新潮文庫 平成4年
幸田氏の手によるこの木というエッセイは絶筆と
いうことである。随分、品のある文章だな、と暑
さにお脳をやられつつ読んでいて思った。
倒木が一列になって、樹が生えて来る、というのを
信じ、見に行ったり、ある棟梁から、木は二度生きる
伐られてから製品になってまた生きる、と教えられ
ホントに死んだ木を見せてやる、と言われたりする。
老大木を見に行って、歩けなくなり、負ぶって、見に
行ったりしている。かなり廻りに迷惑をかけているよ
うだ。そういうのが平気な質らしいね。
このエッセイ集は1971年1月号えぞ松の更新から
1984年6月号ポプラまで、文氏の作家人生全般に
渡って書かれたものを集めているという。このポプラ
というのが絶筆ということらしい。
(読了日 2024年8・22(木)23:44)
(鶴岡 卓哉)