新潮文庫 平成2年
書いた? 書けん! というペンネームを愛
したという開高健氏の絶筆の一遍。
ラストの部分は一部が重複するのだがいいのだろ
うか? リフレインってことか? 昔の作家は同じ
ことばかり書いていたから、そういう手法なのかも
しれん。また、ベトナム、交わり、くんずほぐれず
して、悔恨、逡巡、泥濘に溺れて、立ち往生する
話しだ。
世界のところどころに現れ出ては、人の世に生きるのは
辛いぜ、と言いたいばかりに、詩的、メタモルフォーゼ、
白皙の腕に止まる蝶の如く、自由で、華憐、な言葉
遊びが弾ける。ぼくが師と崇める男、開高氏の生命の
絶叫を訊け。
(読了日 2024年8・21(水)11:31)
(鶴岡 卓哉)