麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

寄宿舎(その1)~飛ぶ教室

2007年04月09日 | 鑑賞
 先週末観た芝居は、どちらも「寄宿舎」の出てくる舞台でした。
 アロッタファジャイナ『1999.9年の夏休み』と、劇団仲間『飛ぶ教室』
 さらに劇中に劇が登場したり、戦争というものに向いていることなど、非常に共通点が多く、でありながら、まるで違う作品でした。
                            【文中敬称略】
                     

 先に、既に終わった『飛ぶ教室』から紹介します。
劇団仲間第123回公演(スペース・ゼロにて4/6~8)は、第一次大戦のナチス政権下に迫害を受けながら執筆を続けたエーリヒ・ケストナーの同名作品の舞台化ですが、 池田香代子の訳を元にしたいずみ凛の脚本が、とにかく巧みです! かの名作を、当時の香りを残しつつ“今”に通じる作品に仕上げました。劇団の財産演目、というより日本の児童演劇の金字塔と言える『森は生きている』を持つ劇団にふさわしい、子供から大人まで楽しめる、新たな名舞台の誕生です。
 素敵な戯曲を生かした、遊び心満載の鈴木龍男の演出がまた爽快です。美術と衣裳を兼ねる佐々波雅子のプランとの相性も良く、ストレートに、真の勇気や真の誇りを、観ている者の胸に突きつけます。
 役者達がまた素敵で、ベク先生(更井孝行)と「車掌さん」ことローベルト(古川伴睦)の大人の再会劇も泣けましたが、生徒達のアンサンブルがことのほか冴えていました。
 ドイツサッカーを思わせる堅固なフォーメーションは・・・スピードのあるヨーナタン・トロッツ(山神友恵)が前線に張り、クレバーなゼバスチャン・フランク(飛田晃治)をシャドー気味に配した2トップ。高さと強さを備えたCBマティアス・ゼルプマン(鈴村志門)、彼が剛なら柔のSBウリー・フォン・ジンメル(小倉輝一)とオーバーラップが魅力のSBルーディ・クロイツカム(鶴田まや)の個性豊かな3バック。そして司令塔のマルティン・ターラー(高木恵美子)・・・という布陣で、各自が堅実な仕事ぶりを発揮。
 特に主人公と言えるマルティン・ターラーを演じた高木の、凛とした少年ぶりを賞賛したいです。冷静さと向こうっ気の強さを併せ持つ「ヒデ」を思わせるゲームメイクでした。
 一言でいえば、伝統の力をまざまざと見せつける舞台でした。
コメント
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