新型コロナウイルス感染拡大防止対策で 3月から休館(利用休止)になっていた市立図書館も 6月15日(月)から 一部制限付きで 利用が再開されている。先日 2月中旬に利用してから、4ケ月振りに出向き 貸し出しを受けてきたが、この数ヶ月間で 暮らしのリズムもずいぶん変わってしまい、図書館から借りては読書するという生活習慣感覚を取り戻すにも ちょっと時間がかかりそうだ。
当地 今日は 1日中、雨。「雨読」と決め込んで 「先ずは1冊」、やおら、手を伸ばし、なんとか読み終えた。
今日読み終えたのは 「御宿かわせみシリーズ」の第17弾目の作品、「雨月」(文藝春秋)。
「御宿かわせみシリーズ」は 平岩弓枝の代表作の一つで超長編時代小説、一見 取っ付き悪い感がするが、ほぼ一話完結の連作短編構成になっているため 記憶力の無い爺さんでも 読み進めやすい小説だと思うようになっている。
時は 江戸時代末期、腕利きの町奉行所定廻り同心だった父を亡くした庄司るいは 家督を親戚に譲り 大川端で小さな旅籠「かわせみ」を開業、その旅籠「かわせみ」を舞台に 次々起きる市井の事件を、幼馴染で一つ年下の恋人、町奉行与力の弟神林東吾、東吾の親友で八丁掘定廻り同心畝源三郎、将軍家御典医の倅天野宗太郎、「かわせみ」の奉公人嘉助、お吉、等々と共に 解決していくという人情捕物帖である。
本書には 表題の「雨月」の他、「尾花茶屋の娘」、「伊勢屋の子守」、「白い影法師」、「梅の咲く日」、「矢大臣殺し」、「春の鬼」、「百千鳥の琴」の連作短編、8篇が収録されている。
平岩弓枝著 御宿かわせみ17 「雨月」
「尾花茶屋の娘」
料理茶屋尾花屋から、旗本の末弟捨三郎(22歳)の宿泊を頼まれた「かわせみ」、
我儘で孤独で意地っ張りな尾花屋の娘お里と捨三郎のかかわりと行く末は?
「雨月」
親友天野宗太郎とるいに乗せられて、風流とは無縁の東吾も一緒に
旗本屋敷へ菊見に出掛けたが 途中、長慶寺で商人風の男伊之助を見掛ける。
生き別れた兄吉太郎を探しているということだったが、
実は 江戸の大火がもたらした二人の明暗が・・・、
「伊勢屋の子守」
酒小売の伊勢屋の子守おたまはまだ13歳、
赤子万太郎をほったらかしにする、可愛げのない子供であるが、
赤子が行方不明になり、そしておたまは?、
東吾、源三郎、長助等は 探索、謎解き、藍染がヒントになり
出戻りのお栄は?
「白い影法師」
東吾は 旗本の通夜の帰り、麻布で盗賊と出会う。
千両箱は無事だったが濃霧の中、盗賊は逃してしまった。
翌日盗賊の一人が殺されており、岡っ引き仙五郎、東吾等が
事件真相に迫る、太左衛門?、お松?、市太郎?、
「梅の咲く日」
深川の蕎麦屋長寿庵の長助は律儀なお上のお手先、岡っ引きで
東吾、るい等とも昵懇にしている。
孫の長吉には 祖父馬鹿丸出し、
長吉の書き初めを見に行ったるいとお吉、
子供が出来ないるいに気をつかうお吉。
息子徳松に会いに来た徳兵衛が 昔の盗賊仲間辰蔵に出会ってしまい切り捨てる
・・・「お上にだって慈悲はあるだろう」
「矢大臣殺し」
名主の倅徳太郎が殺された。次々と、自分が犯人と自首してくる関係者、
源七、小吉、藤兵衛、丑之助、おさだ。
「徳太郎を殺したのはお稲荷さんだ。みんな夢の話なんだ・・・」、
集めた皆に 東吾は言い渡す。
「春の鬼」
町役人とは 幕府の役人ではなく、名主、地主、大家等が交替で務める、
現在の町会長のようなもの、
町役人達が 川口の善光寺に参詣したところで、事件が発生する。
高橋新左衛門と志保井お妙、心中?、殺し?、富世、庄二郎、その顛末は?
「それにしても女は怖い」と首をすくめた東吾に
源三郎がささやく。「とかくもてる男は用心が肝要ですな」
「百千鳥の琴」
おみわの亭主森助が殺された。実は 森助は盗賊の一味、
おみわに残した500両は、家探しされても無いはず・・、
るいの旧知の尼僧和光尼とおみわが盗賊に襲われ、長助がピンチ、
和光尼が るいから進呈された琴を守ろうと盗賊に体当たりするシーンが
クライマックスになっている。
(つづく)