九州旅行記、前回に続いて熊本市の話題。
熊本市中心部の北東に、「子飼(こかい)」地区がある。白川が流れていて、近くに熊本大学がある。
「子飼橋」のそばには交差点があり、まずはその話から。
ネットの地図サイトでは、この地点名が「西子飼町」(Googleマップ)だったり、「子飼本町」(マピオン)だったり統一されていないが、実際は、
南西側(橋側)が「西子飼町」/北東側が「子飼本町」
同じ交差点内で表示されている名称が違っていた。
ここの道路・交差点が町名の境になっているのだが、それに合わせて実際に即した命名をしているようだ。札幌などと同じやり方だが、ここは県道337号線なので熊本県の方針か。
しかし、地元の皆さんはこのどちらでもなく、「子飼交差点」と呼ぶようで、現実とはかけ離れた表示がされていると言えるのではないだろうか(我が秋田県はもっとヒドイですが)。
この交差点は、「K」字形のような変則的な形の“四叉路”。
歩行者用信号は全部同時に青になり、斜めを含めてどの方向にも自由に横断できる「スクランブル交差点」。
交差点全面がゼブラゾーン
スクランブルであることを示すため、交差点内全面に斜線がペイントされていた。
秋田のスクランブル交差点では、斜線が「×」形にペイントされているから、違和感を覚えた。ほかの道路標示(白線)と勘違いしそうで。
ちなみに、スクランブル交差点は広義には「歩車分離式交差点」の一種。
秋田県警が近年好んで導入しているのは、狭義の「歩車分離式」。斜め横断ができない(やろうと思えばできるけど)点がスクランブルと異なる。秋田市内にある“本当のスクランブル交差点”は、木内前と秋田駅西口の北側と南側の3か所だけだと思う。
話が逸れましたが、
この熊本市子飼のスクランブル交差点は、日本初のスクランブル交差点なのだという。
変則的な形の交差点であるほか、当時は市電の終点があった(後に路線自体が廃止)ため、人の流れをスムーズにするために1969年3月5日から導入されたようだ。
※一部のサイト等において、東京銀座の数寄屋橋交差点が日本初のスクランブル交差点としているものもあるが、確認した限りではその年月日が不明であり、また、多くのサイトが熊本を日本初としていることから、熊本の方が先であると判断しました。
さて、この交差点から南西へ延びる400メートルほどの狭い道が、商店街になっている。
子飼交差点側のゲートや公式サイトでは「子飼レトロ通り商店街」となっているが、反対側のゲートなどは「子飼商店街」になっていた。
昼間は歩行者専用の道路で、自転車も降りて通らなければいけないことになっているが、自転車に乗って通る人も少なくなかった。
なんとも味のある商店街
八百屋さんや乾物屋さんが何軒もあったり、小さなスーパー(地元の大手)もあって軒を重ねるように連なっている。地域密着の昔ながらの商店街の風情。
空き店舗が少なく、年配の地域住民のほか熊本大学の学生も多く通るし、彼らも利用するスーパーや惣菜屋もあるので、活気がある。
向かい合った軒にシートを渡して“簡易アーケード”
こんな商店街は東京の下町辺りにはありそうだが、地方都市では珍しいかもしれない。
反対側の端
藤崎八幡宮や私鉄・熊本電鉄の「藤崎宮前」駅が近い。さらに駅から600メートルほど進めば、市電の通りや繁華街の通町筋。
ところで、上の写真のゲートに何か人物の写真が出ている。
「水前寺清子出生の地」
あの、チータがここで生まれ育ったのだ。
※愛称の「チータ」はネコ科動物の「チーター」ではなく、「チータ」。本名が「民子さん」で、小柄だったので「ちいさい たみちゃん」が由来。
【15日追記】子飼交差点は視覚障害者用(音響式)信号で、音は「ピヨピヨ」だったはず。(「鳴き交わし式」ではなく全部が同時に鳴っていた。機器のメーカーが違うのか、聞き慣れない音だった)
スクランブル交差点では、「ふじの山(♪頭を雲の上に出し)」(静岡県警)、「オウマ(♪お馬の親子は仲良しこよし)」(名古屋市東山動植物園正門前)、「乙女の祈り」(青森県警、弘前市下土手町など)といった、独自のメロディが流れるところもある。
実際にはユーザーである視覚障害者の意見を尊重するべきであるが、「日本初のスクランブル交差点」と「日本を代表する歌手が生まれ育った地」がすぐ近く。それらを記念する意味と遊び心で子飼交差点で「三百六十五歩のマーチ」でも流したらおもしろいかも。(ちなみに「三百六十五歩のマーチ」は1968年11月10日発売なので、1969年3月のスクランブル化とほぼ同時期)
青森の「乙女の祈り」よりは歩きやすそうな曲調だけど、横断する人が「三歩進んで二歩下がる」からダメ?
