麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

3on3

2008年06月24日 | 鑑賞
(社)日本劇団協議会主催/劇団青年座製作
次世代を担う演劇人育成公演
『3on3~喫茶店で起こる3つの物語』
6月22日(日)~6月29日(日) 於:青年座劇場

 昨日拝見しましたが、フィギアスケートを思わせる舞台でした。

 氷上を舞う華麗な…の意味ではなく、三つの独立したものがたりが、SP―フリー/エキジビションって感じで並んでいたという点で。

              
 
 まず『コーヒーと紅茶、そこに入れるべきミルクと砂糖について』(作/泊篤志=飛ぶ劇場、演出/千田恵子=育成対象者)は、まさに昔でいうところの「規定」よろしくオーソドックスな小品。
 一度はバラバラになった家族が珈琲や紅茶等の飲み物を介した豊かな時間によって再び育まれる・・・という過程を丁寧に描きます。

                

 続く『リバウンドチャンス』(作/飯島早苗=自転車キンクリート、演出/須藤黄英=育成対象者)は、イナバウワーだの高速ドーナツスピンだのの「決め技」が勝負の鍵を握る「自由」
 中年女性を演じた四人の女優(椿真由美、佐野美幸=ともに青年座、歌川椎子=自転車キンクリート、星野園美=石井光三オフィス)が、それぞれ得意のジャンプをビシビシ決めてきます!
 また、フィギアといえば派手なジャンプにどうしても目が行きがちですが、地味なステップも大切。その点、店の片隅で常連の若者を演じた二人(相原嵩明、逢笠恵祐=ともに青年座)も好演で、特に相原は、将来の青年座を背負うオーラを放っていた。
 また、そんなアンサンブルを醸し出した須藤の演出も◎

                    

 ブログ2行目にもある「次世代を担う演劇人育成公演」・・・この公演では以上2作品の演出家に、これからの演劇界を背負っていくであろう才能と信じて機会を与える企画であり、その意味でここまでが「競技」。で、今年秋の東演でも演出を担う二人の先輩・磯村純との間には一線あって、とすれば「エキシビジョン」と言える。

 そして『鰻屋全焼水道管破裂』(作/倉持裕=ペンギンプルペイルパイルズ、演出/磯村純)という作品自体が・・・戦いを終えたスケーター逹が声援を送ってくれたオーディエンスに感謝の気持ちで滑るサービス精神満載な「ショー」として『3on3』の掉尾を飾ります。

 いやあ~『鰻屋』、すましたポーズをリンク中央で決めてから、なんて始まりません。
 リンクに飛び出すその瞬間からフルスロットル

 猛獣使いのように鞭を振るう演出のタクトで息もつかせずに客席を沸かします。少々粗っぽいスピンもありましたが、と同時に、ラストに素敵なドラマを用意してもいる倉持裕のホン。
 まだまだ本番は続くのでこれ以上は言えませんが、大胆でありながらとても繊細な戯曲でもあるのです。

 見事なフィニッシュに花束やプレゼントが舞うリンクのように、大きな拍手に包まれた公演2日目でした。

 肩肘張らずに楽しめる3本です。
                         【文中敬称略】
コメント (4)
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