高橋留美子劇場 3 (ビッグコミックス)高橋 留美子小学館このアイテムの詳細を見る |
高橋留美子さんの短編集です。
1・2も、読んでいるのですが、記事にはしていなかったみたい・・・、
スミマセン。
ここに載せられている短篇は、どれもごく普通の人々の日常なのですが、
ふっと物悲しく、そしてユーモアも漂う秀作ばかりです。
冒頭、「日帰りの夢」
さえない中年男、東雲のところに舞い込んだ中学の同窓会の連絡。
彼は転校を繰り返していたので、特に親しい友人もなく、
これまでそんなものに出たこともない。
しかし、発起人の「志摩聖子」の名前を見て、心が動く。
清楚でかわいくて、ちょっぴりあこがれていた・・・。
家では妻にも息子にもほとんど相手にされない反動もあって、
思い切って地方のその同窓会に出席することに。
何十年ぶりかの再会を前に、あらぬ妄想が広がる東雲・・・。
しかし、彼女に実際に会ってみれば・・・!!
いや、笑えないですよお。
自分の中でも、こんなあらぬ勝手な妄想を抱くことくらい、
誰にでもありますよね・・・。
でも、しかし、やっぱり家族は家族。
おとーさんを心配して待っていた家族がちゃんといて、よかったですね。
「赤い花束」
これはちょっと異色。
主人公の吉本は、いきなり死んで登場します。
まさにそのお葬式。
宴会で余興をしているところでポックリ。
なので、彼の霊魂は情けなくも、上半身裸のお腹には顔が落書きしてあるし、
頭にはネクタイのハチマキ。
そんな姿で登場します。
気になるのは、残された妻と息子なのですが。
なぜかちっとも悲しそうではない。
妻などはむしろサバサバとした様子。
さすがにこれには胸が痛んでしまう霊魂の吉本。
いつも仕事仕事と忙しく、
息子が万引きで捕まったときも、
母親1人でナントカしなければならなかった・・・、
そんなころから、妻の心は離れていたらしいのですが・・・。
そんな時、葬儀というのに大きな赤い花束が届くのです。
そこでとうとう泣き崩れる妻。
さて、この花束の意味は?
もっぱらまじめな仕事人間。
しかし、家では妻と子供に疎まれて居場所がない。
そんなさえないお父さんの話が多いですね。
だから、ついよその女の人に心引かれたりしちゃうのだけれど、
結局踏み切れず、
または、勝手な自分の思い込みだけでぽしゃってしまう。
それで結局は家に戻るしかないのですが、
気がついてみるとやっぱりそこが自分の居場所だったりする。
いいんじゃないですか。
こんな平凡な人生でも。
満足度★★★★☆