古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

春琴抄     谷崎潤一郎

2023-01-02 07:26:11 | 小説の紹介

新潮文庫     昭和8年

 

前に読んだのはそう30年くらいまえだろうか。

 

だいたいのストーリーは覚えていたが、細部は

 

まったく覚えていなかった。春琴と佐助の異常な

 

ほどの愛のストーリーだ。恋愛小説なんて生やさ

 

しいものではない、相手のことをおもんばかって目を

 

針で潰せる男がどこにいよう、バカな男で片付けら

 

れない、そこには一途さがある。

 

検校というお師匠さんと弟子なのだが、その関係の

 

ヌメヌメ感は気持ち悪いくらいだ。

 

句読点がほとんど省かれている。それでも、読む上では

 

不自由かと問われれば、そんなことはない、と言うだろう。

 

ストーリーテラーとしての、一流の技を見せられたような

 

感じ。

 

谷崎47歳のときの作だという。

 

      (読了日 2022年12・9 19:40)

 

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なにも願わない手を合わせる    藤原新也

2023-01-01 01:21:17 | 本の紹介

新年あけましておめでとうございます。本ねん、2023年も

 

古民家ギャラリーうした+古本カフェをお願いいたします。

 

七日から営業をいたしたしたいと思っています。

 

本ねんもビシバシと書評めいたものを致してまいりたいと思います。

 

一発目は、藤原新也氏の願わない手を合わせる、です。

 

文春文庫   2003年

 

人は、食べ、食べ続け、食べ続けた末に死んでゆく。なにを為すのか、それは、

 

自分次第だ。ただ生き、死んで行くだけが人間だとしても、何かを残そうとす

 

るのも人間だ。

 

祈りは、ときに、邪魔になる。なにかを願うということを捨て、ただ無心に

 

手を合わせる。この祈りの姿こそが祈りというものの本来の姿と認識し、この

 

言葉に刻み込む。

 

兄を亡くし、それは凄惨な死だったというが、そのことがキッカケで、そのよう

 

な祈りの境地に達した藤原氏。

 

ぼくは瞑想を毎日しているが、無になることは難しい。いや、意外とぼくは無に

 

なりやすい体質なのかもしれない。あっ、なにも考えていないってことか? も

 

しかして、バカなのかも、チーン。

 

             (読了日 2022年 12・4 7:21)

 

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