映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「グイン・サーガ124/ミロクの巡礼」 栗本 薫

2008年12月15日 | グイン・サーガ
ミロクの巡礼 グイン・サーガ124 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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グイン・サーガの新刊が書店に並ぶとほっとします・・・。
さて、今回はカメロンが表紙ですね。
なんだかすごく久し振りって気がしますが。
でも、カメロンはすぐカメロンだって分かりますね。
この、ヒゲがね・・・。
ちょっとクラーク・ゲーブルのイメージかなあ・・・。大好きな海を離れてずいぶん遠くまで来てしまった・・・。イシュトに振り回されて苦労ばっかり・・・なーんて、哀愁漂う情景・・・。
今号はそのカメロンとブランの密談から始まりますね。
予感がしていたんだけど、やっぱりカメロンはスーティーの詳細をイシュトに告げずに隠しておくみたいですね。
それがいいと思いますよ~。
スーティーの行方にグインが絡んでいるなどと彼が知ったら、
またカ~ッと来て、何を始めるかわかりませんから・・・。
しかもそのグインは、そのこと自体すっかり忘れ果てているんだからもう、話がややこしい。
ブランはお腹の具合が悪くて、気の毒でした・・・。
これはヴァレリウスの策略だったですね・・・。
今回はミロク教の話が中心になりましたが。
そうなんだよね。無欲、質素、決して争わない・・・、
ものすごいお人よしの教義なんだけど、その信者が増えてきているという。
この宗教が、この世界で大変大きな影響を及ぼす、というのは、
何も、栗本さんが今思いついたことではなくて、
相当以前からその伏線はありましたよね。
いよいよ、そのときなのでしょうか。
結局ブランは再び国を離れて、ミロク教の聖地ヤガへ向かうことになるんだね。
一方、パロを出たヨナもまた、ヤガへ向かう旅に出る。
こういうオーバーラップはうまいなあ・・・。
そして、しばらくは私たちも、ヨナと一緒に珍しいダネイン大湿原を越える旅気分だね。
風光明媚とは言いがたいけど、未知の世界を旅する高揚感。
栗本さんはこういうところの描き方もうまいです。
物語の人物と一緒になって、ワクワクしてしまう。
これまで、ずいぶんいろいろなところを一緒に旅をしました・・・。
この本は、ちょっと幕間的な、こういう平和な旅行風景で終わるのかと思い始めたところで・・・
やっぱり来ましたね。大事件。
大惨事ですよ。
まことに、無常な世の中です。
あんなにミロクを信じた善良な人々が・・・。
神に祈る気も消えてしまいますよ・・・。
そこに登場した人物は・・・!
おお、待ってました!・・・まあ、考えてみたら地元ですから。
いても不思議ではない。
けど、本当はもうちょっと早く出てきてくれれば・・・、と思っちゃいました・・・。
それにしても、劇的な登場で、やっぱりストーリーテーラーなんだよなあ。
決して退屈させない。
様々な糸で不思議な出会いと別れを紡ぐ登場人物たち。
全く、目が離せません。
この調子で行くと、ブランとヨナの出会いもきっとあるはず・・・。
また、二ヶ月を、首を長くして待つことにしましょう。

満足度★★★★☆