グロテスクの中できらめく人物たち
* * * * * * * *
ナチス占領下パリ。
レイン中尉(ブッラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊
“イングロリアス・バスターズ”は、ナチス軍人を血祭りに上げることが使命。
・・・といえば、反ナチスの戦争モノ・・・と思えますが、
この作品においては、そういう倫理的な思索は無意味と思ったほうがいいでしょう。
なにしろ、これはナチス狩り。
死んだドイツ兵の頭の皮をはいでコレクションするなど、
情け無用の残虐さは、ナチスのユダヤ人狩りと、その狂的さにおいては同等。
しかし、思わず目を背けたくなる映像もありながら、
嫌悪感だけではない、なぜか引き込まれてしまう不可思議な魅力がこの作品にはあるのです。
キル・ビルが好きな方なら、この世界もOKだと思います。
そもそも、“戦争”などというものが、もう狂った世界なのでしょうね。
その中で、いかに正義がどうのこうのといっても、
それは一方的なことだし、無意味。
それならいっそ、一般的な良識など振り捨てて、
徹底的にそれぞれの思いに突き進む人々の様を描き出してしまえ
・・・というようなことなのかなあ、と思いました。
それで、結構それぞれの人物が魅力的なんですよ。
悪役においてもね。
一番魅力的だったのは、ユダヤ人美女ショシャナ(メラニー・ロラン)。
家族をナチスに殺され、自らも危機一髪のところを辛くも逃れ、復讐を誓う。
彼女の大事な映画館や多くのフィルムを犠牲にしても、目的を果たそうとする。
あのラスト、密室となった劇場の一幕は圧巻ですね。
あまりにもかっこよく、壮絶なので、ひたすら口があんぐり。
いやあ、もうここはタランティーノ監督に脱帽です。
その決意を秘めたショシャナのこの写真、いいですねえ・・・。
ブラピのレイン中尉。
これもね、はまり役というか、こういうのブラピはいかにも好きそうですよね。
任務に忠実で熱心なんだけれど、どこかさめた部分もある。
ばかばかしさをわかっているけれども、仕事と割り切っている。
そんな感じ。
それから、この作品は実はこの人が主人公だったのでは?
とも思えてしまう、ランダ大尉。
なにしろ、冒頭シーンから出てきますもんね。
彼こそは、ユダヤハンターとも言われるユダヤ人最大の敵。
冷徹で、なかなかキレる。
しかし、なんとこの人が最後にはわが身かわいさにとんでもない行動に出ます。
いやあ、これくらいあからさまだと、かえって気持ちいいくらいです。
おぬしも悪よのう・・・。
この作品、2時間半と結構長いのですが、
結果としては面白くてさほど長く感じない。
だれも観たことのない、そして誰にも真似できない、戦争映画ですね。
2009年/アメリカ/152分
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリフトフ・ワルツ、イーライ・ロス、マイケル・ファスベンダー
『イングロリアス・バスターズ 』予告編 11/20(金)、全国ロードショー
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ナチス占領下パリ。
レイン中尉(ブッラッド・ピット)率いる連合軍の極秘部隊
“イングロリアス・バスターズ”は、ナチス軍人を血祭りに上げることが使命。
・・・といえば、反ナチスの戦争モノ・・・と思えますが、
この作品においては、そういう倫理的な思索は無意味と思ったほうがいいでしょう。
なにしろ、これはナチス狩り。
死んだドイツ兵の頭の皮をはいでコレクションするなど、
情け無用の残虐さは、ナチスのユダヤ人狩りと、その狂的さにおいては同等。
しかし、思わず目を背けたくなる映像もありながら、
嫌悪感だけではない、なぜか引き込まれてしまう不可思議な魅力がこの作品にはあるのです。
キル・ビルが好きな方なら、この世界もOKだと思います。
そもそも、“戦争”などというものが、もう狂った世界なのでしょうね。
その中で、いかに正義がどうのこうのといっても、
それは一方的なことだし、無意味。
それならいっそ、一般的な良識など振り捨てて、
徹底的にそれぞれの思いに突き進む人々の様を描き出してしまえ
・・・というようなことなのかなあ、と思いました。
それで、結構それぞれの人物が魅力的なんですよ。
悪役においてもね。
一番魅力的だったのは、ユダヤ人美女ショシャナ(メラニー・ロラン)。
家族をナチスに殺され、自らも危機一髪のところを辛くも逃れ、復讐を誓う。
彼女の大事な映画館や多くのフィルムを犠牲にしても、目的を果たそうとする。
あのラスト、密室となった劇場の一幕は圧巻ですね。
あまりにもかっこよく、壮絶なので、ひたすら口があんぐり。
いやあ、もうここはタランティーノ監督に脱帽です。
その決意を秘めたショシャナのこの写真、いいですねえ・・・。
ブラピのレイン中尉。
これもね、はまり役というか、こういうのブラピはいかにも好きそうですよね。
任務に忠実で熱心なんだけれど、どこかさめた部分もある。
ばかばかしさをわかっているけれども、仕事と割り切っている。
そんな感じ。
それから、この作品は実はこの人が主人公だったのでは?
とも思えてしまう、ランダ大尉。
なにしろ、冒頭シーンから出てきますもんね。
彼こそは、ユダヤハンターとも言われるユダヤ人最大の敵。
冷徹で、なかなかキレる。
しかし、なんとこの人が最後にはわが身かわいさにとんでもない行動に出ます。
いやあ、これくらいあからさまだと、かえって気持ちいいくらいです。
おぬしも悪よのう・・・。
この作品、2時間半と結構長いのですが、
結果としては面白くてさほど長く感じない。
だれも観たことのない、そして誰にも真似できない、戦争映画ですね。
2009年/アメリカ/152分
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリフトフ・ワルツ、イーライ・ロス、マイケル・ファスベンダー
『イングロリアス・バスターズ 』予告編 11/20(金)、全国ロードショー