古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

いきもの図鑑    さくらももこ

2023-01-17 08:07:57 | さくらももこ

集英社文庫    1994年

 

さくらさんのいきものについての思い出が綴られている。

 

冒頭、アオムシからおはなしははじまる。

 

ぼくはムシのなかでもイモムシ系がキライだ。この前、TV

 

を見ていたら、かわいらしい女子アナが手の上に乗せたうね

 

うね動いているアオムシを口の中に放り込んで、無表情で

 

食っちまった。ただ、怖いと思った。おとなしそうな女が

 

急に踊りだしたりするのにも、恐怖を感じるが、アオムシを

 

食う女も怖い。それもかわいらしい女というのが怖い。

 

ぼくが5、6歳のころ、保育園の帰りにペットショップ

 

があって、良く寄って帰っていた。イシガメらしきカメがいて

 

普段、ものを欲しがったりしないぼくが、どうしても欲しい

 

と言ったので、ハハは買ってくれた。なにせ、5,6歳だ。

 

二、三日すると忘れてしまった。三か月ほどして、どうしたかな、

 

と思ったら、亀は万年というしな、と思いつつ、のぞくと

 

バラバラの死骸になっていた。甲羅だけ立派に残っていた。子供

 

心に酷いことをしてしまった、と思った。心に傷ができた人生初の

 

出来事だったように思う。

 

    (読了日 2022年12・28(水) 3:34)

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ひとり暮らし     谷川俊太郎

2023-01-16 00:43:32 | 谷川俊太郎

新潮文庫  平成13年

 

あるお母さんが、谷川氏を読もうとしたが、難しくって

 

と言っていた。たしかに難しい部分はある。初心者向き

 

の雑文ではないかな、という気がしないでもない。

 

ぼくには丁度よい。軽すぎもせず、重すぎもせず、この

 

テンションはここ地いいと感じる。

 

恋愛でもないし、さりとて、愛に無関心というわけでも

 

なさそうである。だいたいが200年ころの文章といって

 

いいようだ。22年前くらいか、丁度、ぼくが広島にでて

 

来たころで、暗雲立ち込めていたころだ。

 

谷川氏の文章に、酔ってしまうように、文体に身を寄せて、

 

つらつらと思考に任せて、泳ぐのが気持ちよかった。

 

     (読了日 2022年12・27 21:51)

 

 

 

 

 

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これからはあるくのだ    角田光代

2023-01-14 12:07:33 | 角田光代

文春文庫   2003年

 

角田女史の杉並区上萩のYouTube動画が好きで

 

20回は見ている。

 

1993年から1999年の投稿原稿及び書下ろし

 

が収められている本書。

 

まず冒頭、忌野清志郎&みかんのスローバラードの

 

歌詞がのっている。清志郎かあ、のっけから趣味の良さを

 

だしてくるなあ、と読みすすめていくと、子供時代は

 

泣かない子供だったらしくて、泣けるおとなに恋焦がれていた

 

とか。小学生で作家を志した角田さん、言葉というものが

 

彼女に与えた翼はどこにでも飛んでいけることを教えて

 

くれたようだ。ぼくも小六の卒業に際し、流行作家になり

 

たい、などと言っていたように思う。それと、同時に

 

釣りキチ三平にもなりたかった。

 

    (読了日 2022年12・26 3:00)

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新釈 遠野物語    井上ひさし

2023-01-13 14:11:48 | 本の紹介

新潮文庫    1976年

 

有名な柳田国男の「遠野物語」(1910)をどの

 

辺まで参考にしているのか、本篇を読んでいないので

 

なんとも言えないが、とてつもなくおもしろい話が目白押し

 

である。

 

ここでそれぞれのお話を説明してもよろしいのだが、

 

ぼくがそれをやるとせっかくのおもしろいお話を台無

 

しになってしまう気がするのでやめよう。

 

キツネや河童がでてきて、人を騙したりするのだが、

 

それは大人でも楽しめる作りになっているところが

 

すごいところである。

 

日本には、その昔、おもしろいお話というものが

 

山のようにあったのだろう。ぼくは日本昔話(

 

BS‐TBS)も好きで、よく見るのだが、日本民俗学

 

というのは奥の深い、日本人の本質を知るうえでは

 

欠かせないマスターピースだろう、と思うのだ。

 

 (読了日 2022年12・17(土)22:15)

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表紙デビュー    清原亜希

2023-01-12 05:20:44 | 本の紹介

「死ぬにはよい日だ」所収。

 

ぼくはあんまり美人には興味がなくて、清原さんも

 

きっと美人なんだろうな、と思うが、そのほかの感情

 

はなにも湧いてこない。40手前で子供をお二人産ん

 

でからの表紙デビューということらしい。

 

モデルさんだから、おしゃれな服を着ていらっしゃると

 

思うが、ぼくは女の人の裸が苦手だ。小五の時、あんまり

 

