麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

区民Aの『わが町』

2012年02月19日 | 鑑賞
美しい舞台でした
まず、そのままズバリ「舞台美術」が。

さすが最近めっきり力をつけている青年座の根来美咲。
白を基調にしたエレガントな抽象舞台は、
例えるなら、新進気鋭の建築家がデザインしたサッカースタジアムがお披露目され、そこで試合が行われたよう。

例えたついでに「作品」についても、その流れで語れば。

というか区が公募し、オーディションによって選ばれた面々による上演を「サッカー日本代表」になぞられるのに決して無理はないはずだ

ザッケローニならぬ、演出の「鷲田監督」のフォーメーションがずばり当たった公演

ダブルボランチに山口(ウェブ夫人)と杉本(ギブズ夫人)を配したことでボールの収まりが良かった。
台詞の多い役どころを安定感のある二人が担い、芝居がばたつかなかった。

トップ下には根本(エミリー)。
これまで「代表」では、サイドから鋭いクロスを放つプレーヤーとして存在感を示してきたが、今回は中央で生き生きとタクトを振った。特に終幕の演技は圧巻。

初召集ながらワントップに抜擢された高橋(ジョージ)。
センスもさることながら、物怖じせず攻める姿勢がゲームに良い勢いを生んだ。

面白かったのはGK。
いわゆる案内人役を丸山(キャスト表記は舞台監督1)、程島(同2)、金田(同3)と場面ごとに替えたことも効奏した。
タイプが異なり、観る側を飽きさせなかった。

後半の残り時間僅かで投入されたモールス(ストダード)と円谷(クレーグ)はさしずめジョーカー。
ボールをわざと長く持って、それまでとは違うリズムを刻み、墓場のシーンへうまく観客を誘った。

もちろん経験者と初心者の力の差はあって、これは永遠の課題だが。その点でも、今回はよく考えられたポジショニングだったといえる。

最古参のピグ(ウォーリー)の最終ラインでの統率力は、地味だが至高の技術をまざまざと見せつけ、逆にこんどう(ジョーとサイの二役)が豊かなスピードでサイドを駆け上がったのは清清しかった。
松田(ギブス医師)の懐の深いボールさばきや、山本(ウェブ氏)の飄々としたパスコースの消し方も初召集とは思えなかった。

出演者多数で全員に触れていないけれど、各人それぞれが輝いていた。
体制が変わって二年。今後どんな「区民A」が見られるのか。今から楽しみだ。

    

【文中敬称略】桃色=女優水色=男優、( )内は役名。



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