2013-06-05 23:22:58 | クラシック(管弦楽作品)
前回のブログでストイックなブラームスを紹介しましたが、同時代の作曲家でありながらより大衆的なアプローチで人気作曲家となったのがチャイコフスキーです。彼の音楽を彩るのは強烈なまでのスラブ民族主義と過剰なまでのロマンチシズム。そのせいか、時に“ベタ”“下品”とも評されますが、クラシック初心者にもわかりやすい名曲の数々で特に日本では絶大な人気を誇っています。今日取り上げる管弦楽作品4曲はそんなチャイコフスキーの特徴を最も良く表した作品と言っていいでしょう。



まず、民族主義者チャイコフスキーの代表作が大序曲「1812年」とその名もずばり「スラブ行進曲」。トルコとの戦争に臨むロシア軍を勇気づけるために作曲された「スラブ行進曲」も強烈ですが、「1812年」はある意味もっとえげつない。ロシア軍がナポレオンを打ち破った1812年の戦争を題材にした曲で、途中でフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」やロシア国歌が引用されるわ、クライマックスでド派手に大砲がぶち鳴らされるわ、騒々しいことこの上ない。正直、芸術作品としての完成度はどうなのよ?と思いますが、有名なテーマの勇壮な旋律にはやはり抗いがたい魅力があります。

一方、シェイクスピア劇を題材にした「ロメオとジュリエット」「テンペスト」はチャイコフスキーの希代のロマンチストぶりが極限まで発揮された楽曲。どちらも20分強の作品で、重く荒々しいオーケストラが鳴り響いた後に満を持したように甘美な旋律が紡ぎ出されます。それが中間部分とクライマックスに2回繰り返されるという展開。映画やドラマで言うお約束のお涙頂戴シーンのようなものですが、それが憎らしいぐらい見事にハマっています。なお、この4曲が1枚に入っているCDですが、クラウディオ・アバドの2枚の録音が出回っています。それぞれ世界屈指のオーケストラであるシカゴ交響楽団とベルリン・フィルを指揮したもので、どちらを買っても良いと思いますが、私が持っているのは価格の安かった前者です。
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ブラームス/交響曲第3番

2013-06-02 19:01:58 | クラシック(交響曲)
ブラームスは全部で4曲の交響曲を残しましたが、圧倒的に有名なのが第1番、次いで第4番が演奏される機会が多く、第2番と第3番はやや地味ですね。もっとも完成度は非常に高く、ブラームスらしい哀愁漂う旋律と雄大なオーケストラサウンドが融合した名曲だと思います。これぞブラームスと言った壮麗な第1楽章、穏やかなアンダンテの第2楽章、思わず口ずさみたくなるようなメランコリックな第3楽章、不安げな前半部分から徐々に盛り上がり、壮大なフィナーレを迎える第4楽章。どの部分をとっても特に欠点のようなものは見当たりません。ただ、にもかかわらず何か地味なんですよねえ。思うに同時代のチャイコフスキーやドヴォルザークがしばしば民族音楽をダイレクトに取り入れ、大衆にアピールする曲作りをしたのに対し、ブラームスはいかにも生真面目なドイツ人らしく、ベートーヴェンの流れを継承する古典音楽の王道を突き進んだのでしょう。ブラームスがその業績と名声の割に好き嫌いが分かれるのもその辺りが原因かもしれません。あ、私は一応ブラームスは好きですよ。ファンではないですけど。



CDはベルナルド・ハイティンク指揮ボストン交響楽団のものを買いました。ブラームスの交響曲シリーズはたくさん種類がありますが、その中で本盤を選んだのは「アルト・ラプソディ」が収録されているからです。名前の通りアルト独唱と男声コーラス入りのオーケストラ曲です。クラシックで女性ボーカルとなれば、オペラでも声楽曲でもソプラノがメインになることが多いので、アルトが主役の曲は珍しいです。ブラームスが36歳の時に作った曲ですが、内容はシューマンの娘ユリアへの失恋の痛手を歌ったものと言われています。ブラームスと言えばシューマンの妻クララに道ならぬ恋心を抱いていたことはあまりにも有名ですが、その娘にまで横恋慕するってどれだけ守備範囲広いねん!と思いますが、音楽面では謹厳実直そのもののブラームスも恋愛面に関しては人一倍煩悩が多かったようですね。肝心の曲自体ですが、さすがに失恋の恨みつらみをぶつけただけあって重苦しい曲ですが、後半のアルト独唱の部分にハッとした美しさが感じられます。
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