最後に、市電の通りへ向かう途中の国道3号線沿いの公園に隣接した開放的な場所にあったのは、
ヘンな建物
全面ハーフミラー張りで、「凸」を逆さまにした奇妙なもの。
不安定そうな形
実はこれ、熊本県警熊本北警察署。1990年築、総工費約25億円。
熊本県では「くまもとアートポリス」として、公共施設を中心にデザイン性の高い建造物が建てられており、これもその1つ。
ちなみに、2007年に新築された、秋田県警秋田中央警察署の総工費は27億円らしい(サトウケンイチロウ県議のブログより)から、その15年前とはいえヘンな形で25億円なら意外に安い。
秋田中央署。これで27億円
熊本北署の建物全体としては奥行きがけっこうあるが、逆凸形なのはほんのちょっとだけ。裏側から見ると、
わりとフツー
警察署としての主要な機能は裏側の方にあり、前の逆凸形部分にはエントランスや道場などがあるそうだ。
熊本県警のパトカーは、
「熊本県警察」の文字が毛筆体(楷書体)だった
旅行記は細々と続きます。
熊本市中心部の北東に、「子飼(こかい)」地区がある。白川が流れていて、近くに熊本大学がある。
「子飼橋」のそばには交差点があり、まずはその話から。
ネットの地図サイトでは、この地点名が「西子飼町」(Googleマップ)だったり、「子飼本町」(マピオン)だったり統一されていないが、実際は、
南西側(橋側)が「西子飼町」/北東側が「子飼本町」
同じ交差点内で表示されている名称が違っていた。
ここの道路・交差点が町名の境になっているのだが、それに合わせて実際に即した命名をしているようだ。札幌などと同じやり方だが、ここは県道337号線なので熊本県の方針か。
しかし、地元の皆さんはこのどちらでもなく、「子飼交差点」と呼ぶようで、現実とはかけ離れた表示がされていると言えるのではないだろうか(我が秋田県はもっとヒドイですが)。
この交差点は、「K」字形のような変則的な形の“四叉路”。
歩行者用信号は全部同時に青になり、斜めを含めてどの方向にも自由に横断できる「スクランブル交差点」。
交差点全面がゼブラゾーン
スクランブルであることを示すため、交差点内全面に斜線がペイントされていた。
秋田のスクランブル交差点では、斜線が「×」形にペイントされているから、違和感を覚えた。ほかの道路標示(白線)と勘違いしそうで。
ちなみに、スクランブル交差点は広義には「歩車分離式交差点」の一種。
秋田県警が近年好んで導入しているのは、狭義の「歩車分離式」。斜め横断ができない(やろうと思えばできるけど)点がスクランブルと異なる。秋田市内にある“本当のスクランブル交差点”は、木内前と秋田駅西口の北側と南側の3か所だけだと思う。
話が逸れましたが、
この熊本市子飼のスクランブル交差点は、日本初のスクランブル交差点なのだという。
変則的な形の交差点であるほか、当時は市電の終点があった(後に路線自体が廃止)ため、人の流れをスムーズにするために1969年3月5日から導入されたようだ。
※一部のサイト等において、東京銀座の数寄屋橋交差点が日本初のスクランブル交差点としているものもあるが、確認した限りではその年月日が不明であり、また、多くのサイトが熊本を日本初としていることから、熊本の方が先であると判断しました。
さて、この交差点から南西へ延びる400メートルほどの狭い道が、商店街になっている。
