講談社文庫。
「荒城の月」の一節を眠る盃とまちがえて覚えていた、
という少女時代の回想。
向田さんはいいなあ、と感慨にふけっている。
水ようかんをなぞらえて、いつまでもあるものはおいしい
と感じない、期間限定だからいいのだ、というのは、た
しかに向田さん自身のことを表しているなあ、と思う。
その一冊を愛せよ、というのは作家にとって、貴重な言葉
だろう。
大量生産されてゆくモノを憂いていらっしゃったのだろう。
僕らはつぎつぎに新しいものがあらわれてくる、ということに
慣れすぎているのではないか。
ひとつのことにこだわって、愛し続けることも、必要なのでは、
という提言と受け取った。
これで、片付けができれば、最高の女だったのになあ、とつらつ
らと思うのだった。
(鶴岡卓哉)
「荒城の月」の一節を眠る盃とまちがえて覚えていた、
という少女時代の回想。
向田さんはいいなあ、と感慨にふけっている。
水ようかんをなぞらえて、いつまでもあるものはおいしい
と感じない、期間限定だからいいのだ、というのは、た
しかに向田さん自身のことを表しているなあ、と思う。
その一冊を愛せよ、というのは作家にとって、貴重な言葉
だろう。
大量生産されてゆくモノを憂いていらっしゃったのだろう。
僕らはつぎつぎに新しいものがあらわれてくる、ということに
慣れすぎているのではないか。
ひとつのことにこだわって、愛し続けることも、必要なのでは、
という提言と受け取った。
これで、片付けができれば、最高の女だったのになあ、とつらつ
らと思うのだった。
(鶴岡卓哉)