JR東海の「うまし うるわし 奈良」キャンペーンが、
かなりのインパクトだ
地下鉄の一両まるまるが興福寺の乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)の八体の仏像たちで埋めつくされた中に身を置くと、頭のてっぺんから爪先にかけて《荘厳!》という文字が駈け抜けて、身も心も引き締まります。
この八部衆(国宝)が、興福寺国宝館で一斉に特別公開(4月28日~6月10日)されるのに合わせたキャンペーンらしいが、HPをみたら、アララ、既に東大寺から始まって薬師寺、法隆寺と来て今回の興福寺と、かなり前から続いている「うまし うるわし 奈良」シリーズだったのダ。
テレビ等他のメディアとも連動しており・・・余り見ない僕だけど、あっ、そーいえばお水取りのCMは見たゾ! BGMの『Again』(原曲:BORODIN ALEKSANDRE PORFIREVICH/歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り)とともに印象に残った、残った・・・
東大寺の「お水取り」。「水」という字が使われているけれど「火」のイメージなのは、クライマックスの松明が焼き付いているからだろう。
JR東海の、その東大寺篇でも・・・雪の中の東大寺/松明/雪の中の鹿/廊下を駆ける松明/雪の中の椿/欄干から滝のように降る炎・・・と、カットバックで静と動を見事に描いていたっけ。
お水取りは通称で「修二会(しゅにえ)」という仏教行事・・・ってところまでは知る人も多いだろうか。東大寺の修二会の法要は、正しくは「十一面悔過(じゅういちめんけか)」といい、東大寺二月堂で毎年三月一日から十四日の二十七ヶ日夜(二週間)にわたって行われているものだ(東大寺HP参照)。
♪君の肩にはらり 良弁椿
ここは東大寺 足早にゆく人垣の
誰となく独白く南無観世音
折から名残り雪
もはや二月堂天も焦げよと松明の
炎見上げつつ何故君は泣く
雪のように火の粉が降る
走る 火影 揺れる君の横顔
燃える 燃える 燃える
おたいまつ 燃える
さだまさしの『修二会』という曲の、詞の一部の抜粋ですが、CMの画像がまんま歌になったような…。まあどちらも「お水取り」を描いているから自然、そーなるのだろうが。ちなみに『修二会』は93年発表「逢ひみての」収録曲でCMよりずっと先だが…。
この長崎生まれのシンガーソングライターは、京都や奈良を多く歌っていて、『まほろば』(79年発表『夢供養』収録)は中でも名曲の誉れ高い作品。
♪青丹よし平城山(あをによし ならやま)
の空に満月
と結ばれるが、今回取り上げた「興福寺篇」の、横長のたらし広告のキャッチコピーでも「あをによし」「あかねさす」「さ男鹿の」「ひさかたの」と、嗚呼懐かしや古典の授業的な枕詞が連なっている。
普段まるで親しんでなんかないのに、日本人を実感してしまうのは、やっぱDNAの成せる業だろうか・・・。