新潮文庫 昭和8年
前に読んだのはそう30年くらいまえだろうか。
だいたいのストーリーは覚えていたが、細部は
まったく覚えていなかった。春琴と佐助の異常な
ほどの愛のストーリーだ。恋愛小説なんて生やさ
しいものではない、相手のことをおもんばかって目を
針で潰せる男がどこにいよう、バカな男で片付けら
れない、そこには一途さがある。
検校というお師匠さんと弟子なのだが、その関係の
ヌメヌメ感は気持ち悪いくらいだ。
句読点がほとんど省かれている。それでも、読む上では
不自由かと問われれば、そんなことはない、と言うだろう。
ストーリーテラーとしての、一流の技を見せられたような
感じ。
谷崎47歳のときの作だという。
(読了日 2022年12・9 19:40)