浅倉久志・訳 「ディック傑作集1」所収。
二年間、機械の整備工として働き、その間の記憶は消される。
契約を終えたジェニングスはいくつかのがらくたを現金のかわ
りに受け取る。そのがらくたどもを武器にレスリックという
会社のタイム・スクープというかつて自分が関わっていた
装置についてせまっていく。社会は管理社会の末期でサンクチ
ュアリは会社にしかない世界。タイム・スクープを開発してい
ることがバレると、警察機構に会社を取り上げられ、潰されて
しまう、というのを傘に、ジェニングスはレスリックを脅そう
とするが、がらくたはかつての自分がタイム・スクープでみて、
必要だと思ったものたちで、次々とピースがはまっていく。
ケリーという女性が手助けしてくれる。これはネタバレだが
レスリックの社長の娘はケリーだった。最後、証拠をケリーに
預けておいたのだが、父にいずれ返すからあなたの力にはなれ
ない、というケリーの前で預かり証の半券はぽっかりと空いた
穴からかぎ爪に奪い取られ、身内だけの会社だというレスリックを前に
ケリーに求婚して終わる。
カラッとしていて、楽しい短編だ。冒険活劇を読んでいるような
楽しさがった。……合掌。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます