中公文庫 「奇妙な味の小説」所収。 吉行淳之介・編
勝鬨橋(かちどきばし)に出たんである。
あまりにも巨大なあれが。
「蛸(たこ)」である。その大蛸は街中まで進出し、電話
ボックスに逃げ込んだ僕をさえ襲って来るのである。しかし、
そのことについては新聞やTVでもやっていない。
言ってはならぬ、と何処かからか声が聞こえて来るだけだ。
「僕」は狂ってしまっているのか。幻覚を見ているのか。
リアリティのはざまで生きる僕の冒険譚だ。
(読了日 2024年8・24(土)1:05)
(鶴岡 卓哉)