子飼交差点側のゲートや公式サイトでは「子飼レトロ通り商店街」となっているが、反対側のゲートなどは「子飼商店街」になっていた。
昼間は歩行者専用の道路で、自転車も降りて通らなければいけないことになっているが、自転車に乗って通る人も少なくなかった。
なんとも味のある商店街
八百屋さんや乾物屋さんが何軒もあったり、小さなスーパー(地元の大手)もあって軒を重ねるように連なっている。地域密着の昔ながらの商店街の風情。
空き店舗が少なく、年配の地域住民のほか熊本大学の学生も多く通るし、彼らも利用するスーパーや惣菜屋もあるので、活気がある。
向かい合った軒にシートを渡して“簡易アーケード”
こんな商店街は東京の下町辺りにはありそうだが、地方都市では珍しいかもしれない。
反対側の端
藤崎八幡宮や私鉄・熊本電鉄の「藤崎宮前」駅が近い。さらに駅から600メートルほど進めば、市電の通りや繁華街の通町筋。
ところで、上の写真のゲートに何か人物の写真が出ている。
「水前寺清子出生の地」
あの、チータがここで生まれ育ったのだ。
※愛称の「チータ」はネコ科動物の「チーター」ではなく、「チータ」。本名が「民子さん」で、小柄だったので「ちいさい たみちゃん」が由来。
【15日追記】子飼交差点は視覚障害者用(音響式)信号で、音は「ピヨピヨ」だったはず。(「鳴き交わし式」ではなく全部が同時に鳴っていた。機器のメーカーが違うのか、聞き慣れない音だった)
スクランブル交差点では、「ふじの山(♪頭を雲の上に出し)」(静岡県警)、「オウマ(♪お馬の親子は仲良しこよし)」(名古屋市東山動植物園正門前)、「乙女の祈り」(青森県警、弘前市下土手町など)といった、独自のメロディが流れるところもある。
実際にはユーザーである視覚障害者の意見を尊重するべきであるが、「日本初のスクランブル交差点」と「日本を代表する歌手が生まれ育った地」がすぐ近く。それらを記念する意味と遊び心で子飼交差点で「三百六十五歩のマーチ」でも流したらおもしろいかも。(ちなみに「三百六十五歩のマーチ」は1968年11月10日発売なので、1969年3月のスクランブル化とほぼ同時期)
青森の「乙女の祈り」よりは歩きやすそうな曲調だけど、横断する人が「三歩進んで二歩下がる」からダメ?
最後に、市電の通りへ向かう途中の国道3号線沿いの公園に隣接した開放的な場所にあったのは、
ヘンな建物
全面ハーフミラー張りで、「凸」を逆さまにした奇妙なもの。
不安定そうな形
実はこれ、熊本県警熊本北警察署。1990年築、総工費約25億円。
熊本県では「くまもとアートポリス」として、公共施設を中心にデザイン性の高い建造物が建てられており、これもその1つ。
ちなみに、2007年に新築された、秋田県警秋田中央警察署の総工費は27億円らしい(サトウケンイチロウ県議のブログより)から、その15年前とはいえヘンな形で25億円なら意外に安い。
秋田中央署。これで27億円
熊本北署の建物全体としては奥行きがけっこうあるが、逆凸形なのはほんのちょっとだけ。裏側から見ると、
わりとフツー
警察署としての主要な機能は裏側の方にあり、前の逆凸形部分にはエントランスや道場などがあるそうだ。
熊本県警のパトカーは、
「熊本県警察」の文字が毛筆体(楷書体)だった
旅行記は細々と続きます。