足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、「けふ、けふ、けふ・・」「なほ、なほ、なほ・・・」等と、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからで、今更になって、「へー!、そういう歌だったのか・・」、目から鱗・・になっているところだ。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、昨年、一昨年、「春」「夏」「秋」「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログに書き留めたが、今回は、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、書き留めてみることにした。
百人一首で「恋」を詠んだ歌 その17
夜もすがら 物思ふころは 明けやらで
閨のひまさへ つれなかりけり
出典
千載集(巻十二)
歌番号
85
作者
俊恵法師
歌意
一晩中、つれない人を恨んで、思い悩むこの頃は
いっそ早く夜が明けたら良いと思っても
なかなか明けきらないで、
寝室の板戸の隙間までが、
朝の光をもらしてくれないで、薄情であることよ、
千載集の詞書に「恋と歌とてよめる」と有り、
「題詠」であるが、女性の立場で詠んでおり、
通ってこない冷淡な男への恨みをよく表現している。
注釈
「夜もすがら」は、「夜通し、一晩中」の意。
「ひねもす」(1日中)の反対語。
「明けやらで」は、「明けきらないで」の意。
「閨のひまさへ」の「閨」は、寝室のこと。
「ひま」は、隙間のことで、「板戸の隙間」の意。
「つれなかりけり」は、「冷淡であることよ」の意。
「閨のひま(板戸の隙間)が冷淡だ」という擬人法。
俊恵法師(しゅんえほうし)
源俊頼の子。17歳で父親と死別、東大寺の僧となった。
自邸歌林苑で、毎月、歌合、歌会等を開き、
「方丈記」の作者の鴨長明の和歌の師でもあった。家集に「林葉集」が有る。
参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)
百人一首で「恋」を詠んだ歌、
まだまだ数多有りだが
そろそろ、正月気分も抜けてきたし・・・
これにて 休眠・・・
続きは また、師走頃にでも・・・・