世界を救うのは二人の嘘ではなく・・・
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中東が舞台のスパイ映画は少なくありませんが、
この作品で目を見張るのは、地上12000メートルにあるという、無人偵察機。
CIA中東局主任であるエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)は、
アメリカにいながら、上空からとらえた現地の映像をリアルタイムで見ることができる。
ありとあらゆる電話などの通信やメールも傍受。
いやはや、これはもう絵空ごととはいえないので、怖いくらいです。
しかし作品中、この状況で、中東のテロ組織は、もうこのようなネットワークを使うのはやめ、すべて直接の人間同士のコンタクトに切り替えたといっています。
結局はそのような原始的方法が一番・・・ということか。
さて、そのホフマンの指示で動く現地工作員が、ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)。
彼は現場の苦労も知らず、勝手な指令をよこすホフマンに反発を感じています。
・・・まさに、事件は会議室で起きているんじゃない!というヤツですね。
ここでの任務は、広く米・欧州をターゲットとして爆破テロを仕掛ける組織のリーダー、アル・サリームを捕らえること。
フェリスとホフマンは、架空のテロ組織をでっち上げ、アル・サリームをおびき出そうという大胆な計画を立てるのですが・・・。
テンポのよい展開と、途切れない緊迫感、
それとまあ、ちょっぴりのロマンスもあり、私としては楽しめたと思います。
変に難しくない(?)ところがいい。
まあ、一つ難を言えば、
こんな危険な仕事なのだから、女性と付き合えば
その人にも危害が及ぶのは予想がつきます・・・。
ここは、ストイックに決めてほしいですね。
でも、それでは映画に花がなさ過ぎますが。
レオ様は渋みもましてなかなかいいです。
近頃はすっかり肉体派のレオ様ですが、
私はやっとこの作品で、それもよし、と思えました。
ちょっとくたびれてとぼけた感もある、しかし、本質はアメリカの傲慢さの代表みたいなところがうまく出ていたラッセル・クロウもよし。
でも結局、この映画で一番かっこよかったのは、ヨルダン情報局のハニ・サラーム(マーク・ストロング)でしたね。
実際、ハンサムでしたし!
やはり、地元の流儀に従うのが筋ということか・・・。
なんだかんだといいつつ、この作品もやはり
中東を憎むべきアメリカの「敵」としていますね。
テロ組織に肩入れする気はありませんが、
何で、ここまで関係が悪化してしまっているのか・・・、
そういうことを考える映画もたまには見たい気がします。
2008年/アメリカ/129分
監督:リドリー・スコット
出演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