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「ニューヨークの魔法は続く」 岡田光世

2008年12月13日 | 本(エッセイ)
ニューヨークの魔法は続く (文春文庫)
岡田 光世
文藝春秋

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「ニューヨークのとけない魔法」の続編として出された文庫です。
でも、良く見ると、
こちらが1996年に刊行された「ニューヨークがやさしい」を改題したもの。
で、「ニューヨークのとけない魔法」は、2000年に出されたものなので、
実は順が逆ということです。
まあ、だからといって何も支障はありません!

ただ、この本は元の題が「ニューヨークがやさしい」というだけあって、
大都会の片隅で生活する人々のほんのりした優しさが漂っていて、
なんだか自分自身も人に優しくしたくなる、そんな本です。


「ブルックリンの罪ほろぼし」という章では、こんな話がありました。
落書きだらけの荒れ果てた地下鉄の駅。
そこで無賃乗車や公共物破損など”非暴力犯罪”を犯した人たちが
賠償金の代替罰として、社会奉仕のため、清掃作業をする。
ほとんどは青少年で、ぶつぶつ文句を言いながらの作業だけれど、
なんだか楽しんでいるようにも見える。
面白いシステムだなあと思いました。
そして、こういう青年たちにも臆せず話しかけてしまう著者のお人柄、
これこそがこの本を引き立たせているのです。
実際、彼女はホームレスに話しかけたりもします。
そんな彼女が、あるとき日本で道を聞くために、
通りがかりの人に話しかけようとすれば、みなそそくさと逃げ出してしまう・・・。
ちょっと寂しい話ではあります。

人とのほんのちょっとの会話が、自分の心をふっと浮き上がらせてくれることがありますね。
それが家族や親しい友人でなく、ほんの行きずりの人だったら、
それもまた新鮮で、そのめぐり合わせに感謝したくなります。
いかにも無機質に見えるニューヨークのビル街にも、
こうした人々の暮らしが息づいていると思うとなんだかほっとします。
私たちも少し見習いたいですね・・・。
そのためには話しかけられるのを待っているのではなくて、
自分から話しかけなければダメですね。

満足度★★★★☆

さすがに、師走ですね。
なにやら夜の会が多くて、今週は穴だらけでした・・・。