美人じゃない女の人のヌードを描いていた。特に、美人の

 

裸は落ち着かない。どうか服を着てくれ、と思うが、そんなに、

 

というか、ほとんど裸を見る機会を失ってしまった。もっと

 

生で裸をみることがあれば、ヌードに関してコンプレックス

 

もなかったかと思うが、いや、なんの話をしているのかわか

 

らなくなった、失礼。

 

      (読了日 2022年12・15 11:10)

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おばあちゃんの会      中島誠之助

2023-01-11 10:40:18 | 本の紹介

「死ぬにはよい日だ」所収。

 

中島氏といえばなんでも鑑定団が思い浮かぶが、筆を

 

とることでもしられている。

 

この4pの小品では毎年親戚一同が日比谷公園のレス

 

トラン「松本楼」に集まり、会食を楽しむことが描か

 

れている。

 

その話から、祖父はモダンボーイ(モボ)だったとか、

 

祖母はパーマネントの草分けだったとか。

 

子孫がいっぱいいて、いいことですねえ。ぼくも祖母の

 

生前葬の時に会ったことのない親戚がいっぱいいて、ビ

 

ックリしたもんだ。

 

意外と親戚というものは多いらしい、と気づいた。

 

   (読了日 2022年12・12 3:40)

 

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落語は駄洒落から始まる?   小佐田定雄

2023-01-10 12:30:18 | 本の紹介

「死ぬのによい日だ」所収。

 

芸人が恥ずかしいのがネタを説明されることだという。

 

このエッセイではネタを思いっきり説明してしまっている。

 

死にたくなる落語家の気持ち、死ぬにはよい日を選んでい

 

ただきたい。

 

ぼくは高校の時、初めてチチに生の落語を見せてもらって

 

それから、浅草にも何度か見に行った。その当時のぼくは

 

あまり笑わなかった、と思う。

 

今でも日本の話芸(Eテレ)を見ても、くすっとも笑わない。

 

面白くないわけではないのだが、感心しているのだ。

 

はなしをこうつつがなく語ってゆく噺家に、よくしゃべる人だ、

 

とうーん、と心で唸っているのであった。

 

         (2022年12・11 21:47)

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山の帰り道    沢野ひとし

2023-01-09 18:44:16 | 本の紹介

角川文庫      2011年

 

ひとし氏のお兄さんが亡くなったという。

 

それはひどい死に方で、アル中らしかった。

 

兄の影響で山のぼりをはじめたひとし氏だった、と、

 

山のぼりの本一色かと思ってよみすすめていくと、

 

うむむ、なんか違う。山がでてこない後半ずっと。

 

結局、山のぼりについて書いてあるのは前半のみだった。

 

手帳について言及していて、ぼくも来年は手帳を持つ身分

 

になれればな、と思った。町田愛に溢れている。そういう

 

ぼくは、牛田に住んで、20年以上、牛田本町愛に溢れて

 

いるのであった。

 

    (読了日 2022年12・11(日) 21:30)

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親鸞を書くということ    五木寛之

2023-01-06 02:32:41 | 本の紹介

「死ぬにはよい日だ」所収

 

親鸞という字を書くだけでキレイな字で書こうと思い、

 

背筋が伸びる。

 

ぼくはとても親鸞についてなにか書けといわれても、

 

ムリムリムリと断るだろう。とてもぼくの相手には

 

なりそうもないほどの巨人のような気がする。

 

その親鸞を書くにあたっての決意を表明している

 

小品だと思うのだが、ぼくは宗教というものが、とても

 

怖いものに思える。ぼくは神社に行くと、神が暴れている

 

のが見えてしまうし、神というのはとても畏怖すべきもの

 

という認識がある。

 

最近は怖くて、大好きなお参りもしていない、今度、勇気を

 

出していってみっか。

 

        (2022年 12・10(土)1:15)

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江戸言葉       出久根達郎

2023-01-05 02:51:46 | 出久根達郎

「死ぬのによい日だ」所収。

 

この09年版ベストエッセイ集によせられた小品を見てゆく。

 

中学生が床屋で黙って切ってもらった、黙って帰っていく、という

 

のだが、ぼくが小学生の時、床屋の人が良くしゃべる人で行くのが

 

すごくイヤだった。中学になると、姉がバイトをしていたJUNという

 

美容院に行くようになって、JUNさんは喋らないし、仕事も早く、15

 

分くらいで済んでしまうので、高かったが、行っていた。そのころは

 

髪もたくさんあった。

 

「ざっさけない」という江戸語、これは粗野である、という意で、「

 

あたじけない」は「かたじけない」ではなく、「ケチというほどのこと」

 

らしい。最後に江戸語のラップのライムのような調子のよい言葉で締めて

 

いる。

 

「へい毎度ありぃ 恐れ入り豆はじけ豆 ごきんとさんでございます」と

 

つづく、がなんともいいねえ。

 

           (読了日 2022年12・10 0:55)

 

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